自転車「青切符」導入で戦々恐々のテレビ局 「違反行為が113種類」で最も影響を受けそうな「旅番組」とは
4月1日から自転車に青切符(交通反則通告制度)が導入されて半月が過ぎた。SNSには「切符切られた」といった書き込みもチラホラ見受けられる。運転者が気をつけるのはもちろんだが、テレビ業界にも影響が出つつあるという。
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【写真を見る】「青切符」のせいで出演せず? 自転車で“爆走”する姿がおなじみの「有名人」
113種類もの行為が違反とされているが、実際のところ戸惑うところはある。走行中に携帯電話を使用する「ながら運転」や2人乗り等の「軽車両乗車積載制限違反」がいけないのは理解できるとして、「通行区分違反」に含まれる歩道走行はどこまで認められるのか? ウインカーのない自転車に「合図不履行」と言われても、手信号ってどうやるんだっけ? 自動車の運転免許を所持していても迷う人は少なくないはずだ。民放でバラエティ番組を手掛けるプロデューサーは言う。

「4月に入って情報番組がこぞってネタにしていましたが、我々だって他人ごとではありません。ドラマやバラエティでの自転車の走行シーンに違反がないよう、細心の注意が払われるようになりました」
4月6日に放送された「月曜から夜ふかし」(日本テレビ)では、番組の名物キャラである“桐谷さん”の出演がなかったことが話題となった。
「プロ棋士にして投資家の顔も持つ桐谷広人氏は、配当と株主優待を活用することで現金をほとんど使わない生活が紹介されて有名に。その優待券を期限内に使い切ろうと、自転車で都内を“爆走”する姿がおなじみとなっていました。この日、出演がなかったのは、青切符導入の影響ではないかと言われました」
最も影響を受ける番組は何だろうか。
手信号が増えた
「NHKの『にっぽん縦断 こころ旅』(BSプレミアム4Kほか)でしょうね」
「こころ旅」は俳優の火野正平が相棒の自転車(チャリオ、後にチャリ丸)に乗り、視聴者の思い出の場所を訪れつつ日本列島を縦断する旅番組として2011年にスタートした。火野のキャラクターもさることながら、自転車に取り付けたカメラや同行スタッフの車載カメラ、ハンディカメラなどを駆使し、表情はもちろん鼻歌までもとらえた映像が人気となってシリーズ化した。火野の死去により現在は田中美佐子が引き継いでいる。
「これまでも『こころ旅』は自転車の交通ルールに厳しく対応してきましたが、青切符導入で一層の注意が求められます。自転車や同行する車に装着したカメラの位置などにも注意が払われていると思います。現在、新シリーズが放送中ですが、心なしか以前より手信号が増えたような気もします。番組スタッフは113種類の違反行為に戦々恐々だと思います」
昼食を摂るにも駐停車違反を気にしなければならないし、急な上り坂で自転車を押して進む時は歩道……といったことにも気を遣わねばならない。もっとも、自転車をメインに使った旅番組はそれほど多くはない。
伝説の公道レース
「たとえ“街ブラ番組”でも、一般の自転車走行の映り込みには敏感になるでしょう。視聴者からどんなクレームが来るかわかりませんからね。モザイクやカットの対応も選択肢に入ってくると思います」
一般道で自動車のシートベルトの着用が義務化されたのは1992年(高速道路は85年)からだが、今は刑事ドラマの逃走シーンでも犯人が律儀にシートベルトを締めるようになった。
「『公道のロケなのにシートベルトをしなくていいのか』といったクレームも来ますからね。刑事ドラマでは取り調べ中の容疑者にタバコを勧めるシーンもなくなりました」
かつては大らかだったという。
「業界では伝説となっていますが、91年1月2日に放送された『爆笑!迎春ブッちぎり 所ジョージのオールスター自動車レース大賞』(TBS)で放送された“オールスターキャノンボール大会”は、東京・お台場の船の科学館から首都高湾岸線、常磐自動車道を経て茨城県つくば市のゴルフ場まで公道で開催されたレースでしたが、放送後に警察の道路使用許可を得ていなかったことが問題となりました。当時、TBSは『法定速度は守っており、録画を早回ししたため速く走っているように見える』と発表したものの、茨城県警から出頭要請を受けたプロデューサーのテリー伊藤さんは、高田純次さんが運転する日産スカイラインGT-Rニスモが一般車をものすごいスピードでぶっちぎっている映像を見せられて観念したと言われています」
大らかと言うより滅茶苦茶である。ちなみに、自動車評論家の徳大寺有恒氏はホンダNSXで、「サーキットの狼」などで知られる漫画家の池沢さとし(現・池沢早人師)氏はフェラーリ・テスタロッサで参加したこのレース、優勝したのはシボレー・コルベットの三原じゅん子センセイだった。
デイリー新潮編集部
