「局アナの卒業」「番組のようなCM」…オバ記者(69)が近頃のテレビに抱いた違和感の正体 40代ボーイフレンドは「アンタのテレビの見方は昭和。真に受けすぎ」と指摘
かつてのような絶対的な影響力は失ったとはいえ、まだまだ多くの視聴者に支持されているテレビ。女性セブンの名物ライター"オバ記者"こと野原広子氏が、今のテレビに違和感を抱いているという。その違和感の正体とは何か? オバ記者がつづる。
局アナの「卒業」セレモニーって必要?
「なんかこれって、ヘンじゃない?」
しばらくテレビを見ないうちに、何がどうなっちゃったの?と戸惑うばかりの私。しかも、この原稿を書いているのが3月末で番組改編のタイミングだったから、「むむむ?」と首をひねったり、目を見開いたり。
そのひとつが局アナの「卒業」セレモニーよ。
局アナは社員なんだから、何年かごとに人事異動があって部署が変わるのは当たり前のこと。リニューアルでその番組を去るにしても、「私の担当はこの3月いっぱいで終了です。次回からは○○さんが司会を務めます」と挨拶すれば充分だと思うんだけど、どうも違うんだね。
まず、こんな場面で必ずといっていいほど使われる「卒業」という言葉がザラつくのよ。これを聞くと、私らの世代は「何があった?」とつい深読みしてしまう。
というのも、かつて「卒業」といえば、不祥事を起こしたタレントを降板させるときに聞こえがいい言葉として使われていなかったっけ? そんなとき、最初は精いっぱいの笑顔をつくっていたタレントが、最後の最後で顔に悔しさをにじませるというシーンを何度か見た記憶がある。ま、栄枯盛衰はどんな番組でもあるんだから(そういえばTBS系『アッコにおまかせ!』も終了したね)、そう目くじらを立てなくてもいいかもしれないけど、年齢のせいかしら、「このタレント、仕事がなくなってどうするのかしら」などとつい余計な心配をしちゃう。
でも、そんな心配をする必要がまったくないのが局アナじゃない? なのに、大げさに「卒業しまーす」と画面いっぱいのどアップにしてからの花束贈呈。「本当にお世話になりました」と体を2つに折って涙、涙の別れって、おいおい、私たちは公共の電波で何を見せられてんだ。だってただの局内の人事異動だよ。そりゃあ、苦楽を共にしたスタッフ同士で「楽しかったね。でも大変だったね」と労い合ってもいいさ。でもそれ、視聴者まで巻き込むことか? 打ち上げでやればいいことじゃないか? それともこんなことで尺を稼がないと放送が持たない? 小学生の学級会のようで、なんだかとっても幼稚に見えて、こっちが恥ずかしくなるんだよね。
「テレビの価値はその程度」
テレビを見ていて感じる違和感はそれだけじゃない。ふつうの情報番組だと思って気を許して見ていたら、ん? なんでこんなに同じ商品を連呼するんだ?と気づいたときはもう遅い。番組のふりをした商品コマーシャルを見せられていた、とかね。
これに引っかかると、「もう騙されないぞ」と妙に目に力が入ってしまい、疲れるんだよ。あと、話題の番組や人気番組も要注意だよ。ここぞとばかり、大量にCMをはさんでくるからガマンも限界。ついトイレに立ったり、ちょっとした用事をすませているうちに話がつながらなくなっちゃう。これってなんかものすごく時間を損した気分になるんだよね。
なんてね。そんなグチを40代のBF(ボーイフレンド)に吐いていたら、「だから、それが間違っているんだって」と言われたの。「アンタのテレビの見方は昭和! テレビをブラウン管と言っていた時代のものなんだって」と。
ムッとしたけど、65才をすぎてからは10才以上年下の人が言う言葉をとにかく噛みしめて聞くことにしている私。「どこが?」と問うと、「ひと言で言うと、真に受けすぎ。ニュース番組だって本気で見ていいのは天気予報と地震速報くらいで、あとはただ聞き流しておけばいいんだよ。なんとなくトレンドをチェックすることもあるけど、テレビの価値ってその程度なんだって」だって。
さらに彼は、「そういえば70才を過ぎた高齢者って、朝から夜寝るまでテレビをつけっぱなしにしているっていうよね。テレビがついてないと落ち着かないって、75才の母親も言ってたし」と言いつつ、スマホから目を離して私をチラリと見る。
思わず、「あのさ、私はまだ69才になったばかりだし、何度も言うけど、テレビをつけっぱなしにする習慣はありませんっ!」と言いかけたけど、グッと言葉を呑み込んだ。たしかに、テレビの悪口を言っている40代以下の人って思い浮かばないもの。最初から見限っているというか、そんなもんだと達観しているのよ。なのに、昭和30年代から半世紀、テレビの黄金期を見続けてきた私ら世代は、いったんテレビのスイッチを入れると、意識が昭和に舞い戻っちゃう。そういえば私が子供の頃、テレビは高級家電で、ゴブラン織りのカバーをかけて、居間の上座に鎮座していたもんね。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。 ※女性セブン2026年4月30日号
