高市早苗氏の公式Xより

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衆議院の憲法審査会が16日開催。与党から、次回審査会で緊急事態条項創設について集中的な討議が提案された。

緊急事態条項とは、大規模災害やテロ、感染症のまん延など国家危機時に、政府への権限を集中させ、一時的に人権制限や法制定を実施する憲法規定だ。地震や武力攻撃など有事の際、権限を強化させることで早期解決を図るのが目的。現行憲法には緊急事態条項がなく、衆院解散時の「参院の緊急集会」がその役割を代替する規定となっている。

審査会で、自民党の新藤義孝氏は「ここまで議論が進んでいることを踏まえれば、さらに論点を深めるためにも、次回の審査会で、このテーマに関する集中的な討議を行ってはいかがか」と議論を進める考えを提示。日本維新の会の西田薫氏は「議論を進めていくべきは、いずれも火急のテーマである緊急事態条項創設と(憲法)9条改正に他ならない」と賛同した。

一方で、中道改革連合の國重徹氏は「新しく参加した会派や少数会派の意見を置き去りにしたまま、結論ありきで条文化に進むことは、やはり慎重であるべきだ」と慎重論。参政党の和田政宗氏は「憲法改正において感染症のまん延、パンデミックが含まれる緊急事態条項の創設に反対だ」と反対の姿勢を示した。

憲法改正をめぐっては、高市早苗首相が自民党大会で「時は来ました。改正の発議について、なんとかメドが立ったと言える状態で、来年の党大会を迎えたい」と強い意欲を示している。

指揮系統の一元化がメリット、基本的人権が制限される可能性も

緊急事態条項創設については、与野党で賛否両論となっている。

創設されるメリットは、前述通り災害時やテロなど有事の際、素早い対応や権力集中により一元的な指揮系統の確立ができる。また、対応などで選挙ができなくなっても、議員の任期を延長し、民主主義の空白を防げる。

デメリットとしては、緊急事態の定義があいまいなまま政府が発動を乱用し、民主的な手続きをないがしろにし独裁政治になる危険性、国民の生命・健康を守る名目で、憲法が保障する基本的な人権が過度に制限される可能性が考えられる。また、「災害対策基本法」「感染症特別措置法」がすでに整備されており、緊急事態条項を設ける必要がないと指摘する声もある。

自民党をはじめ、日本維新の会や国民民主党が賛成。一方で、参政党は感染症まん延などを含む条項に反対、立憲民主党はすでに体制が整えられているとして反対、日本共産党は改憲自体に反対という立場だ。また、日本弁護士連合会、札幌弁護士会、大阪弁護士会も反対の立場を明確にしている。

緊急時には、初期対応が重要となる。指揮系統も横断するより縦の方が指示も伝わりやすい。しかし、過去の災害時、対応ができていなかったかというと、できてもいる。国民への影響も大きい条項だからこそ、議論をしっかりした上で決定してほしい。

文/並河悟志 内外タイムス編集部