東洋エンジニアリング(6330)の株価は4月3日、前日比251円安(-9.77%)の2,319円と大幅続落して取引を終えた。4月1日に発表されたA種優先株式の普通株式への一部転換による株式価値の希薄化懸念が、強く意識されている。これに加え、2月に公表されたブラジル案件の巨額損失に伴う無配転落が、中長期的な投資心理の重石となっている。

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 同社は1日に、A種優先株式の普通株式への転換について適時開示を行った。発行済株式総数が増加することによる1株当たりの利益の希薄化率は10.9%で、市場では需給悪化を招く直接的な売り材料と受け止められている。3日の出来高は814万9,500株と急増しており、1月16日に付けた年初来高値8,760円からの調整が一段と加速する格好となった。

 業績面では、ブラジルの火力発電案件の影響で209億円の営業損失を計上したことが尾を引いている。2月12日の発表によれば、通期の業績予想は赤字に転落し、配当も無配へと修正された。自己資本比率の低下による財務健全性への疑義から、個人投資家の間では「上場廃止」といった過度な懸念すら取り沙汰されるほど心理的に冷え込んでいる。

■市場心理と需給の転換点に関する展望

 市場では現在の急落を、信用取引の強制決済を伴うセリングクライマックスと見る向きがある。3日の出来高が814万株超まで膨らんだことは、投げ売りによる需給の入れ替わりを示唆している。根拠として、4月3日の騰落率が全銘柄中で下位に沈んだことが挙げられ、売られすぎのシグナルが点灯しているとの観測がある。

 また、不採算案件の処理完了に伴う、市場心理の劇的な反転を予想する声も存在する。

 東洋エンジニアリングは、約5,600億円という豊富な受注残高を保有しており、これらが次期以降の収益に寄与し始めれば、株価はV字回復を見せる可能性がある。現在の時価総額1,497億円が、受注規模に対して過小評価されているとの見方だ。5月中旬の本決算で示される次期業績予想が判断の鍵となる。

 さらに投資テーマが、「プラント建設のリスク」から「国策プロジェクトの成長性」へ移行するとの思惑も根強い。

 南鳥島沖のレアアース泥プロジェクトといった新領域への期待が、需給を下支えするとの見立てである。プロジェクトの具体的な進捗発表が、市場センチメントを改善させる条件となるだろう。