記事のポイント
飲料ブランドは禁酒を押しつけず、節度やバランスを重視したマーケティングへ転換している。
ドライ・ジャニュアリーの離脱増を背景に、完璧を求めない継続型の訴求が強まっている。
競争激化を受け、ノンアル飲料各社は通年需要を見据えマーケ投資を拡大している。


2026年の1月、ノンアルコール飲料メーカーを含む各ブランドは、アルコールを悪者扱いすることを避けている。

新年に向けて個人的な健康目標を追求するにあたり、現在の消費者は総じて「バランス」を求めている。こうした変化は、より意識的な飲酒習慣の形成を促す「ダンプ・ジャニュアリー」(節酒)といったトレンドを生み出した。

この進化を受け、ノンアルコール飲料分野のブランドは、通年での節酒への関心を反映する形でマーケティングキャンペーンを微調整している。

恥をかかせるようなトーンではなく、応援団のような前向きな言葉遣いを用いることで、消費者が自社飲料を生活に取り入れやすくなることを期待している。

また、機能性ドリンクやカンナビス・トニックを含む製品が市場に増えるなか、これらの企業はターゲット層を広げるため、マーケティング支出を増やしている。

「オール・オア・ナッシング」のメッセージを避ける



アスレチック・ブリューイング(Athletic Brewing)のチーフマーケティングオフィサーであるアンドリュー・カッツ氏はModern Retailに対し、ドライ・ジャニュアリーは伝統的に、ホリデー期間の過度な飲酒のあとに健康目標を達成するため、1月を禁酒期間とすることで「体のリセット」として捉えられてきたと語った。

「しかし我々は、人々に自分なりのやり方で取り組んでほしいと考えている。そのためのよい選択肢でありたいから、『アスレチック・ジャニュアリー』と呼んでいるのだ」とカッツ氏は述べた。

カッツ氏によれば、1月の第2週末は、ドライ・ジャニュアリー参加者のあいだで「クイッターズ・デー(新年の目標に対するモチベーションが落ちる日。転じて、目標を継続するための再スタートの日)」と見なされるのが一般的である。

バーチャルケアプラットフォームのオア・ヘルス(Oar Health)が2025年に実施した調査では、ドライ・ジャニュアリーへの参加率は過去最高となった。

ドライ・ジャニュアリーは参加者の3分の1が離脱する現実



しかし、数百万人が1カ月間の禁酒を誓う一方で、調査では3人に1人が挑戦を完遂できていないことも示されている。

そこでアスレチック・ブリューイングは、人々がより長く目標を維持できるよう、1月の第3週からキャンペーンを強化し、飲酒を控えることで来店が減りがちなバーやレストランといったチャネルにも、引き続き顧客へのリーチを図っている。

「我々の目標は、人々に外に出て社交的でいられること、そして1月の目標を達成できることを伝えることだ」とカッツ氏は語った。それは、1カ月間完全にアルコールを断つことを意味する場合もあれば、平日のみ控えることを意味する場合もある。

さらに同社はオープンテーブル(OpenTable)と提携し、自社ビールを提供している飲食店を顧客が見つけやすくした。

加えて、外食のレシートを提出すると小売店で5ドル(約750円)割引を受けられる並行プロモーションも実施している。

機能性飲料ブランドが「節度」を前面に打ち出す理由



ここ数年、ビールやワイン、スピリッツの必ずしも代替ではない機能性飲料ブランドも、ドライ・ジャニュアリーやソーバー・オクトーバーを積極的に活用してきた。

リセス(Recess)の創業者兼共同CEOであるベンジャミン・ウィッテ氏は、同社の新キャンペーンは、アルコール回避よりも節度を重視する全体戦略を反映していると述べた。

ウィッテ氏によれば、リセスの消費者は主に2つの場面で同社飲料を飲んでいる。平日の夜にワインの代わりとして飲む場合と、社交の場でアルコール飲料の合間にモクテル(ノンアルコールカクテル)として飲む場合である。

「我々はリセス製品を、禁酒者や禁酒志向の人々だけでなく、節度を持って飲める人向けに位置づけようとしている」とウィッテ氏は語り、ノンアルコール飲料を飲む人の多くが節度を重視していることを販売データが示していると指摘した。

「完璧」を求めないメッセージで参加者の離脱を防ぐ



そのため、気分を高めるモクテルブランドを掲げるリセスは、製品を単なるアルコール代替品として厳密に訴求することを避けている。

1月のリセスのメッセージは、硬直的なオール・オア・ナッシングの姿勢ではなく、「バランスと節度」を称揚する内容であるとウィッテ氏は述べた。

キャンペーンの焦点のひとつは、月の重要なタイミングにドライ・ジャニュアリー参加者へリーチすることである。

同社は1月11日の「クイッターズ・デー」(新年に立てた目標を諦めてしまいがちな日)に合わせ、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)日曜版に全面広告を掲載した。

広告のタグラインである「完璧さは最悪の新年の抱負だ」は、リセスのメッセージを端的に表している。新キャンペーンには、ニューヨークでの屋外広告、対面型の施策、インフルエンサーキャンペーンも含まれている。

ドライ・ジャニュアリーの位置づけを超えて



ここ数年のドライ・ジャニュアリー・マーケティングの進化は、健康やウェルネスに関心を持つすべての人にターゲットを広げる必要性を反映している。

競争が激化するなか、ノンアルコール飲料および機能性飲料カテゴリーのブランドは、プレッシャーを感じている。

2026年、アスレチック・ブリューイングは「アスレチック・ジャニュアリー」キャンペーンを皮切りに、マーケティング支出を約50%増やす計画である。

カッツ氏は、支出増の判断が主に、過去1年でノンアルコールカテゴリーの競争が激化したことによるものだと認めた。これには、セレブリティブランドやスタートアップの新規参入に加え、ミケロブ・ウルトラ・ゼロ(Michelob Ultra Zero)のような大手ブランドも含まれる。

通年の飲料選択肢としてのノンアルコール戦略



イタリアのノンアルコールワインブランドであるプリマ・パヴェ(Prima Pavé)も、1月は節度の促進に注力している。

「2026年は、プリマ・パヴェが一年中、飲料のローテーションの有力な一部となることに注力している」と、プリマ・パヴェ創業者のデジュ・マラーノ氏は語った。これは、同ブランドの幅広いノンアルコールワインを顧客の社交の場に取り入れることを促すことを意味する。

「我々はコミュニティに対し、年間を通じて『意図を持つこと』『生活のバランス』『リセットと再スタート』について語りかけている」とマラーノ氏は述べた。

マラーノ氏によれば、新規プレーヤーの増加を受け、同社はマーケティング活動と予算も拡大している。

「参入者が増えるなか、ブランドはよりダイナミックな形で可視性を確保しなければならない」と同氏は語った。これは、デジタルマーケティングチャネルでの製品プロモーションにとどまらないことを意味する。

2026年、同社は複数の施策を展開する予定であり、たとえばウェルネスリトリートのスポンサーや、ライフコーチ、シェフ、ビバレッジディレクターと密に連携し、ノンアルコールメニューや提供内容を共同で開発している。

飲酒頻度の低下がもたらす長期的な市場変化



ウィッテ氏は、リセスが競争優位性を確保する方法のひとつとして、クラフトモクテルから「ムードドリンク」まで多様な製品群を提供している点を挙げた。

飲酒頻度を下げることがより主流になるなか、この長期的な位置づけは、より広い市場に適合すると同氏は述べた。

「節度がより一般的になるにつれ、ドライ・ジャニュアリーの役割はそれほど必要ではなくなっていると思う。特に、人々が年間を通じてアルコール摂取を調整している場合はなおさらだ」とウィッテ氏は語った。

[原文:Beverage brands update Dry January marketing based on changing consumer habits]

Gabriela Barkho(翻訳、編集:藏西隆介)