広島テレビ放送

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住宅用火災警報器を扱う企業は、ゲームメーカーと共同開発した地震や津波を疑似体験するVRを、2025年8月に発表しました。臨場感の体験や、選択肢によって防災レベルを評価することが特徴です。広島テレビの塚原美緒気象予報士・防災士が取材しました。

自動火災報知設備や消火設備などを取り扱う「能美防災」中国支社で見せてもらったのは、地震や津波を疑似体感できるVR(バーチャルリアリティ)の装置です。能美防災中国支社長の五十嵐幹さんに話を聞きました。

■能美防災中国支社長 五十嵐幹さん
「ゴーグルをつけると、それ(地震・津波が)実際に目の前で起こっているかのような体験をすることができます。」

早速、ゴーグルを装着し、手にはコントローラーを持ちます。

■ 広島テレビ 塚原美緒気象予報士・防災士
「目の前にパソコン画面があって、リアルなオフィスみたいです。」

■能美防災中国支社長 五十嵐幹さん
「360度見渡せますので、自由に見てください。」

2025年8月にリリースしたVRは、石川県のゲームメーカーと共同開発しました。映像の制作プロデューサーが岩手県釜石市出身で、地震や津波に特に思い入れがあり、人々の混乱の様子も含めてリアルな作りとなっています。VR映像から地震を知らせる音声が流れてくると、手に持ったコントローラーが震え、本当に震動がきているかのような感覚になります。天井が落ちてくるなど「臨場感」を追求し、可能な限り現実に近いものにすることで、災害への危機意識を高めます。

■VR映像より
「どうかしましたか?早く逃げないと!」

「保育園を飛び出してしまった園児たちを探しに来たんですが、とても高台までたどりつけそうになくて、困っているんです。」

「確かに、子どもの歩く速度では間に合わないよ。」

「先生、こわいよ。」

避難した屋上から、押し寄せる津波の様子も見ることができます。映像は、東日本大震災の被災者からのヒアリングを元に、構成されています。

■ 広島テレビ 塚原美緒気象予報士・防災士
「もう濁流が・・・トラックも家も全部流されていますね。たくさん避難している方が、いらっしゃいますね。こんなもう逃げ場がない中で、地震が発生なんて恐ろしいでしょうね。」

そして、このVRの一番の特徴は、ただストーリーが進むのではなく、今自分がしている備えでできる行動を選択します。

■VR映像
「え、伝言ダイヤル?知っていますか?」

■広島テレビ 塚原美緒気象予報士・防災士
「災害用伝言ダイヤル『171』ですよね。話し合っている。」

体験を終えると、防災レベルが6段階で評価されます。

■能美防災中国支社長 五十嵐幹さん
「Sレベル。最高レベルです。誰一人見捨てない。素晴らしい備えができていると思います。」

■広島テレビ 塚原美緒気象予報士・防災士
「自分が普段、どういった備えができているのかできていないのか、それをここでリアルに体験しながら、確認することができるんですね。」

VRは中学生以上が対象で、企業の避難訓練や防災イベントなどで活用していくということです。VRは決して恐怖をあおるものではなく、自分事として正しく教訓にしてほしいという思いがあるそうです。

■能美防災中国支社長 五十嵐幹さん
「火災や津波、大地震の恐怖や人々の混乱の様子を体験することで、防災意識を高めて、いつ来るか分からない災害に備えていただきたいと思います。」

9月26日に政府の地震調査委員会が、南海トラフ地震の発生確率の改定を発表しました。これまでの「30年以内に80%程度」から、「30年以内に60%~90%程度以上」とし、確率の計算の元となるデータに、元々あった誤差を踏まえた結果、このように幅のある数字になりました。いずれにしても確率は高く、間隔を開けて、過去に繰り返し発生していることから、いつかは必ず起こると言われています。日頃から、防災意識を高く持っておくということが大切です。

さらに、能美防災では、他にも様々な防災事業に取り組んでいます。水や食料、トイレなど災害時に必要なもの3日分を、コンパクトにまとめた備蓄セットは、企業の備えにも人気だといいます。

また、備蓄食の賞味期限が近づいた際に、フードバンクへの寄付を仲介する事業も行っています。

■能美防災中国支社長 五十嵐幹さん
「企業側は、廃棄物として処分しなければいけない。フードバンクは、食べるものに困っている方に食を届けたい。そこの橋渡しをすることでフードロスの削減、そして、社会貢献という両立をはかるサービスになります。」

フードロスの削減は、防災のさらに一歩先の画期的な取り組みです。気になった方は、ぜひ見てみてください。