トヨタ「新型カローラクロス」に史上初“走り”の「GRスポーツ」設定! 実際どう違う? パワフル「2リッターエンジン」×専用“スポーツサス”も採用! 注目の「スポーツ仕様」の印象は?

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初の「GRスポーツ」 走りはどう変わっている?

 トヨタ「カローラ」の歴史を振り返ると、王道のセダン/ワゴンに対し、その時代の“トレンド”を反映した派生モデルが用意されてきました。現在は世界的なクロスオーバーSUV人気に対応するため、2021年に登場した「カローラクロス」が用意されています。

 その人気の高さは、2024年度のカローラシリーズ全販売台数の約半数を占めるほどで、「カローラ群のエース」といってもいいモデルとなっています。

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 そして2025年5月、カローラクロスとしては初となる大幅改良に合わせて追加されたモデルが、「GR SPORT(以下、GR-S)」です。

「カローラクロス」初の「GR SPORT」の実力は?

 GR-Sは、既存モデルをベースに「GR」の技術やエッセンスを注入した、いわばGRの“入門編”というモデルです。

 直近はベース車の世代交代などでラインナップが減少していましたが、今年5月に世界初公開された6代目「RAV4」に加え、今回のカローラクロスと、販売力の高いモデルに設定。GRブランドの民主化がより広がっていくはずです。

 今回、そんなカローラクロスGR-Sに試乗してきたので報告したいと思います。

 もしかすると、カローラクロスに詳しい人のなかには、「以前から(GR-Sは)海外向けにあったよね?」と思う人もいるはず。確かに、タイ仕様では2021年にGR-Sが設定されています。

 ただし、タイ仕様では見た目の変更が中心で、ドレスアップ的要素が強かったのも事実です。そういう意味では、今回の日本仕様車は“リアル”GR-Sといっていいでしょう。

 エクステリアは専用のフロントバンパー&グリル、ヒカリ物を抑えたガーニッシュ類、レッド塗装のブレーキキャリパー、そして19インチアルミホイール(軽量&高剛性)などを装備。

 SUVはスポーツモデルよりも厚いフロントマスクですが、新世代のGRの「ファンクショナル マトリックス グリル」がバランス良くデザインされています。

 筆者(山本シンヤ)としては、むしろノーマルよりもスマートな印象すらあり、中国向けのカローラクロス「フロントランダー」に近いイメージがします。

 インテリアは「GRカローラ」と同じスポーツシートに加え、ブラック×シルバーのコーディネイトにより、スポーティさだけでなく質の高さも感じます。

 ただ、残念なのはシート調整が手動であることや、ノーマルの最上級グレード「Z」に採用のシートベンチレーションが未設定(シートヒーターのみ)なことです。

 個人的には海外向け仕様に設定のあるJBLサウンドシステムも選択できないのもちょっと…。

 開発陣は「スポーツなのでできるだけ軽くしたかった」といいますが、GR-Sはカローラクロスの中で最も高価なグレードなので、「安いグレードに装着されているのに、なぜ?」はダメです。

 さらにいうと、フル液晶メーターにGR-Sの世界観に合った「スポーティ」なデザインがあるにもかかわらず、納車時のデフォルト(初期)設定になっていない事も気になります。

専用の「2リッターハイブリッド」と足回りの“味付け”変更で走りも変化!

 パワートレインは、従来のGR-Sシリーズでは基本的にはノーマル車と共通でしたが、カローラクロスGR-Sは日本仕様のノーマル車には設定のない2リッターHEV(ハイブリッド)のTHS IIを搭載。

 2リッターエンジンは新世代の「ダイナミックフォース」で、かつモーター出力もアップしているので、システム出力は140psから199psへと向上。絶対的な力強さはもちろんですが、日常域では「+500cc」くらいの余裕があり、クルマがより軽快に感じます。

懐の深さとダイレクト感を両立した「カローラクロス GR SPORT」

 ちなみにドライブモードの「スポーツ」はGR-S専用制御ですが、実はトヨタHEV初となる、「アクセルオフ時にエンジン停止をしない制御」です。

 ノーマルは、「アクセルOFF→エンジン停止→アクセルON→エンジン始動」という動きのため、再加速時にラグが生じ、それが意のままの走りを阻害していましたが、GR-SのそれはアクセルOFFでもエンジン回転数を維持するので、ラグなく加速体制に移れるというわけです。

 実際に乗ると、確かにあの“もたつき”が抑えられ、THS IIの中ではリニアな特性に近づいたかなと。6速のシーケンシャルシフトが装着されていますが、欲をいえばDレンジのまま、ステップシフトのようにリズミカルな加速ができると、より心地よい加速になりそうですが、どうでしょうか。

 フットワークは、リアバンパーブレースと締結剛性アップ(ノーマルと同じ内容)により体幹を引き締めた車体に、10mmローダウンされた専用サスペンション(スプリングバネ定数アップ&リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバー)、フロントロアアームの高硬度化(GRカローラと同じもの)、225/45R19サイズのヨコハマ「ADVAN FLEVA」を採用。

 これらは、GRカローラを担当したトヨタの凄腕技能養成部 大阪 晃弘氏がセットアップを行なっています。

 ノーマル車では、クルマの反応や動きはセダン/ツーリングに対して、「薄皮を2〜3枚入れた」ような穏やかさがありますが、GR-Sはその薄皮が外され、より俊敏なノーズの入り、よりダイレクトな応答、より姿勢変化を抑えたクルマの動きが印象的です。

 この辺りはGRカローラのそれと良く似ています。その結果、SUVというより「目線の高いカローラツーリング」に近いかなと感じます。

 ただし、走り一辺倒というわけではなく、誰でも安心して自然に扱えるという、カローラの懐の深さは不変です。

 乗り心地はノーマルよりも硬めですが、入力のカドの丸さや無理に抑え込まないスッキリとした減衰感などから、大径かつスポーティな銘柄の19インチタイヤ装着にしては快適性が高いと思いました。

 いっぽう、タイヤは路面のザラつきを必要以上に伝えてしまうのと、路面変化で音の変化が大きいのが少々残念なところ。タイヤは先代の「C-HR」のGR-S用を活用していますが、個人的にはもう少しプレミアムな銘柄のほうが良いと思いました。

 総じていうと、カローラクロスGR-Sはファミリーカーとしての実用性を損なうことなく、GRの「もっといいクルマづくり」の知見が色濃く感じられるモデルに仕上がっており、ズバリ「クルマ好きのためのノーマル」と言っていいと思います。

 そういう意味では、現代版「カローラセダン 1600GT」のような存在なのかな…と。

 ちなみに、カローラクロスGR-Sはメーカーの想定を大きく超える人気で、現在新規の受注が停止されている状況です。

 開発陣は「生産キャパシティの増強は工場側と連携しながら進めています」とのことですが、個人的には「待ってでも手に入れる価値のあるクルマ」だと思っています。