年1075万円の「不労所得」が手に入る…投資歴27年の脱サラ投資家がコツコツ買い続ける銘柄の"7つの条件"
■「配当金」が毎年増えていく銘柄は魅力的
増配とは配当金が増えることを指します。本書では、株価の本質的価値への回帰をより確実にするには「増配期待が高い銘柄に投資する」と言いましたが、これは「配当金」が毎年増えていくような銘柄に投資するという意味です。高配当株は現時点での配当利回りが高い銘柄ですが、増配銘柄とは毎年配当金が増えていく銘柄です。
増配は、いずれ大きなリターンになります。例えば株価1000円、配当金35円の銘柄があるとします。配当利回りは3.5%です。この銘柄の年間増配率が9%だとすると1年後には配当金は1.09倍の38円になります。すると8年後の配当は2倍の70円です。株価が変わらなければ8年後の配当利回りは7%となるのですが、そんな銘柄を市場が放っておくわけがありません。
買い手が増え、株価は2倍の2000円になるでしょう。すると2000円で70円の配当金ですから、配当利回りは70円÷2000円で3.5%です。ただし、1000円で買っているので買値に対しては7%の利回りになります。
この間のインカムゲイン(受取配当金)は365円、配当金を再投資すれば約400円です。8年間に株価が2倍の2000円、そして配当金を含めると2400円の評価になり、投資元本の約2.4倍です。8年間で2.4倍ですから、年間パフォーマンスは11.56%に相当します。年間リターン11.56%なら36年で資産が約51.3倍になります。30歳で元本500万円を投資していれば、66歳で2億5650万円です。老後の心配はなさそうです(売却時の税金は含んでいません)。

■平均で「年間増配率9%」を狙う
実際の株価は増配につれて上昇することになりますが、この夢のような話を現実にする条件は何でしょうか? ポイントはポートフォリオ(PF)全銘柄の平均で年間増配率9%を長期にわたり達成できるかどうか? です。結論から申し上げて、私はこれを可能だと考えていますし、実際に私のPFでも達成しています。
次の図表2は私の主要5PFの3期前、2期前、前期、今期予想の増配率の推移をまとめたものです。この主要5PFは合計で254銘柄あり、分散投資が効いています。5PFの過去の平均増配率の推移は3期前22.7%⇒2期前15.9%⇒前期20.3%です。かなり余裕を持って増配率9%をクリアしていることがわかっていただけると思います。

なお、今期の増配予想が10.4%とやや低めに出ているのは、例年、期中や決算発表時に増配発表する銘柄が多いためで、最終的な増配率は上昇することが見込まれます。
また、各PFの配当性向も見てください。配当性向は会社が純利益(税引後利益)から、配当金をどのくらい支払っているかを示した指標です。私のPFの平均配当性向は35.13%(配当額未定の三菱UFJは除いて計算しています)でこの数字からも配当余力が十分にあることがわかります。私は銘柄選定時に現時点での増配余力と今後のEPSの成長期待を考慮しています。そこで、こんな増配率が達成できているのです。
■増配が期待できる“7つの条件”
それでは、ここからは私の具体的な「増配銘柄」選定方法をご説明します。私が「長期にわたり増配が期待できる」と考える銘柄とは、以下の条件を満たす企業です。
? 過去の配当推移が増配傾向
? 配当政策にDOE・累進配当政策を採用している、または日経連続増配株指数・日経累進高配当株指数に採用されている
? 業績が安定している(安定+長期で右肩上がり)
? キャッシュリッチである(キャッシュ創出力)
? 割安(低PER)である
? 成長期待がある
それぞれの条件について、詳しく掘り下げてみましょう。
?配当性向が低い
増配狙い投資の場合は企業の配当余力が十分であることが望ましいです。同じ配当利回り3%の企業でも、配当性向30%の企業と配当性向90%の企業では、前者の方が配当余力があり良い投資先と考えます。
■「配当性向」が高い企業は避ける
以下2つの会社を比べてください。
◎株式会社A:配当性向30%
1年間に稼いだ利益の30%を配当金として支払う
◎株式会社B:配当性向90%
1年間に稼いだ利益の90%を配当金として支払う
株式会社AもBも配当利回りは3%だとして、投資先としてはどちらの会社が良いと思いますか? 答えはAの配当性向30%の会社です。配当性向が低いということは、それだけ増配余力があるということだからです。例えば配当性向30%の会社は利益が同じでも配当性向を40%に引き上げると、それだけで33%の増配になります。

一方、配当性向90%の企業ではそうはいきません。利益自体の成長がないと、これ以上の増配は難しくなります。

■「増配傾向にあるか」を見る
選定基準の目安は配当利回りが「配当性向÷10」以上です。配当性向が40%の企業であれば、配当利回り4%以上は欲しいという考え方です。一方、配当性向が20%であれば、配当利回りが2%以上でOK。あくまで目安の一つで、成長力や過去の増配傾向等によりこの基準は多少変えていきますが、大まかなイメージとしてこういう指標を使っています。
実はこの条件式はPER10倍以下の株を買いましょうということと同義ですが、上記条件式の方がより増配見込みに対するイメージが湧きやすいので、この考え方を取り入れています。
?過去の配当推移が増配傾向
最終的な狙いは「継続した長期にわたる増配」を受け取ることです。いくら配当余力があっても実際に増配してくれなければ何の意味もありません。配当性向が低く過去の配当推移が増配傾向である企業を選定することで、「増配余力もあり」「実際の増配が期待できる銘柄」を選定できます。
過去は未来を保証するわけではありませんが、企業の配当に対する過去の姿勢は未来を予想する上で役立ちます。過去が増配基調の会社は、今後も増配を続ける可能性が高いのです。

■「配当政策」と「業績の安定性」を見る
?配当政策にDOE・累進配当政策を採用している、または日経連続増配株指数・日経累進高配当株指数に採用されている
企業が配当政策に「累進配当政策」や「DOE」を採用している場合は、増配継続確率がぐっと高まります。これは日経連続増配株指数や、日経累進高配当株指数に採用されているような銘柄も同じです。
これらは増配銘柄を選定する上で非常に重要な要素であるため、私は「連続増配宣言株(累進配当政策を採用)」のみで構成しているPF、「DOE採用銘柄」のみで構成しているPF、「日経連続増配株指数または日経累進高配当株指数採用銘柄」のみで構成しているPFを運用しています。詳しくは本書の第2部で説明しています。
?業績が安定している(安定+長期で右肩上がり)
どれだけ「配当性向」が低くて現時点での増配余力があっても、業績が不安定で大元の「利益」がぶれるようではこのロジック(低配当性向銘柄への投資)は破綻します。長期にわたり「業績安定&業績右肩上がり」の企業を選定します。
中でも、リーマンショック期(2008年〜2009年)やコロナショック期(2020年)の業績は要チェックです。この時期の落ち込みが小さく黒字を確保しているような企業は経済危機などに対するショック耐性が強いと考えられます。
■キャッシュがあり、割安か
?キャッシュリッチである(キャッシュ創出力)
現金は配当の原資です。現時点でキャッシュリッチであればそれだけ配当余力があるということになります。そしてそれ以上に大切なのは、キャッシュの創出力です。会計上の利益が大きくても、定期的な設備投資でキャッシュが一向に貯まらない企業というのは、長期で増配を続けるのが難しくなります。
具体的な確認方法としては、長期にわたり「現金同等物」が右肩上がりで推移しているかと、本書第2部で説明する「資産価値を含めたPER(買収者視点による割安度)の確認」で見ても割安かで判断することになります。
?割安(低PER)である
増配狙い投資でも「割安」が前提です。極端な例を出せば、PER5倍の会社が利益を全て配当に回すと配当利回りは20%です。配当性向が50%なら配当利回りは10%、配当性向が30%なら配当利回りは6%です。これだけで低PERの会社のパワーがわかっていただけると思います。
低PERで配当性向が高い会社は存在しません。そのような会社の配当利回りは相当高くなるので、その会社の株は買い上げられてPERは上昇しているはずです。狙い目は、PERが低めの会社で配当性向が低い会社です。これらの企業が配当性向を市場平均並みに引き上げるだけで、配当利回りは大きく上昇することになります。

■“成長性”を判断する3つのポイント
?成長期待がある
配当の原資は手元の資金と未来のEPSです。EPSの成長力が重要なことは言うまでもありません。私が企業の今後の成長性を判断する上で重視しているのは以下の3点です。
? 参入障壁
? 成長余地(マーケット)
上記???は言い換えると、
・利益は「競争優位性」から来ているのか?
・真似されにくい強みなのか?
・成長余地はあるのか?
です。未来のEPSの予想において分析すべき項目は星の数ほどありますが、上記のような根本的な要素を押さえるだけでも、その精度はぐっと上がるものです。ここでは駆け足で「増配銘柄」を選定する上での重要ポイントを説明しましたが、本書の第2部の銘柄分析を読んでいただくとより深く理解できるようになると思います。
これら7つの項目を意識して銘柄選定をするとPF構成銘柄の増配確率・PFの増配率が格段に上昇します。そして何度もお話ししているように、増配を続ける銘柄の株価が上がらないわけがないのです。
■“40年後の配当が346万円”になる仕組み
仮にポートフォリオ全体で年間10%の増配率を維持できた場合の受取配当がどのようになるかも見てみましょう。
上記の前提条件では1年後の受取配当金額は350万円の3%である10万5000円から税金20%(正確には20.315%ですがここでは簡易的に20%としています)を引いた8万4000円です。それが翌年からポートフォリオの(保有銘柄全体での)平均増配率が10%になると、受取配当金額は以下(図表5)のように増えていきます。

40年後には約346万円になります。嘘みたいな話ですが本当の話です。年間増配率10%に複利の力が合わさると凄いパワーになるのです。実際のところ、受取配当を増やすエンジンは増配だけではありません。増配を含めて以下の3つのエンジンがあります。
■「配当金ライフ」も夢じゃない
この3つのエンジンが合わさるとどれだけの力になるかを見ていきましょう。先ほどのシミュレーションに「毎年60万円の追加資金の投入」と「配当再投資」を加えただけです。
・現在350 万円のポートフォリオを組んでいる
・現在の配当利回り3%
・毎年60 万円の追加資金を投入
・新たに購入する株式の配当利回りは3%
・配当再投資の配当利回りは3%
・毎年10%増配する
・受取配当の税金は20%
ですが、結果は劇的に変わります。

スタート時の年間受取配当金の8万4000円が、10年後には約46万円、20年後には約173万円、30年後には約582万円、40年後には1899万円になります。衝撃的です。40年後には配当金の収入だけで十分生活ができそうです。
毎年の「追加資金投入による配当金額アップ」「配当再投資分の配当金額アップ」「増配による配当金額アップ」がどのように推移したかをグラフにしてみましょう。実際にこの差を可視化してみると、大きな違いに皆さん驚くのではないでしょうか。

時が経てば経つほど「増配によるパワー」が劇的にアップしているのが一目でわかりますよね。例えば30年後は29年後より受取配当金は65万9420円増えます。
■長期投資が可能な人には「再現性」「安全性」が高い
増配要因の内訳は以下の通りです。
・60万円の資金投入による配当金の増加額 1万4400円
・配当再投資による配当金の増加額 12万3972円
・増配による配当金の増加額 51万6549円
増配する株を買って複利の力を最大限に活用すると、将来とても大きな配当を受け取れます。
投資にとって時間は大きな財産です。特に、長期投資が可能な人にとってこの戦略は、ほかの投資法との比較でも、再現性と安全性がかなり高い投資手法といえます。念のため少し補足ですが、このシミュレーションはあくまで机上のもので、年間増配率10%の継続が前提条件になっています。

例えば株価が1000円、EPSが100円、配当性向30%、配当金30円、配当利回り3%の企業があるとします。この企業が増配率10%を30年続ければ30年後の配当金は1745円になります。今のこの企業のEPSは100円。その企業が年間増配率10%を維持するには純利益が増え続けなければ不可能です。
つまり、年間増配率をポートフォリオ全体で長期にわたって維持するには増配率に近い増益を毎年達成できる企業を選ぶか、銘柄の入れ替えを行わなければなりません。現実にはこの2つの組み合わせによって達成していきます。銘柄入れ替えでは売却時に利益に応じて税金も支払うので、上記のシミュレーションそのままというわけにはいきません。それでも、増配に大きな果実があることは実感できると思います。
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ヘム投資家兼会社経営者
京都大学卒業後、総合商社に入社。社会人1年目より投資を始め投資歴は27年になる。30歳で脱サラをし起業。現在、2社を経営。363銘柄保有中、投資時価3.7億。個別銘柄分析&ポートフォリオ構成銘柄&成績をXで公開したところ、アカウント開設後、1年半でフォロワーが3万人突破。投資手法の軸は「小型割安株」と「増配期待株」と「暴落時の買い向かい」の3つのアノマリー。データを重視した投資手法で、その再現性の高さから、株クラから投資初心者まで幅広い支持を得ている。
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(投資家兼会社経営者 ヘム)
