「答えのない時代」をいかに生き抜くか…

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『答えのない時代』に

『答えのない時代』をいかに生き抜くか─。本誌の表紙に、この問いかけを表記させてもらっているが、読者の皆様と一緒に考え、解決策を掘り起こしていきたいと思う。

 ウクライナ危機もロシアの侵攻が始まって1年半近く、ロシア国内では武装組織『ワグネル』の〝反乱〟が起きるなど、情勢は流動的。ウクライナ国内でのダム破壊や原発管理に世界中から懸念が寄せられ、不穏な状況だ。

 想定外の事が次々と起きて、無力感に襲われそうになるが、ここはいま一度気を引き締めていきたいものだ。

 行き先不透明で、社会全体が混沌とすると、課題も山積し、ポピュリズムが台頭してくる。

 そして、一気にその課題を解決しようと誰かを担ぎ出そうとする。複雑な状況を敢えて単純化し、一見解決に導くかのような言動を取る独裁者が出てくる。

 第2次世界大戦前のドイツのヒットラー登場がそうであり、今回のウクライナ侵攻を始めたロシア大統領のプーチン氏がそうである。


狂気には正気で

 戦争は人を狂わす。相手の国に独断で侵攻し、都市に向かってミサイル攻撃を繰り返す。何の罪もないウクライナ国民や子供たちまでが攻撃にさらされ、命を落としていく。何とも不条理だ。

 ウクライナの未来を担うはずの子どもたちが命を失う。それに対して反省も、何ら憐憫(れんびん)の情も持たず、ただ人を殺めることに狂奔する一握りの指導者。

 怖いのは、そうした狂気が世界を不幸に陥れることだ。

 1914年に勃発した第1次世界大戦もオーストリアの皇太子が訪問中のサラエボで撃たれ、落命したことがきっかけだった。一発の銃弾が世界の運命を変えた。

 今、ウクライナのザポロジエ原発に世界中の人々が関心を向けるのもそうした〝歴史の瞬間〟を人類の記憶としてとどめているからだ。

 しかし、諦めてはいけない。望みを失ってはいけない。北欧の詩人はこう謳ったという。『明日地球が滅びるとも、君は今日、リンゴの木を植える』と。人には人としての生き方がある。望みはある。


ポピュリズムの時代

 困難な状況を切り拓き、望ましい方向へ持っていこうという〝志〟は常に存在する。

 日本国内での『令和臨調』(令和国民会議)などの動きを見ても、それを感ずる。

 経済人や労働界、学識経験者など各界から有志が集まり、『日本社会と民主主義の持続可能性』を実現するべく行動を起こそうとしている。『令和臨調』はコロナ禍の2022年6月に正式発足。

 共同代表の1人、茂木友三郎さん(日本生産性本部会長、キッコーマン名誉会長)も「今、世界を見渡しても、ポピュリズムが随分起こっている」という認識を示しておられる。

 フランスの政治にもその傾向が見られ、スウェーデンではポピュリズム政党が第3政党のポジションを獲得。イタリアの政権党にもその傾向があるといった具合だ。

 ポピュリズム。よく大衆迎合主義と訳されるが、国民の不満や不安を煽り、〝敵〟をつくり上げ、それを徹底的に叩こうとする動き。結果的に社会の分断を産む。

 歴史的には、戦前のドイツの指導者、ヒットラーが有名。近年では、極端な移民排斥で白人の低所得者層を味方に引き入れた米国のトランプ前大統領もそうだ。現在の米国も価値観の対立で〝分断社会〟となり、国際政治や経済体制にも影響を及ぼしている。


茂木友三郎さんの思い

「いろいろな問題が山積して、それが残っていると、(社会全体に)かなり強力なリーダーを欲する気持ちが生まれると。元気のいい人を欲するというのがポピュリズムをつくっているわけですね。アメリカもそう。トランプさんが出た背景にはそういう傾向があるわけですよね。問題がいろいろある中で、俺が全部やるよということになり、また投票でもそういう人に期待して入れるということですよね」