―生成AI絡みで半導体関連株など注目、米金融政策には依然慎重姿勢くすぶる―

 米株式市場が上昇基調を強めている。今年前半にもたつきがみられたNYダウは足もとで年初来高値を更新し、ナスダック指数も上昇を続けている。この背景にあるのは、米インフレ懸念の後退と生成AIなどによるテクノロジー企業への業績寄与だ。これから米国は4~6月期の決算発表が本格化する。ただ、市場は過度に楽観論に傾いているとして高値警戒感を指摘する声も出ている。果たして、米株式市場はサマーラリーへと突き進むのか。

●NYダウは7カ月半ぶり高値に浮上、ディスインフレ論も浮上

 17日のNYダウは前週末に比べ76ドル高の3万4585ドルと昨年11月下旬以来、7カ月半ぶりの高値圏に上昇した。また、ハイテク株の比率が高いナスダック指数も昨年4月上旬以来、1年3カ月ぶりの水準に上昇した。同指数は、年初から30%強上昇している。

 米国市場は、3月に米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻に端を発した金融システム不安もあり、特にNYダウは年前半にかけて上値の重い展開が続いた。金融システムに対する不安は、足もとではほぼ落ち着いたが、今夏にかけてはインフレによる金融引き締めに対する警戒感が台頭。昨年から米連邦準備制度理事会(FRB)は急激な利上げに踏み切ったものの、依然としてインフレ懸念は根強い。

 しかし、6月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回るとともに、7月25~26日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げで「金融引き締めは打ち止めとなる」(市場関係者)との見方が強まっている。米政策金利は、年内は横ばいで、新年には利下げに転じるとの見方も出始めた。「長らく頭痛のタネだったインフレ懸念が後退し始めディスインフレ論が浮上したことが米株式市場を一気に活気づけた」(同)格好だ。NYダウは夏場にかけ3万5000ドル台への上昇を期待する声も強まっている。

●米金融当局はタカ派姿勢を維持する、との見方も

 ただ、その一方でアナリストからは、7月FOMCや8月下旬に開催される米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」では、「場合によっては市場の期待に水を差すタカ派発言が飛び出さないとも限らない」と警戒する声も根強い。

 足もとのインフレ懸念の後退は、昨年夏以降の原油などエネルギー価格下落などを背景にしたものであり、米景気は加速の様相もみせるなか、FRBのタカ派勢力はインフレに対する警戒心を解いていない、ともみられている。実際、直近ではFRBのウォラー理事などが楽観論にクギを刺す発言を行っている。それだけに、なお米景気動向と金融政策の行方に対して警戒論はくすぶるともみられている。

●TSMCやASMLなど半導体関連企業の決算注目

 一方、米4~6月期決算が本格スタートした。先頭を切り14日に決算発表を行ったJPモルガン は増収増益となり、同社の株価は上昇した。また、市場では 生成AIの登場で需要拡大が予想される 半導体関連株などへの期待が強いほか、コロナ禍が一巡したことによるリベンジ消費などに関係する消費関連株などが注目されている。

 18日にはバンカメ やモルガン・スタンレー の決算がある。また、19日にはテスラ のほか、ネットフリックス 、半導体関連のASMLホールディング の決算があり、テクノロジー関連企業への注目度が高まる。テスラの6月の中国での電気自動車(EV)販売は好調だったほか、ネットフリックスも広告付き低価格プランの業績への寄与が期待されている。半導体関連ではオランダのASMLに続いて、20日には台湾の台湾積体電路製造(TSMC) が決算発表を行う。