仮想通貨取引所最大手のBinance(バイナンス)で、1日あたり30億ドル相当(約4060億円)の引き出しが発生したことがわかりました。Binanceのチャンポン・ジャオCEOは「こういうことはよくあります」といつも通りのビジネスであると述べましたが、「顧客の預金額を上回る十分な資産を保有している」というBinanceの報告書に対する疑念や、元CEOが逮捕された大手仮想通貨取引所FTXの事例があることから、他のプラットフォームへの移動が発生しているという見方が出ています。

Crypto exchange Binance temporarily halts USDC stablecoin withdrawals

https://www.cnbc.com/2022/12/13/crypto-exchange-binance-temporarily-halts-usdc-stablecoin-withdrawals.html

Binance withdrawals hit $1.9 bln in 24 hours, data firm says | Reuters

https://www.reuters.com/technology/binance-sees-withdrawals-19-billion-last-24-hours-data-firm-nansen-says-2022-12-13/

多額の引き出しが発生していることを報告したのは、仮想通貨市場の調査会社・Nansen。当初は「1週間に19億ドル(約2570億円)が引き出されていて、そのうち直近24時間に16億ドル(約2170億円)が引き出されています」という情報でした。この額は、FTX倒産時にBinanceが処理した23億ドル(約3110億円)は下回るものです。



しかし、その後も引き出しは増え、前掲のツイートから7時間後には30億ドル(約4060億円)にまで増えました。



この動きのきっかけの1つとみられるのは、仮想通貨TRONの開発者であるジャスティン・サン氏がBinanceから3400万BUSD(Binance USD)と1540万USDT(テザー)を引き出して清算したという疑いです。



サン氏は、あくまで通常のビジネスの範囲で行ったもので、市場に関する判断や投機によるものではないとコメントしたものの、結局1時間半後、1億ドル(約136億円)をBinanceに入金し直したことを示しました。





サン氏の動きとは無関係に、Binanceの資産への不安が一因との見方もあります。FTXの破綻があったことで顧客に動揺が走るのを防ぐため、Binanceは外部機関により作成された準備金証明レポートを公開しました。このレポートは、Binanceの資産は準備率が101%、つまり顧客の全資産を1対1でカバーした上でなお余るだけあることを示すものでした。しかしウォール・ストリート・ジャーナルは、このレポートは作成者である会計事務所マザーズ南アフリカ支社が意見や内容を保証する旨の結論を表明していないことから、レポート内の数字が確かとは限らないと指摘しています。

なお、Nansenの示したデータにより、Binanceは公開アドレスに合計604億ドル(約8兆2000億円)相当の資産を保有していることが明らかになっています。



17時間前の当該アドレスの保有資産は合計626億ドル(約8兆4800億円)でした。



ソーシャルニュースサイト・Hacker Newsでは、ジャオCEOがUSDCの引き出し増加を認めた際、「PAXとBUSDからUSDCへの交換はニューヨークの銀行を経由する必要があり、開店まで時間があります。開店すれば状況は回復するでしょう」と述べたツイートに、「FTXも同じようなことを言っていた」と破綻したFTXを重ねる意見が出ていました。

Binance temporarily suspends USDC withdrawals | Hacker News

https://news.ycombinator.com/item?id=33966272

ジャオCEOは「Binanceは創業以来、FUD(悪いうわさ)を流されない週がないほどで、その分、うわさを無視して構築し続ける能力を学んできました。長年のご愛顧に感謝します。そして、これからも一緒に構築していきましょう」とツイートしています。