現在は楽天でアカデミーコーチをしている聖澤諒さん【写真提供:Rakuten Eagles】

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元楽天・聖澤諒氏「結局、野球は素振りに戻ってくる」

 自主練習の王道とも言える素振り。打撃を上達させる上で大切にしているプロ野球選手は多いが、重要なのは“やり方”だ。元パ・リーグ盗塁王で、楽天のアカデミーコーチを務める聖澤諒さんは、少年野球の子どもたちがやってしまいがちな間違った素振りがあると指摘する。

 聖澤さんは子どもの頃から素振りを日課にしていた。地味な練習であっても、打撃向上に最も効果があると考えていたからだ。プロ野球選手になっても、少年野球の子どもたちを指導するアカデミーコーチになっても、その考え方は変わっていない。

「結局、野球はキャッチボールと素振りの基本に戻ってきます。今は子どもたちに野球を教える立場になって、試合で打てる素振り、上手くなるための素振りをしているか見極めています」

 聖澤さんは小学生の頃、学校から帰宅すると、玄関のドアを開ける前に家の前で素振りをした。スイングする回数は決めない。10回で終わる日もあれば、2時間かけて500回バットを振る時もあった。

「前の日より感覚が良くなっている、直っていると思えば、10回で終了しても問題ありません。課題がクリアできなければ、100回、200回と数は増えていきます。どうやったら試合で打てるかを考えながら素振りしていたのは、将来に生きたと思います」

素振りは前を向いて投球をイメージ、「最短距離」の誤解に注意

 アカデミーで子どもたちの素振りを見ていると、間違ったやり方をしているケースが多いという。

 まず、聖澤さんが指摘するのは、下を向いてスイングしている選手。素振りの目的は、投球に対応する技術を身に付けることだ。18.44メートル離れたマウンドから来るボールのコース、高さ、軌道をイメージしてバットを振らなければ、効果は上がらない。聖澤さんは「投球は前から来ます。下を向いて素振りをするのは、ただの時間つぶしになってしまいます。投球をイメージして丁寧にバットを振るのが、正しい素振りです」と話す。

 その他に、少年野球の子どもたちがやりがちな間違いには、最短距離を“誤解”した素振りがある。バットを内側から出して最短距離で投球を捉える打ち方を理想に掲げる指導者は多いが、言葉の意味を正しく理解できず、文字通り「最短距離」で素振りをする子どもがいるという。武士が刀を使うように、バットを引いた位置から斜め下にバットを振り下ろしてしまうのだ。

 これではスイングが投球の軌道に合わないため、バットにボールが当たらない。聖澤さんは「最短距離でバットを出すこと自体は間違っていませんが、上からバットを振っても打球を飛ばすための最短距離にはなりません。横から振った上で、バットが遠回りしないように心掛ける必要があります」と説明する。

 素振りは地味で、少年野球の子どもたちにとっては継続するのも難しい。だが、重要視するプロ野球選手が多いことを見れば、効果がある練習と考えられる。素振りで打撃を上達させたい意欲を無駄にしないために、正しい方法を知っておきたい。(間淳 / Jun Aida)