2009年、ジジ氏の前で正座する松坂。同年のWBCではMVPに輝いたが、その体はすでに悲鳴をあげていた(写真・ジジ)

「もうやめなければいけないと自分に言い聞かせました」

 10月19日、“平成の怪物” 松坂大輔(41)が、23年間の選手生活に別れを告げた。この姿を感慨深く見守ったのが、プロ入り後の松坂を撮り続けたカメラマンのジジ氏だ。

「2009年、第2回WBCに向けた宮崎合宿でのこと。ある日、食事に誘ったんだけど、座敷で正座したんだよ。『足を崩せよ』と言ったら『ジジさんの前で胡坐はかけませんよ』と言うわけ。

 そんなことを一度も言ったことがなかったから、『股関節を痛めたのか?』と聞いた。すると『いや内転筋がちょっと……』と。でも、おかしいなと思っていたんだ」

 それから1年後のことだ。

「大輔と会った際、突然『じつはあのとき、胡坐をかけないほど股関節を痛めていたんです。見破ったのはジジさんとイチローさんだけです』と言われました。その後の野球人生につきまとった怪我が、すでに忍び寄っていたんですね」

 引退会見の翌日、ジジ氏が松坂に電話をしたところ、松坂は “就活宣言” を口にした。

「ジジさん、来春のキャンプでは、各球団をまわりますよ」

 解説者のための勉強か、指導者志願か。松坂はすでに、前を向いていた。

(週刊FLASH 2021年11月9日・16日合併号)