米Microsoftは6月26日 (現地時間)、北米、英国、オーストラリア、プエルトリコで提供している実店舗型の直営小売ストアを全て閉鎖すると発表した。米ワシントン州レドモンドのキャンパス内、米ニューヨーク、英ロンドン、豪シドニーにあるストアはMicrosoft Experience Centerに改修して残すが、同社のリテール事業はMicrosoft.com、WindowsおよびXbox内のオンラインストアに移行させる。

Microsoftは、2009年にレドモントから現在の直営店の展開を開始。MicrosoftのSurfaceファミリーやパートナーの製品の展示・販売、イベント、技術サポートや顧客サポート、ワークショップやトレーニングセッションなどを提供している。多くのストアをApple Storeの近くに設けるなど、実店舗型のリテール事業を成功させているAppleに強い対抗心を燃やしていた。

カリフォルニア州サンタクララのMicrosoft Store、向かいにはApple Storeがある


Windows PC、特にSurfaceデバイスのユーザーなら、近くにMicrosoft直営店がある価値は大きい。だが、現時点で直営店が主要都市を網羅しているのは米国のみ。一方でオンラインストアは順調に成長しており、190市場で毎月12億人以上にリーチできている。また、米国では家電量販チェーンBest Buy内にミニストアがあるなど、Microsoft直営店以外にも消費者がSurfaceデバイスの実機に触れられる場所はある。

新型コロナウイルス (COVID-19)の感染が拡大してから、Microsoftは顧客をサポートしていくためのあり方を見直している。3月後半にCOVID-19対策として直営店を休業させてからオンラインを通じたサービス提供の拡充に努め、14,000以上のオンラインワークショップをホストするなど、直営店のスタッフは遠隔でビジネスや教育関係の顧客をサポートしてきた。

「今後もソフトウェアとハードウェアのデジタルイノベーションに投資していきます。新しいサービスには、1:1のビデオチャットサポート、オンラインチュートリアルビデオ、さらに多くのデジタルソリューションを提供する仮想ワークショップが含まれます」としている。

直営店の閉鎖に伴い、2020年4〜6月期に約4億5000万ドルの費用を計上する。直営店の従業員は、オンラインでセールス、トレーニング、サポートを提供するチームに移る。