すでに気温が30度以上の夏日を記録した地点も多く、夏が確実に近づいてきているようです。夏の食べ物といえば「ところてん」! 夏の季語でもある「ところてん」は、古くは奈良時代から食され、江戸時代にはところてん売りが売り歩き、涼を演出したそうです。
さらに先日、テングサの一大産地である伊豆地方で、海中のテングサ漁が解禁されたというニュースも報道されましたね。低カロリーで食物繊維が豊富なところてんは、ダイエットにも向いていると注目の食材です。
この先10日間の気温をtenki.jpで調べて、気温が上昇した日に「涼」をとれるよう、冷蔵庫にところてんを準備しておきませんか。

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「ところてん」は奈良時代から食されてきた伝統食材


ところてんと寒天

“ところてん”は、天草を煮溶かし、冷まして固めた食品です。原料が「テングサ(天草)」であることをご存じの方も多いと思いますが、「テングサ」という名前の海藻があるわけではなく、紅藻類テングサ科に属する海藻(マクサ・オニクサ・ヒラクサ)の総称です。
正倉院の書物の中に「心太」と記されていることから、奈良時代にはすでにその存在が確認されています。
“寒天”も同じテングサが原料の食品です。寒天は、江戸時代初期、京都の旅館「美濃屋」の主人・美濃太郎左衛門が戸外に捨てた“ところてん”が凍結し、日中は水分が溶け出し、夜にまた凍る……。これを繰り返すうちに乾物となったもので、それを使って“ところてん”を作ったのがはじまりといわれています。つまり、偶然の産物から生まれたものなのですが、今でいう“フリーズドライ製法”の先駆けともいえます。
“寒天”にすると、海草の特有の臭みが消え、料理やお菓子などに幅広く利用されます。

原料の“テングサ”


栄養と食べ方

ところてんは、味をつけない場合、100g・2kcalと大変低カロリー。腸内環境を整える食物繊維を多く含んでおり、食前に食べると満腹感が得られ、食べ過ぎやカロリーコントロールに効果を発揮します。
また、ところてんは味付けに地域差があることでも有名です。
●関東以北・全国……酢醤油
●関西……黒蜜
●四国……出汁
関西で甘くして食べる文化が定着したのは、そもそも砂糖が薬として扱われるような高価な食材だったため。砂糖を手にすることができるのが、奈良や京都を中心とする皇族や貴族など一部の高貴な人間に限られていたからです。
「ところてん」自体に味はありませんので、お好みで味付けをしてみてください。ただし、ダイエットには酢醤油のほうが向いています。

「豆かん」。寒天は、ところてんの仲間


「心太」と書いて「ところてん」と読む

ちなみにところてんは漢字で書くと「心太」です。ところてんは「こころふと」と呼ばれており、「心太」が当てられたと考えられています。ではなぜ「こころふと」と呼ばれていたのかというと……、
・「こころ」は、テングサが「凝る」海藻であったことから、「こごる」が転じた。
・「ふと」は太い海藻を意味している。
といった説が有力のようですが、本当のところはよくわかっていません。しかし、長い年月をかけて変化して「ところてん」という呼び名が定着していったようです。
最後に…。珍しい漢字表記をご紹介しましょう。いくつ読めますか?
1.蒲公英 2.玉蜀黍 3.無花果 4.菠薐草 5.桜桃
6.案山子 7.土竜 8.湯湯婆 9.仙人掌 10.鳩尾
1から順に答えを書いていきますね。
1.たんぽぽ 2.とうもろこし 3.いちじく 4.ほうれんそう 5.さくらんぼ
6.かかし 7.もぐら 8.ゆたんぽ 9.さぼてん 10.みぞおち
頭の体操になりましたか? 意味からついた漢字あれば、音から当てた漢字もあります。
── 暑い日にぴったりの「ところてん」。昔の人も「ところてん」を食べて涼をとっていました。打ち水やすだれなど、ここ数年、夏の節電対策に昔の知恵が見直されています。今夏は「ところてん」もとり入れてみてはいかがでしょう。

涼を取るための昔の人の知恵“打ち水”