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●VoLTEの特徴目下、スマートフォン分野で注目されるキーワードのひとつに「VoLTE」がある。LTE回線を利用した音声通話システムのことだが、その特徴はどのようなものなのだろうか。利用者にはどのようなメリットがあるのか。

○VoLTEの特徴

VoLTE(Voice over LTE、ボルテ)とは、第3.9世代移動通信システムであるLTE回線を利用した音声通話システムのこと。LTEに対応した携帯電話/スマートフォンで音声通話する場合、LTEには回線交換網が存在しないため3Gネットワークに切り替えていたが(CSフォールバック)、VoLTEではその必要がない。VoLTEが実現されれば、データ通信はLTEで音声通話は3Gという二重構造が不要となるのだ。

エンドユーザにとってVoLTEのメリットは、音声品質の向上が期待できること。VoLTEの音声符号化方式(コーデック)には、既存の3Gで利用されているAMR-NB(Adaptive Multi-Rate Narrow Band)が必須コーデックとして規定されているほかに、より高音質なAMR-WB(Adaptive Multi-Rate Wide Band)も用意されている。サンプリング周波数はAMR-NBの8kHzに対しAMR-WBは16kHz、ビットレートもAMR-NBの最大12.20Kbpsに対しAMR-WBでは最大23.85Kbpsと、その情報量の差は大きい。ビットレートなど条件はそのときの通信環境や端末により変わるが、おおむねPHSと同等以上の音質と考えていいだろう。

低遅延もVoLTEのメリットといえる。LTEにはQoS(Quality of Service)制御機構があり、そのパラメータ(QCI)には帯域制御の有無や遅延許容時間などに応じて9段階の優先度が設けられているが、VoLTEではそのうち遅延許容値が100msかつ帯域保障型の通信が行われる。LINEなど一般のIP通信として扱われる音声通話は遅延が200〜400ms前後とバラつきがちで、帯域保障がないうえ時間帯など条件に左右されることから、VoLTEのほうが有利だ。

キャリア側には、電波の利用効率アップというメリットがある。3Gに切り替えるCSフォールバックでは通話先までの伝送路が通話中占有されてしまうが、パケット通信で音声データをやり取りするVoLTEでは効率よく周波数帯域を利用できる。そしてVoLTEへの移行が進めば、3Gの回線設備を維持し続けるコストを減らすことができ、回線に余裕が生じれば現在3Gが使用している周波数帯域をLTEに割り当てることも視野に入るというわけだ。

●VoLTEはどの端末で使えるのか○どうすればVoLTEを使える?

そのVoLTEだが、NTTドコモとau/KDDIの2社は2014年内にもサービス開始する方針を明らかにしている。特にNTTドコモはサービスインの時期を「夏」と具体的に示しており、通話の完全定額が可能になる新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」も発表済だ。ソフトバンクは具体的なサービス開始時期を明らかにしていないが、通話とパケット料金をセットで定額にした「スマ放題」を提供予定で、こちらもVoLTEに備えた準備と見てよさそうだ。

LTE網のカバー率がVoLTE普及の大前提となるが、こちらはだいぶ準備が進んでいると考えてよさそうだ。たとえば、2014年3月時点におけるau/KDDIのLTE 800MHz帯実人口カバー率は99%と、2013年3月時点の96%に対し大きく改善されている。他2社の直近における実人口カバー率は公表されていないが、NTTドコモは2014年内に98%達成を目指すとしており、少なくとも都市部でのVoLTE受け入れ体制は整っていると考えられる。

なお、VoLTEはCSフォールバックを利用した従来の音声通話方式と比べると、電力消費量が2倍近く増えるとされる。より効率的に音声データを扱うためにも、高性能な次世代LTEチップセットが必要だ。つまり、ハードウェアレベルでの対応が必要になるため、VoLTEレディをうたう新モデルでなければVoLTEの利用は難しい。

それだけに、5月から始まったスマートフォン(Android)新モデルの発表に注目が集まる。KDDIは2014夏モデルでVoLTE対応は見送ったが、5月14日に発表会を予定しているNTTドコモについては、新料金プランが発表済なことからより可能性が高いといえそうだ。ソフトバンクは夏モデル発表会を開催しない予定だが、関係が深いヤフー傘下の新会社Y!mobileの設立が6月に予定されており、先立って5月に端末の発表会が開催される可能性がある。

一方、iPhoneは例年9月に新モデルが発表されているが、6月に開催される開発者会議「WWDC」で発表される可能性もある。さらに、iPhone 5/5s/5cにはVoLTE対応チップ(Qualcomm MDM9615M)が搭載されていることから、iOSのアップデートによりVoLTE対応が実現される余地も残されている。もっとも、前述した消費電力の問題があるうえに買い換え需要を抑制する原因となるため、いずれ発表される新iPhoneでサポートされると見たほうが妥当かもしれない。

(記事提供:AndroWire編集部)

(海上忍)