もう一段、高いステージへ

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どうも波に乗り切れていない

 セ・パ交流戦第3節・広島東洋カープとの3連戦に突入した時点で新庄ファイターズの成績は、27勝28敗で4位。首位・埼玉西武ライオンズとのゲーム差は5.5だった。その後、ヤクルトに連勝し、交流戦の順位は7勝3敗で3位だ(6月7日現在)。しかし、チームの状態は必ずしも上向きではない。まだペナントレースは半分も消化していないので「チーム不調」と決め付けられないが、今季の北海道日本ハムファイターズは優勝候補にも挙げられていただけに、現状を不安視するのはファンだけではないだろう。

【写真を見る】「ボスに300勝を!」古巣での記念となる勝利に貢献した選手

「交流戦前の福岡ソフトバンクホークス3連戦で、3タテを食らいました。しかし、交流戦に入ると阪神相手に3連勝。ここで一気に流れが変わるかと期待を抱かせました」(地元メディア関係者)

 その交流戦で最初のカードとなった阪神戦の初戦(5月26日)勝利で、新庄剛志監督(54)は「通算300勝」を挙げた。古巣相手に節目を迎え、スター監督だけに“持っている”と思った関係者、ファンも多かったはずだ。次の巨人3連戦は連敗となり、負け越しが決まった第2戦(5月30日)の試合後、新庄監督はいみじくもこう語っていた。

もう一段、高いステージへ

「明日が大事。明日負けてしまうと、(阪神戦の)3連勝の意味がなくなってしまう」

 翌31日は先発・北山亘基(27)が得点圏に4度も走者を背負いながらも、6イニングを無失点に抑え、万波中正(26)のセンターバックスクリーン上部のカメラ席に飛び込む大ホームランで快勝した。

「その次の広島3連戦の初戦は台風の影響で流し、第2戦(6月3日)は敗れました。また嫌な空気になるかなと思った翌4日の第3戦は、延長12回を戦い、最終回に3点を取り、何とか勝利をおさめ、ヤクルトにも連勝したのですが……」(前出・同)

 どうも波に乗り切れていない――それが、今のチーム状況なのである。

「万波は今季の150打席を消化した5月中旬から、横尾俊建打撃コーチ(33)らとのミーティングが始まりました。低めのボール球を打たされていることが指摘され、どの球種に狙いを絞っていくべきかなどが指導されました。他の打撃陣も個別指導がされています。万波は2割1分台だった打率が2割5分近くまで上がってきました」(チーム関係者)

 不振脱出の話をすれば、5月30日に先発した有原航平(33)も「あと少し」のところまで来ている。およそ1ヶ月ぶりの登板であり、日本ハム帰還後の初先発である3月29日以降の全5試合で「序盤戦に失点する」不甲斐なさが続いていた。5月30日は二軍での再調整を経てのリスタートだったが、初回、2回、3回で計4失点。しかし、4回からの3イニングはゼロに抑えている。

「ボールの勢いは戻っていました。再調整前の5試合はボールのキレ、スピードが全然ダメでした。『試合開始直後の立ち上がりが悪い』という結果は同じですが、慎重になりすぎたようにも見受けられました」(同)

「まとめ役」がいない

 良い勝ち方をしても続かない、選手個々の不調がそのままチームの勝敗に直結してしまう状況について、こんな見方もされていた。

「まとめ役がいない」(同)

 話は昨年11月に遡る。伏見寅威(36)と島本浩也(33)との交換トレードが発表される数日前だった。伏見が数人の若手選手を食事に誘った。食事会は盛り上がり、「そろそろお開きに」となったころ、伏見が急に「写真を撮ろう」と言い出したそうだ。のちに交換トレードが発表され、若手選手たちは伏見からの急な食事の誘いや、写真撮影の意味を噛み締めたという。

「昨季ブレイクした達孝太(22)は、ベテラン捕手の伏見に助けられました。ウィニングショットのフォークボールに的を絞らせないため、スライダーやツーシームなどの球種を要所で使い、達の最大の武器である、角度のある直球を主体に配球を絶妙に変えていました」(スポーツ紙記者)

 達も今季1勝目が遅かった。3度目の先発でようやく挙げ、セ・パ交流戦に突入した今も2勝6敗(9試合)と苦しんでいる。昨季のプロ初勝利から7連勝は、全て伏見と組んだものだった。伏見放出が不振の原因とも考えられるが、これは達自身が乗り越えなければならない試練だろう。

「金子千尋投手コーディネーター(42)のアイデアで指を鍛え、強く握ったまま投げることの出来るトレーニング機器を使い始めました。変化球を投げるときの感覚を習得し、良い軌道の再現性を高めようとしています」(前出・同)

 また今季、「4番・三塁」でスタートした郡司裕也(28)も打撃不振で、守備でもミスが目立っている。その郡司の不振脱出には新庄監督自らが乗り出していた。

「5月12日からのZOZOマリンでの千葉ロッテ3連戦で、新庄監督は13、14日は二軍本拠地・鎌ヶ谷スタジアムでの東北楽天戦に郡司を出場させました。昼間は二軍戦、夕方にZOZOマリンへ車で直行していました」(前出・地元メディア関係者)

 昭和の時代、強化指定の若手が二軍戦と一軍戦をハシゴする「親子ゲーム出場」はよく見られたという。13日のファーム戦での郡司だが、5打席に立ったものの、試合が長引いてしまった。そのため、9回の最終打席で四球を選んだ後は代走が送られ、着替えもままならず、球団スタッフの用意した車に飛び乗っていた。だが、同日の新庄監督は郡司を試合で使わなかった。

「明日は代打から行ってもらおうかな」

 試合後、新庄監督はそう語っていた。実際、郡司は14日一軍戦の7回で打席に立ち、9回の2打席目でライト前ヒットを放っている。親子ゲーム初日の出場を見送ったのは、新庄監督の独自の感性としか言いようがないが、監督、担当コーチが調子の上がって来ない選手たちと話し合い、必死に取り組んでいるのは間違いないようだ。

首位復帰のカギを握るのは?

「意識しているからなのかは分かりませんが、新庄監督は『若いチームなのだから』のフレーズを使わなくなりました。去年までは失策などが続くと、そう言って選手たちをかばっていました。今、もう一段階高いステージに行こうとし、苦しんでいるのでしょう」(前出・チーム関係者)

「まとめ役」の不在についても、ベテラン捕手の伏見だけでなく、選手会長だった松本剛(32)もフリーエージェント権を行使して巨人に移籍してしまった。

 選手会長役を引き継いだのは清宮幸太郎(27)である。清宮は新庄監督の下でブレイクした若手の代表的存在。チームが首位戦線に復帰できるかどうか、清宮も真の主軸選手になれるのかを試されているのかもしれない。

デイリー新潮編集部