(※写真はイメージです/PIXTA)

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住宅価格の高騰が続く中、「新築を買うのは現実的ではない」と感じる人は少なくありません。特に都市部では、共働きで世帯年収が高めでも、新築マンション価格に手が届きにくくなっています。そのため近年は、中古マンションを購入し、自分たち好みにリノベーションして暮らす選択肢も広がっています。

「新築は高すぎる」…共働き夫婦が選んだ“中古+リノベ”

会社員の宏樹さん(仮名・43歳)と妻の麻衣さん(仮名・41歳)は、5年前、築35年の中古マンションを購入しました。

夫婦の世帯年収は約1,000万円。当時、小学生の子どもが一人いました。もともとは新築マンションを検討していましたが、都内の価格は想像以上でした。

そこで夫婦が選んだのが、「中古マンション+リノベーション」でした。

購入したのは、駅から徒歩12分ほどの住宅地にある築35年のマンション。価格は新築より大幅に抑えられ、浮いた分を内装工事へ回しました。

キッチンを広げ、間取りを変更し、床材や照明もこだわる。

「中古でも、中を変えれば自分たちらしく住めると思ったんです」

完成後の部屋は、まるで新築のようでした。友人が遊びに来るたび、「本当に築35年なの?」と驚かれたといいます。

麻衣さんも当時は満足していました。

「新築より現実的だし、自分たちの好きな空間になりました」

国土交通省『住宅市場動向調査』でも、中古住宅取得の理由として、「価格が手頃だった」「希望エリアで探しやすかった」といった回答は多く見られます。また近年は、リフォーム・リノベーション前提で中古住宅を購入するケースも増えています。

実際、夫婦も当初は「いい選択をした」と感じていました。

しかし、暮らし始めて数年が経つと、“内装だけでは変えられない部分”が少しずつ見えてきたのです。

最初に気になり始めたのは、マンション全体の老朽化でした。エントランスや共用廊下には古さが残り、エレベーターの故障も増えていきます。

さらに、大規模修繕工事の話も現実味を帯びてきました。ある日、管理組合の資料を見ながら、麻衣さんは思わず声を漏らしました。

「修繕積立金、また上がるの?」

築年数が古いマンションでは、将来的な修繕費不足が問題になることがあります。夫婦のマンションでも、配管や外壁、防水工事などに多額の費用が必要になる見込みでした。

国土交通省も、老朽化マンションでは修繕積立金不足や管理組合の運営課題が発生するケースがあるとしています。

「部屋はきれい。でも…」5年後に夫婦が抱えた悩み

さらに、夫婦には別の悩みもありました。断熱性です。

リノベーションで室内はきれいになりましたが、建物自体は築35年。冬場は窓際が冷え込み、夏は熱がこもりやすい状態でした。

「光熱費が思った以上に高かったんです」

加えて、子どもの成長とともに音の問題も気になるようになりました。上階の生活音、共用部分でのトラブル、古い配管由来の水回りの不具合――。

「住み始めた頃は、“内装がきれい”という満足感が大きかった。でも、5年暮らすと建物全体の古さは隠せないんだなって」

もちろん、後悔だけではありません。新築よりローン負担を抑えられたこと、自分たち好みの空間を作れたことには、今も満足しています。

ただ、“リノベすれば全部解決する”と思っていた部分はあったといいます。

「部屋の中だけ見ていたんですよね。マンションって、“建物全体で暮らす”ものなんだなって、後から実感しました」

現在、夫婦は住み替えも含めて将来を検討しています。

子どもの進学、管理費や修繕積立金の上昇、自分たちの老後。

住宅は、一度買えば終わりではありません。どこに住むか。どんな建物を選ぶか。そして、その場所で何年暮らすのか。

中古×リノベという選択は、夫婦にとって間違いではありませんでした。ただ5年暮らした今、夫婦はこう感じています。

「“部屋を新しくすること”と、“安心して長く暮らせること”は、少し違う話だったのかもしれません」