「ベローチェ買収」でますます激化する“カフェ戦争” 今後は「脱コーヒー」がカギを握りそうなワケ
国内のカフェチェーンといえば、「スタバ」(スターバックス コーヒー・約2000店)「ドトールコーヒーショップ」「コメダ珈琲店」(それぞれ約1000店)が3大チェーンとして知られる。中でもコメダは2013年からの10年で500店→1000店という驚異的な出店ペースで「3強」の一角に食い込んだ。こうした地殻変動が、また起こるかもしれない。
【おいしそう!!】各社が力を入れる「コーヒー以外」の商品写真をたっぷり見る
居酒屋「甘太郎」などで知られる外食企業・コロワイドが、カフェブランドを複数展開するC-Unitedを買収、4月から傘下入りさせた。C-Unitedは「珈琲館」(約200店)、「カフェ・ド・クリエ」(約170店)、「カフェ・ベローチェ」(約160店)を筆頭に8ブランド・563店のカフェを展開している。それぞれのブランド単体ではそこまで店舗は多くないものの、総計は「タリーズコーヒー」(約800店)に次ぐ「第5の巨大カフェチェーン」といえる存在だ。

コロワイドが買収したC-Unitedは、ベローチェなどカフェチェーンを複数展開する(編集部撮影)
いま外食市場では、カフェ市場に熱視線が向けられ各社が参入し始めている。ただ、肝心のコーヒー豆の仕入れ値が「異常気象」「輸送費の高騰」といったどうしようもない要因によって、ここ最近は急騰。いわば「成長できるチャンスなのに、代替できるはずもないコーヒー豆が足を引っ張る」という状況だ。
こうした背景もあって、今後のカフェ市場は「コーヒー以外」の要素がカギを握りそうだ。コロワイドが手に入れたC-Unitedのメインブランドである珈琲館・クリエ・ベローチェそれぞれの特徴や買収の理由とともに、カフェ市場の今後を考察してみよう。
とくにトガっているのが「珈琲館」
C-Unitedが展開するブランドのうち、伝統的にフードに強みを持つのが珈琲館だ。
例えば、筆者がよく通う大阪市中央区の大阪本店にはパスタ・カツカレー・グラタンパン・ホットドッグなど、カフェとしては多彩なフードメニューが揃う。
あえて「非効率を残す」点が強みに
また、珈琲館のホットケーキは、専用の銅板を使ってサッと焼き上げるのが特徴だ。一般的に銅板の熱伝導は鉄の5倍、アルミの2倍とも言われている。外はカリッ、中はフワッとした食感にホットケーキを仕上げるなら、やはり銅板を使うに限る。
しかし、こうした設備を導入しているチェーンは少ない。注文数がそう多くはないホットケーキのために、コストのかかる業務用銅板はなかなか導入できないからだ。そのため、多くのチェーンでは業務用の冷凍生地をよく使っているが、解凍の過程で「フワッ」とは別次元の、ムニムニとしたベタつきが残ってしまう。
セルフではなくフルサービスで商品を席までサーブするのもそうだし、こういった企業視点では合理化したくなるような部分をあえて残し、他店と差別化しているのが珈琲館の強みだ。
客席を見渡すと、ビジネス街ならではのオフィスワーカーの姿はもちろん、かなりの常連と思しきお客さんの姿も目立つ。珈琲館の佇まいは、カフェチェーンというよりも「純喫茶」のようだ。
クリエ・ベローチェもフードに強み
純喫茶然とした珈琲館とは異なり、クリエとベローチェは、スタバ・ドトールと同じようなカフェチェーンで、そこまで大きな特徴がないように見えるが、よく見るとコロワイドが目を付けた理由が浮かび上がってくるだろう。
クリエ・ベローチェの共通点として、100〜300円台ほどの店内製造サンドイッチが充実している点が挙げられる。ランチタイム前にはレジ横のショーケース一杯に商品が並び、モーニングも通常のトーストだけでなく、フォカッチャやホットサンドなどがあり、選択肢は非常に豊富だ。
しかもこれらのサンドイッチは毎朝店内で製造しているという。手間がかかるのはもちろん、フォカッチャ・全粒粉パンは酸化の速さから在庫管理も地味に大変だ。ただ、この手間によって「コーヒーだけのお客さんがプラスでサンドイッチ」「たまにはトーストよりワンランク上のモーニングを」といったフードの単価向上が生じ、売上を支えていると言える。
パン類だけでなく、比較的しっかりめのフードも充実している。のだが、母体は同じながらナポリタン1つとってもベローチェの方が太麺仕様で100円程度安いなど、細かい部分がバラバラなのが面白い。
その他、クリエは種類も豊富で濃厚なスムージーを取りそろえていたり、ベローチェにはソフトクリームを乗せたボリューム多めのコーヒーゼリーがあったりと特徴的な商品があるのもポイント。
こういったフード単価向上のために、マクドナルド・モスなどを経て、C-Unitedの社長に就任した友成勇樹氏がメニューを見直した結果、各ブランドとも赤字を脱して利益を出せるようになった。要は冒頭で触れたような「コーヒー以外」でしっかりと強みを有しているのが、C-United連合軍のブランドに共通する特徴なのだ。
同じく「フード」に強みを持つコメダに勝てるのか
C-Unitedのブランドに共通して言えることは、フードを中心にコーヒー以外の商品が充実していること。しかし、それだけではデカ盛りなどでフードが人気のコメダに勝てないのでは、と思う人もいるかもしれない。
しかし、コメダは昨今の値上げ前からフードがそれなりの高価格であり、今やスパゲッティで1000円前後、「まんぷくプレート」だと1500円にも届いてしまう。これに500〜700円あたりのドリンクをプラスすると、1食で2000円を超えかねない価格帯になってしまい、気軽には注文できない。
一方で、珈琲館・ベローチェ・クリエは、レジ横のサンドイッチ・お菓子とドリンクなら600〜700円台、しっかりフードとコーヒーを合わせても1000円程度で済む。
「買収大好き」なコロワイドに不安あり?
まとめると、C-Unitedの各ブランドは、フードメニューにさほど力を入れていないドトール・スタバに「しっかり調理したフードメニュー」で、コメダには「コーヒー・フードの価格」で、対抗できる力を持ち得るのだ。この点にコロワイドは目を付けたのであろう。
と、ここまでC-Unitedの有するポテンシャルを中心に見てきたが、気になるのはコロワイドがいかにこのポテンシャルを生かせるのか、という点につきる。
これまでコロワイドは多くのチェーンを買収によって傘下に入れてきたが、かつて回転寿司業界の王者だった「かっぱ寿司」は、失った勢いを取り戻せず。好調な競合と比較してここ数年は伸び悩んでいる。2025年度に至っては、既存店の客数が前年比9割ほど、売上も前年割れと寂しい数字となっている。
果たして優勝劣敗が進むカフェ業界でコロワイドはC-Unitedの強みをキープできるのか。続く記事では、今後予想される「新業態」などを考察していく。
〈「ベローチェ連合」は“第2のコメダ”になれるのか カフェ業界5位の“伏兵”が秘める「圧倒的な伸びしろ」と一抹の不安〉へ続く
(宮武 和多哉)
