ストーカー加害者に目立つ高齢者…若さや性的欲求は関係なし、「社会的な孤立」が要因か
愛媛県警が1〜4月に発表したストーカー規制法違反容疑の逮捕者5人のうち、60歳以上が4人と目立った。
全国の統計では、若い世代が元交際相手らにつきまとうケースが大半を占めるが、60歳以上の加害者も1割に上る。専門家は「人間関係のもつれから来る感情が根底にあり、どんな年代でも加害者になり得る」と指摘する。(丸山竜誠)
恨みの手紙郵送
西予署は4月2日、西予市の男(75)を同法違反容疑で逮捕した。
発表では、男は一人暮らしで、知人の60歳代女性に好意を抱き、食料品などを届けていたとされる。3月下旬、女性から拒まれたにもかかわらず、好意を伝えるための手紙を持って女性宅に押しかけたことから、相談を受けた同署が男に口頭で注意したという。
その後、男から女性に郵送された手紙には、好意ではなく、「恨みの感情が明らかで、著しく粗野、乱暴な文言が記されていた」ことから、同署は逮捕に踏み切ったとする。男は逮捕時に容疑を認めており、同署は動機などを調べている。
県内では今年に入り、他にも同法違反容疑で60歳以上の逮捕が続いている。
八幡浜署は2月、禁止命令に違反して50歳代女性につきまとったとして、男(62)を逮捕。4月には、知人の60歳代女性宅に押しかけ、手紙を投函(とうかん)したなどとして、男(60)を逮捕した。また、松山東署も4月、知人の40歳代女性の勤務先に押しかけたとして、男(72)を逮捕した。
全国で増える検挙
全国でストーカー事案の検挙は増加傾向が続く。
警察庁によると、2025年に同法違反の検挙は1546件で、ストーカー事案に関連する刑法犯・特別法犯の検挙も2171件。それぞれ前年から205件、428件増加し、いずれも過去最多となった。
相談などを受理した2万2881件の内訳では、加害者の年齢は20歳代が21・2%で最も多く、30歳代の16・1%が続いた。一方、60歳代は6・4%、70歳以上は5・3%だった。
県内も同様の傾向だ。県警のまとめでは、25年に寄せられたストーカー事案の相談などは179件で、21年(116件)から63件増加。加害者の年齢は60歳以上が19・5%となり、全国の水準よりも高かった。
どの年代も加害者に
60歳以上の逮捕者が相次いだことについて、県警人身安全対策・少年課は「認知した事案に対し、適正に対処した結果」としつつ、「明確な理由はわからない」とした。
性犯罪加害者の治療や更生に取り組む「性障害専門医療センター SOMEC」代表理事で精神科医の福井裕輝さん(56)は「ストーカー行為は相手への恨みや憎しみといった感情が根底にある」とし、若さや性的な欲求とは関係なく、どの年代でも加害者になる可能性に言及する。
その上で、高齢者が加害者になる要因として、配偶者を亡くしたり、子どもが独立したりしたことによる社会的な孤立を挙げる。また、一部の認知症には執着心が強くなり、衝動的に行動する「脱抑制」症状があるといい、福井さんは「社会的な孤立を防ぎ、必要に応じて適切な治療を受けることが重要」と語る。
