JREメディア公式サイトより

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全国にあるJRの地方赤字路線は、人口減少や高速道路整備に伴う利用客激減で、存続が困難になっている。2025年で6割減の地域もあるという。例えば、2024年度はJR東日本だけでも36路線71区間で約790億円の営業赤字を記録し、特に羽越本線や奥羽本線の一部区間で収支率が著しく低い。

それでも、ドル箱路線である山手線を抱えているJR東日本は、その黒字分で赤字路線を補てんしながら何とかやっていける状態だが、ドル箱路線のないJR北海道は問題が深刻だ。4月には日本一短い本線として知られるJR留萌本線を廃止したが、同社はこの8年間で赤字の5区間を廃止している。

そして、赤字が続く8つの区間について、沿線の自治体に改善策として「上下分離方式」を提示した。上下分離方式とは、鉄道会社が車両の運行(上部)を行い、自治体が線路などの鉄道インフラ(下部)を管理する仕組みで、上下で会計を独立させる。鉄道会社にとっては、線路などの維持管理がなくなるので負担が減る。

赤字ローカル線の廃線や上下分離方式に対しては、北海道のみならず全国各地で沿線自治体から懸念の声が上がっている。その内容はすべて同じで「通学に利用している生徒がいる」「鉄道管理の維持管理は専門性が高く自治体では困難」などというもので、公共交通インフラの存続は国の責任であるとの主張だ。

しかし、国の補助金(税金)を投入して少子化と過疎化が進む地域の赤字ローカル線をすべて存続させるのは、もはや無理がある。段階的にバス輸送に切り替えていくのが現実的だ。

グルメ列車や駅に冷暖房とWi-Fi完備の自習室も

テレビ朝日系「モーニングショー」では上下分離方式で成功した路線を紹介していたが、アイデアと経営手腕が必要だ。JR只見線では、シンボルとも言われる第1只見川橋梁に差し掛かると景色を楽しめるよう列車の速度を落として走行している。滋賀県の近江鉄道では2022年に「全線無料デイ」を実施し、地域イベントの活性化につなげた。

大井川鐡道の鳥塚亮社長は「ローカル鉄道再生請負人」と呼ばれている。2009年に千葉県のいすみ鉄道の社長に就任し、グルメ列車などのアイデアで話題となった。

2019年にはえちごトキめき鉄道の社長に就任し、直江津駅に冷暖房とWi-Fi完備の自習室を作った。2019年の年末には夜行列車を走らせた。会社は2021年度に初の黒字になった。そして、2024年6月、大井川鐡道の社長に就任。

「当然黒字化を目指すが、鉄道だけで考えるのではなく、観光客の誘致など地域経済のトータルで考えることが大事。『地元客が乗る頻度を上げてローカル線を維持する』のは、もはや不可能」と鳥塚社長は語る。

地方自治体は国やJRの責任を叫ぶだけでなく、もっと主体的にアイデアを出すべきではないのか。

文/横山渉 内外タイムス