1100キロの長距離レース中、球場に迷い込んだハト 名前は“レオ”しかない?!
4月26日の楽天―西武戦(楽天モバイル)で0―0の延長10回2死二塁、西武の攻撃中、一塁ベース付近に突如、ハトが飛来。約1分間の中断後、「ハト」によってペースを乱された「鷲」が3点を失い、延長戦を落とした。
迷い込んだのはレースバトで足環(あしわ)に記載されていた登録協会は何と西武の地元・埼玉だった。翌日、ハトの飼い主である長坂隆志さん(72)が迎えに訪れた場に立ち会った。ハトは同球場の防災センターで一夜を過ごし、食欲もなかったが、長坂さんに抱かれると元気な姿を見せた。
ハトは25日に稚内からスタートし、埼玉まで1100キロを戻るレースに参加していた。埼玉から仙台まで車で迎えに訪れた長坂さんは「このハトは以前、白老から埼玉まで700キロを飛んだこともある。今回は残り300キロぐらい。帰ってきてほしかったですね。(羽に)内出血がある。どこかにぶつかったから飛べなかった」と説明した。
長坂さんが鳩レースの魅力に取りつかれたのは中学3年生の頃。青森生まれだが、「日本一の埼玉でレースをやりたくて」と気づけば埼玉県民になっていた。「野球はほとんど見ることはない」と話すが、「所沢にもハトが強い人がたくさんいる」と教えてくれた。
鳩レースのスタートは同じ場所だが、それぞれの鳩舎がゴール。飛行距離を時間で割って1分間でどれだけ飛んだかタイムで競う。だが、途中で猛禽類などに襲われたハトは鳩舎の目の前まで帰ってきても神経質になり、なかなか鳩舎に入らないことがあるそうだ。「そのせいで何度も優勝を逃したことがあります」と長坂さん。非常に奥の深いものであることが伝わってきた。
そういえば、17年8月30日の同カードで渡り鳥が襲来したことを思い出した。笛や花火で追い払おうとしたが効果はなく、照明を一度落として球場内を暗くすることで鳥は飛び去った。再点灯にも時間がかかり、中断はなんと58分間。当時、西武担当として球場にいた記者も思わぬ珍事で原稿の〆切に追われた記憶がある。
今回、球場に降り立ったのは北辰連合会所属で、登録番号7520番の1歳未満のオス。某有名小説の一節よろしく、「名前はまだない…」と長坂さん。「レースで上位に入って雑誌に載ればつけないとダメですね」と笑った。それでも思わぬ飛来で一躍、時の“ハト”となった7520番。西武ファンの間では「名前は“レオ”しかない」という声も聞かれるが、本業の方で成績を残し、立派な名前をつけてもらえることを願っている。(記者コラム・花里 雄太)
