朝20分の日光、48時間の断食、17度の寝室--作家・金森重樹が実践する「旧石器人スタイル」のすすめ
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ーー前編では主に松田さんに、現代人の不調に身体的なアプローチから語ってもらいました。金森さんは、現代人の不調についてどのようにお考えですか?
松田 筋肉や関節の面で言うと、慢性炎症とは3か月以上続く痛みを指します。3か月以上続く切り傷ってないですよね? ということは、必ずどこかに根本的な問題があると考えます。「慢性」というのは、そういった問題を見つけるシグナルになるわけですね。
金森 慢性炎症の原因はさまざまですが、特に現代人が気をつけたいのは食事。工業的に抽出された植物油に含まれるオメガ6系の脂肪酸が、体内でアラキドン酸を介して炎症を慢性化させる原因のひとつです。そんな慢性炎症を治すためのキーワードは、飢餓。ハッダ族やイヌイットを見ても、大体2日間の欠乏期があって、3日目にタンパク質を摂るというサイクルがある。本来、人間はそうした生活様式で設計されているので、それを断食によって作り出してあげればいい。
松田 断食ですか。今、少し流行していますよね。
金森 そうですが、世間一般で流行している断食やファスティングのやり方は、甘いと思っています。今、流行っているのは24時間断食とかだと思いますが、厳密には48〜72時間は断食しないと意味がありません。というのも、48時間完全に空にした時に、はじめて腸内でアッカーマンシア菌が増加します。このアッカーマンシア菌こそが「痩せ菌」と呼ばれるもので、健康長寿にも多大に寄与すると言われています。
◆日光は「直接」浴びることに意味がある
ーー前編で松田さんが「脳からくる痛みが治りにくくなっている」とおっしゃっていました。金森さんはこの問題をどう見ていますか。
金森 体内の炎症を抑えると、トリプトファンというアミノ酸がセロトニンやメラトニンに変換される量が5〜10倍に増えると言われています。食事でトリプトファンをしっかり摂っていても、慢性的な炎症があるとその多くが別の経路に使われてしまい、セロトニンの材料になりません。まずは炎症を起こさない体づくりが、セロトニンを増やす土台になるのです。
松田 なるほど。ダイアリー療法でセロトニンを上げていくことと、金森さんがおっしゃる内側からのアプローチは、同じ方向を向いているんですね。
金森 外からのアプローチと内からのアプローチの合わせ技一本で、より効果を高めていけると思います。
ーー不眠に悩む現代人も多いです。金森さんはどうアプローチしていますか。
金森 まず、朝に太陽の光を浴びることです。カギは日光を直接浴びることで、ガラス越しでは紫外線B波が99.8%阻害されます。また体内時計のリセットのために、必ず朝決まった時間に20分ほど日光を浴びましょう。加えて、体内時計は栄養が入ってきた時にもリセットされるので、毎日同じ時間帯に栄養を摂ることも大切です。
松田 規則正しい生活って、旧石器時代人の生活様式でもあるんですね。
金森 その通りです。そして、寝る時は深部体温を下げてください。研究でも「15度前後が最も睡眠の質が高い」というデータがある。深部体温が下がると体は睡眠モードに入るわけです。内臓を強く冷やすことで熱交換が起き、手足が温かくなって眠りにつきやすくなります。
