記事のポイント’47は「Worn Worldwide」を展開し、5カ国で撮影した動画で世界的な着用シーンを発信している。主力キャップ「クリーンアップ」は累計1億5000万個を販売し、幅広い層に支持される定番アイテムとして訴求している。SNSとOOHを組み合わせた施策でブランド再定義を図り、米スポーツ文化の拡大を背景に海外市場の成長を狙う。
マーケティングにおいて、ボストンを拠点とするベースボールキャップブランドのフォーティーセブン('47)は、北米外への進出を一段と積極化させている。同ブランドは4月上旬に、自社を代表するキャップモデルのひとつ「クリーンアップ(Clean Up)」が世界的に人気を集めていることにスポットを当てたグローバルキャンペーン「Worn Worldwide」を開始した。フォーティーセブンはこのキャンペーンで、アーティストから漁師まで、海外のさまざまな人々がフォーティーセブンのキャップをどのように着用しているかを伝える5本のショート動画を制作。これらの映像は4月13日から17日まで、1日1本ずつSNS上で公開されている。フォーティーセブンはコンテンツをスコットランド、米国、メキシコ、フランス、イタリアの5カ国で撮影した。キャンペーンは、フォーティーセブン・ヨーロッパ、フォーティーセブン・メキシコ、フォーティーセブン・ジャパン、フォーティーセブン・オーストラリア&ニュージーランドなど、フォーティーセブンの海外子会社を通じて発信されている。

「ダッドハットの父」を継ぐ第2弾キャンペーン

今回の新キャンペーンは、フォーティーセブンが2025年の秋に展開し、自らを「すべてのダッドハットの父(The Father of All Dad Hats)」と宣言したキャンペーンの延長線上にある。フォーティーセブンは創業約80年の企業で、NFL、MLB、WNBA、NHL、そして数百の大学とのライセンス提携で知られる。しかし長年のあいだに、スポーツ用品ブランドのファナティクス(Fanatics)、スポーツ用品メーカーのナイキ(Nike)、ファッションブランドのフェイバリットドーター(Favorite Daughter)、同じくファッションブランドのローイング・ブレザーズ(Rowing Blazers)といった各社がヘッドウエア事業を強化するにつれ、競争は激化している。フォーティーセブンが最近のマーケティング活動によってめざしているのは、「マーケットにおける自社のポジションを取り戻す」ことであり、他社との違いやブランドの価値提案をより明確に打ち出すことだと、フォーティーセブンのマーケティング担当バイスプレジデントのパトリック・キャシディ氏は語る。

世界で1億5000万個売れた「クリーンアップ」を主役に

フォーティーセブンの近年の2つのキャンペーンは、いずれも1990年代にデビューした、よりリラックスしたフォルムの「クリーンアップ」にフォーカスしている。フォーティーセブンはこれまで世界で1億5000万個のクリーンアップキャップを販売してきた。同製品は野球ファンからローマ教皇に至るまで、幅広い層から熱心な支持を集めている。「これは、誰もが手にできるプレミアムな商品だ」とキャシディ氏は言う。「人種、年齢、性別、職業、そして国を超えて愛されるモデルである。われわれはキャンペーンの第2弾で、まさにそれを示したい」。キャンペーンに登場する適任の人々を見つけるには、「現地での大変な努力」が必要だったとキャシディ氏は振り返る。「Worn in Scotland」の映像に登場するのは、馬や羊の世話をする際にボストン・レッドソックスのキャップをかぶる羊飼いだ。「Worn in France」の映像の主役は、アトリエで絵を描く際にロサンゼルス・ドジャースのキャップをかぶるビジュアルアーティスト。「Worn in Mexico」の映像に登場するのは、公園での対局に急ぐ際にデトロイト・タイガースのキャップをかぶるチェスプレーヤーである。「共通しているのは、クリーンアップが彼らにとっての定番アイテムになっていることだ」とキャシディ氏は語った。フォーティーセブンは「Worn Worldwide」がブランド認知度とコンバージョンの向上につながるかどうかを追跡調査する予定だ。これに先立つ「Father of All Dad Hats」キャンペーンでは、両指標において「非常に大きな上昇」が見られたとキャシディ氏は言う。「その結果を受けて、『これは絶対に第2弾をやろう』と判断した」と同氏は述べた。ただし今回は、前回のスタジオ内撮影とは異なり、屋外でコンテンツを撮影した。

ビル壁面への夜間映像投影でOOHに注力

「Worn Worldwide」キャンペーンは、TikTokからYouTube、インスタグラムまで、複数のチャネルで展開されている。屋外広告(OOH)も大きな柱のひとつであり、これは「Father of All Dad Hats」キャンペーンで同ブランドがビルボードを展開したときと同様だ。今回は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ボストンで、キャンペーンの映像を建物の壁面に投影している。映像は主要な週末の夜間を中心に「当面のあいだ」流し続けるとキャシディ氏は述べた。第1弾は4月16日から18日まで、1晩あたり少なくとも5時間にわたって放映される。「夜間の映像投影は、シネマティックでストーリー性のある、われわれのキャンペーン・アンセム(主題曲)のコンテンツにまさにふさわしい」とキャシディ氏は語る。「従来型の屋外広告とは違う形で、人々の注目を集める機会である。このブランドは80年かけて築き上げてきたが、われわれはいま、人々を驚かせるような革新的な手法で、積極的に未来へと踏み出している」。

米スポーツ文化の拡大を追い風に海外展開を加速

フォーティーセブンの新たなグローバルキャンペーンは、同ブランドが米国国外での売上拡大に取り組んでいるタイミングとも重なる。北米は依然としてフォーティーセブンにとって最大の市場だが、日本、中南米、メキシコでは小売パートナー網が拡大している。「2026年はさらに多くの展開が予定されている」とキャシディ氏は述べた。スポーツ&ファッション領域を担当するジャーナリストで、サブスタック(Substack)のニュースレター「スポーツバース(SportsVerse)」を執筆するダニエル=ヤウ・ミラー氏はModern Retailに対し、フォーティーセブンのようなブランドには海外で大きな可能性があると語った。同氏によれば、それはとりわけ、米国のスポーツ文化が国境を越えて広がり、米リーグが国際試合をより多く開催するようになっているからだという。「NFLがロンドンで試合を開催したり、MLBが国際試合を行ったりするたびに、非常に大きな盛り上がりを見せている」と同氏は語る。ミラー氏はかつてロンドンに住んでいた経験から、街を歩く人々が米国チームのキャップをかぶっている割合に「明らかな違い」があったと述べた。「人々は本当に米国のスポーツに関わりたいと思っている」と同氏は語る。「ヘッドウエアはその中心にある。ちょうどヨーロッパにおけるサッカーのユニフォームのようなものだ。アメリカンスタイルのスポーツグッズを世界のほかの地域へ広げることには、大きな成長機会がある。すでに海賊版やコピー品が相当な規模で出回っているのだから、本家のブランドが自ら手がけたほうがよい」。フォーティーセブンとしては、あと何十年にもわたって、そのスポーツ文化と議論の中心的な存在でありたいと考えているとキャシディ氏は語った。「我々は数カ月前に、当社のブランドが何であり、何を掲げ、同業他社と何が違うのかについて、マーケティングとメッセージをより明示的にしていこうと決めた」と同氏は述べた。「我々はファストファッションブランドではない。自社製品の作り方という職人的な技を磨き上げることに、長い時間を費やしてきた」。[原文:Dad hat brand '47 goes global with a new marketing campaign, 'Worn Worldwide']Julia Waldow(翻訳、編集:藏西隆介)