鹿島ユースの石渡智也【写真:安藤隆人】

写真拡大

鹿島ユースの2年生MF石渡智也

 4月4日に開幕をした高円宮杯プレミアリーグと全国7地域のプリンスリーグ。

 ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。

 今回はプレミアEAST第3節・鹿島アントラーズユースvs流通経済大柏から。2連勝中の好調・流通経済大柏に対し、鹿島ユースは前半で3ゴールと圧倒。後半は苦戦したが、3-1の勝利を手にした。

 試合後、3点目のゴールを決めて殊勲者となるはずだった2年生MF石渡智也は、コーチ陣からずっと抱えている課題を厳しく指摘をされ、それを真摯に受け止めていた。

 185cm、73kgの恵まれた体躯を生かし、右サイドからゴール前に入っていく迫力は十分。「FWでもボランチでも、どこでもこなせるのが僕の特徴」と口にするように、足元の技術、戦術眼に秀でており、チャンスメークからフィニッシュまで高性能にこなす。

 昨年は1年生ながらプレミアEASTで4試合に出場。今年は第2節の帝京長岡戦で右CKに右足で合わせてプレミア初ゴールをマーク。この試合でも2-0で迎えた33分に左サイドを突破したDF岩土そらの左足のクロスを、ファーサイドから勢い良く飛び込んでドンピシャヘッドを突き刺し、2戦連続弾で勝利を決定づけた。

 だが、前述したとおり、石渡の出来はコーチ陣から見ても満足の行くものでは無かった。それは彼自身がよく理解していた。

「ゴールこそ取れたのですが、走る部分などは全然足りていなくて、後半は運動量が落ちてきてしまった。そこは課題だと思います」

 その言葉通り、前半は完璧と言えるほどのゲーム運びを見せ、石渡も効果的なプレーを見せてたが、後半に入ると相手のパワーと走力に押し込まれるシーンが目立ち、チームとしても一進一退の膠着状態に陥った。

 後半アディショナルタイムまでプレーした石渡は、ラインを落として守備面での貢献をしていたが、守備から攻撃へと切り替わった時のスプリント、推進力の面で物足りなさが残った。前節の帝京長岡戦では後半に入っても仕掛けてのシュートなどを見せたが、この試合ではやや存在感が消えてしまっていた。それでもアディショナルタイムまで起用し続けたのは、スタッフからの期待の大きさの表れと言えるだろう。

「僕の理想は攻撃も守備もどちらもできる選手。どんどん上下運動して守備に貢献しながらも、チャンスとあればゴール前に入っていって、フリーランニングや自分で仕掛けて行くなど、積極的にゴールを狙う姿勢を常に出せる選手になっていきたいです。でも、そのためには体力や走力が自分には足りない。今日のような相手(流通経済大柏)だと、スピードも強度も高くて、前半だけでちょっと疲弊してしまって、後半は勢いよく上がったり、ピンチの時に戻りきれなかったりした。もちろん最初からフルパワーでやりますが、それでも90分間、最後まで走り切れる選手にならないといけないと改めて思いました」

 サッカー選手として現状で満足をしたら終わり。足りない部分から目を背けずに、向き合い続けないと成長はない。だが、それも実際にピッチに立って、レベルの高い相手と対峙しない限り、頭では理解していても、本当に『我が事』として受け止めて、行動に反映させることは難しい。

 そういう意味では彼は大きな気づきをこの試合を通じて得ることが出来た。

「チームで週明けにフィジカルをやるのですが、そこに100%で取り組むだけでなく、それ以外にももっと個人的にフィジカルや走力を上げるトレーニングやっていかないといけないと思っています」

 あとはそれを実際に行動に移せるか。レベルを上げながら持続して取り組むことができるか。それは彼次第だが、このサイズとバネ、そしてポジショニングの良さとオフ・ザ・ボールの質の高さ、そして仕掛ける技術を持っている魅力的なタレントだけに、この試合を境に一皮も二皮も剥けて欲しいと思う。

 鹿島アントラーズつくばジュニアから中学進学時に『本家』である鹿島ジュニアユースにやってきた石渡は、この常勝軍団のエンブレムを背負う責任を知っている。

「アントラーズは闘わないといけないクラブなので、もっと走って、攻撃だけじゃなく守備でもいろんな局面に顔出して、もっともっと怖い選手になっていければいいなと思ってます」

 有言実行。彼の今後に期待していきたい。(安藤隆人 / Takahito Ando)