柏崎刈羽原発の営業運転再開、東電は1000億円の収益改善効果…首都圏の夏場の電力安定供給も
東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)6号機が16日に営業運転を開始し、首都圏では冷房需要が高まる夏場の電力が安定的に供給される見通しが立った。
中東情勢の悪化を受けて燃料調達への懸念が強まる中で、火力発電を代替する原発の存在感が増している。
赤沢経済産業相は14日の閣議後記者会見で「原子力はエネルギー安全保障に寄与する脱炭素効果の高い電源だ」と述べ、原発活用の意義を強調した。
経産省は柏崎刈羽原発の再稼働を見込んで、東電管内の電力供給の余力を示す予備率が9月に4%になるとの見通しを示していた。全国最低だが、節電要請は回避される水準となる。
原発再稼働は火力発電に使う化石燃料の節約につながる。今回の稼働により、日本が2025年に輸入した液化天然ガス(LNG)の2%弱(年間約110万トン)を削減できる。ホルムズ海峡経由でのLNG輸入分(約400万トン)の約3割に相当する。
福島第一原発事故の廃炉に向けた費用捻出が課題となっている東電ホールディングス(HD)の経営への影響も大きい。電力需要の約8割を火力発電で賄う東電は、燃料調達費の削減につながる原発再稼働により1基当たり年間1000億円の収益改善を見込む。小早川智明社長は、柏崎刈羽原発の安定稼働で年間に管内で消費する電力の4〜5%を賄えると説明する。
政府は昨年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で原発を「最大限活用する」と明記し、可能な限り依存度を低減するとしていた政策を転換した。経産省幹部は「中東情勢の悪化を受け、資源の乏しい日本が火力発電に依存するリスクが顕在化した。電力の安定供給のため、原発活用に理解を求めていく」と話す。
全国の原発33基のうち15基が東日本大震災後に再稼働したが、東日本では2基にとどまる。複数の原発が稼働する関西電力や九州電力の電気料金は東電より1割以上安い。東電は柏崎刈羽原発の再稼働を前提に現在の電気料金を設定しており、今回の営業運転は値下げに直結しない。ただ、管内の電力需給が安定することで将来的には料金抑制につながる可能性がある。
