ディーン・フジオカ、『LOVED ONE』で大事にする“連続性” 「『ちいかわ』の精神を忘れずに」
フジテレビ系水10ドラマ枠で放送中の連続ドラマ『LOVED ONE』で主演を務めるディーン・フジオカ。本作は、死因不明という社会課題に切り込み、遺体を“LOVED ONE(愛された存在)”として捉える法医学ヒューマンミステリーだ。ディーンが演じるのは、圧倒的な観察力で真実を導き出す天才法医学者・水沢真澄。役作りの裏側をはじめ、ディーンが本作に主題歌として書き下ろした新曲「Loved One」に込めた思い、そして作品とも通底する『ちいかわ』への愛について語ってもらった。
参考:『LOVED ONE』主題歌はディーン・フジオカ書き下ろし 福山雅治からの助言を参考に制作
■「瀧内公美ちゃんの存在が現場にとって大きな活力」
ーー“命”を扱う作品ですが、水沢真澄というキャラクターをどこかかわいさも感じられるようにしたいとおっしゃていたのが印象的でした。
ディーン・フジオカ(以下、ディーン):『ちいかわ』みたいな存在になれたらいいなと思っているんです。いつも忘れないように、こうやって身近に置いています(『ちいかわ』グッズを机に並べて)。つまり、“連続性”みたいなものを大事にしたいなと。なぜ真澄のモチベーションがあそこまで高いのか。やっぱり子どもの頃に何かに強く惹かれた原体験があるはずで。例えば、動物や虫の生活を観察していたり、森で死んでいる虫を見て「これはどうなっているんだろう」と興味を持ったり。そういう純粋で強烈な関心が、やがて人間の遺体へと向かっていったのではないか、と。そういったバックグラウンドも含めて、きちんと辻褄が合うようにしたいと考えていました。アメリカ時代に何があったのか、なぜ日本でこの道を選んだのか。どこを切り取ってもスピンオフが作れるくらい、制作チームの中で真澄の人物像は共有されています。少し難しい話になってしまいましたが、根底には『ちいかわ』の精神を忘れずに、ということですね(笑)。
ーー瀧内公美さんとのバディ関係も本作の大きな軸になっています。現場で感じている相性や印象的なことがあれば教えてください。
ディーン:(瀧内)公美ちゃんの存在は、現場にとって大きな活力になっています。今回、自分が演じている役はかなり負荷がかかるので、セリフや役作り、音楽なども含めて、常にギリギリのところでやっている感覚があるのですが、彼女がそれを和らげてくれています。ただ、和ませるだけではなくて、桐生麻帆という役に対しても真剣に向き合っている。その姿勢にはすごく刺激を受けていますし、「芝居って楽しいよね」ということを改めて感じさせてもらっています。同時に、現場のムードも明るくしてくれていて、本当にこの『LOVED ONE』というプロジェクトにとって欠かせない存在だなと思います。
ーー待機時間にはどんな会話をされているんですか?
ディーン:基本的には、どうでもいい話ばかりですよ(笑)。パペットスンスンのモノマネをしている瀧内公美と、ちいかわのモノマネをしているディーン・フジオカ、みたいな感じです。
ーー気になります(笑)。ほかの共演者の方々との現場でのやりとりはいかがですか?
ディーン:本当に、一人ひとりがポジティブなエネルギーを持ち込んでくれているなと感じています。今日も朝から綱(啓永)くんと一緒だったんですが、彼はすごくしっかりしている。自分が一度体調を崩して番宣に出られなかったときも、綱くんが一人でしっかり立ち回ってくれて、頼もしいなと思いました。八木(勇征)くんは本当に人懐っこいですよね。ちいかわのグッズをプレゼントしてくれたりして。
ーー現場では『ちいかわ』の話題も出ていると伺いましたが、制作チームにもファンは多いのでしょうか?
ディーン:結構います。スタッフさんのバッグに『ちいかわ』のバッジやキーホルダーが付いていたり、Tシャツを着ていたりするのをよく見かけます。この前、八木くんから『ちいかわ』グッズを2つプレゼントしてもらったりもして、少しずつ現場全体が『ちいかわ』にまみれている感じになってきているのを感じています。
■大切な人たちを失った経験が、“今だから向き合える”という実感へ
ーー約6年半ぶりのフジテレビ連続ドラマ主演となりますが、座長として現場づくりで意識していることはありますか?
ディーン:みんなが自由に、それぞれの力を発揮できる空気になればいいなと思っています。自分が率先して俳優部をまとめるというよりは、水沢真澄という役をどう感じられるかに集中して、その中で芝居を通してお互いに高め合えたらいいなという感覚です。公美ちゃんも現場を盛り上げてくれますし、山口紗弥加さんの存在感に引っ張られる瞬間もあって、本当に魅力的な役者の方々が揃っています。皆が真剣に芝居に向き合っているからこそ生まれるぶつかり合いも含めて、とても充実した、いい空気の現場だと感じています。
ーータイトルにもなっている「LOVED ONE」という言葉について、役に向き合う中でどのような意味の広がりを感じましたか?
ディーン:「LOVED ONE」というキーワードが、自分の中で磁石のような存在になっていて、必要なものを引き寄せて、そうでないものは過ぎ去っていく感覚があります。日々の判断基準としても、この言葉に導かれている実感があります。この言葉がご遺体という意味を持つことは今回初めて知ったのですが、楽曲制作の際は、大切な家族というニュアンスだったり、文字通りの意味でアプローチしていました。だからこそ、日常の平凡な風景を重ねていく形になったのですが、それが映像と重なったときに、“死”を扱う物語の中で、一人ひとりに確かに存在していた日常を直感的に感じさせることができたように思います。そうした相互作用によって、「LOVED ONE」という言葉が作品全体のシナジーを高めている感覚があり、とても気に入っています。
ーー主題歌「Loved One」の制作において意識されたことを教えてください。
ディーン:楽曲を作る際に、表紙と裏表紙をきちんと作りたいと思っていました。本や絵本を開くときのように、最初に表紙を開いて物語が始まり、最後に裏表紙を閉じるように終わる。そしてまた聴き返したときに、もう一度表紙を開く……という構造を意識しました。それは人生にも通じるもので、始まりがあれば必ず終わりがあるということ。ドラマではご遺体と向き合うことになりますが、真澄が解剖を始める際に「始めます」と声をかけるのは、チームに対してだけでなく、かつて生きていたその人の記憶に敬意を払う意味もあると感じています。実際に演じてみて、そういう意識で向き合えたことは良かったなと思っています。
ーー出演発表時に「今の自分が向き合うべきタイミングで巡ってきた、運命的な出会い」とコメントされていましたが、どのような点でそう感じられたのでしょうか?
ディーン:あまり偶然の話をデフォルメして運命と呼ぶのもどうかとは思うのですが、今の自分だからこそ、まっすぐに向き合える作品だと感じたのは確かです。大切な人たちをここ数年で失ってしまったこともあり、自分にとっては単なる偶然とは思えない感覚があって。だからといって作品への向き合い方が変わるわけではないのですが、そうした巡り合わせに何かしらの意味を見出してしまうくらい、その人たちも記憶も大切なものです。この作品もまた、自分にとって大切な記憶のひとつになっていくと思いますし、そうした思いを抱きながら、日々粛々と芝居と作品づくりに向き合っています。(文=佐藤アーシャマリア)
