バーニー・サンダース上院議員、AIデータセンター建設停止へ法案提出
テック企業が全米各地で新しいデータセンターの建設を競い合うなか、バーニー・サンダース米連邦上院議員は、その流れにブレーキをかけようとしています。
データセンター建設の一時停止を求める法案
サンダース上院議員は、米連邦議会が「アメリカ国民の安全と繁栄を確保する」ためのAI関連法を可決するまで、新規AIデータセンターの建設や拡張に対し、全米規模で一時停止措置を課す法案を上院に提出すると発表しました。
また、下院においてもアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員が、今後数週間以内に同様の法案を提出する見込みだそうです。
サンダース上院議員はXへの投稿で、「AIとロボット工学は、我々の社会に破滅的な変化をもたらそうとしている。残念ながら、議会はほぼ何もしてこなかった。AIは、億万長者のためではなく労働階級の家族のために活用されなければならない」と指摘しています。
テック大手の巨額投資と地域住民の反発
この法案の背景には、Meta(メタ)、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、OpenAI(オープンエーアイ)をはじめとするほぼすべての大手テック企業が、競合するAIモデルの訓練と運用に必要なインフラ整備に数十億ドル規模の資金を投じている現状があります。
CNBCによると、各社を合わせた今年のAI関連支出は、少なくとも7000億ドル(111兆円)に達する見込みなのだとか。
一方で、建設が計画されている地域の一部では、すでに反対の声が上がっています。
昨年、マイクロソフトとグーグルは、エネルギーや水の消費量、電力網への負荷を懸念する地元住民の反対を受け、データセンター建設計画を撤回しました。新規データセンター開発に対する一時的な規制を検討している地方自治体も少なくないようです。
こうした懸念こそが、サンダース上院議員の法案の核心だったりします。
データセンター建設を続けるための条件とは?
同法案では、AIデータセンターを「AIモデルを大規模に開発・運用するための施設」、あるいは「高性能サーバーラックや液体冷却システムに依存し、ピーク時の電力負荷が20メガワットを超える施設」と定義。議会が一連の条件を満たす法律を可決するまでは、建設を一時停止するとされています。
建設再開の条件には、AIシステム公開前の政府による審査と承認の義務付け、データセンター運用による電気料金の上昇や気候変動悪化への寄与の防止、雇用喪失防止策の導入などが含まれ、さらにAIによる経済的利益を国民に分配するよう求めています。
とはいえ、トランプ政権と、共和党が過半数を占める上下院が相手なので、サンダース上院議員の法案が可決される可能性はかなり低いというか、ほぼゼロでしょう。
ビッグテックのCEOたちが就任後1年以上ご機嫌をとってきたトランプ大統領は、昨年12月に国家安全保障および経済安全保障の名の下に、政権が「過度に負担が大きい」と表現する州レベルのAI規制を制限する大統領令に署名しました。献金あるのみですね。
国民の利益が先か、AI開発が先か
法案に関する記者会見で、AIプロジェクトの遅延が中国に優位性をもたらす可能性を問われたオカシオ=コルテス連邦下院議員は、次のように答えています。
それぞれの企業が正々堂々と事業を行ない、自前でエネルギーを調達し、インフラへの投資を進め、アメリカ国民にただ乗りするのを拒否するようになれば、引き続きこのテクノロジーの開発と探求を進めることができます。科学やアメリカの競争力を否定する話ではないと思います。
サンダース上院議員が法案を発表したまさにその日、トランプ大統領はメタのマーク・ザッカーバーグCEOやNVIDIAのジェンスン・フアンCEOなど、大手テック企業のリーダー数名を、新設された大統領科学技術諮問委員会(PCAST)のメンバーに任命しました。
それでも、サンダース上院議員に引き下がる気配はまったく見えません。彼の言い分は細部が正確じゃないこともありますが、AIの影響について一貫して警鐘を鳴らし続ける数少ない連邦議員のひとりなんですよね。
AIへの不信感が選挙の争点に
NBCによる最近の世論調査では、犯罪行為を働く不法移民の取り締まりのはずなのに、アメリカ市民を拘束したり射殺したりしているICE(移民税関捜査局)よりも、AIの方が支持率が低いという衝撃的な結果に。
別の調査では、有権者が銃規制や気候変動、保育、ガソリン価格、妊娠中絶問題よりも、AIの方が重要な選挙の争点であると回答しています。
そういった事実を踏まえると、サンダース上院議員は国民の関心に寄り添った存在と言えそうです。
サンダース上院議員は、テック業界の大富豪に異議を唱えることを恐れません。オカシオ=コルテス下院議員との記者会見では、イーロン・マスクやビル・ゲイツ、ムスタファ・スレイマン(マイクロソフトAIのCEO)の「AIがほとんどの仕事を代替するだろう」との発言を引用してみせました。
サンダース上院議員はさらに、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスに対し、製造業企業の買収とAIによる自動化の加速を目的とした1000億ドル(15兆9000億円)規模の基金設立を目指しているとの報道について、議会で証言するよう求めています。
ところで、バーニー・サンダース氏といえば、Claude相手にAIによる個人情報収集のリスクについて対話している動画が結構おもしろかったです。
「なぜ個人情報が収集されているのでしょうか?目的は何ですか?」とのバーニーの問いかけに、Claudeが「お金ですよ、上院議員」と即答して爆笑しちゃいました。誠実ね、Claudeは。
Reference: Senator Bernie Sanders / YouTube
