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バラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)が1月23日に放送した回に登場した子どもについて、SNSでは「ヤングケアラーではないか」という指摘や、両親を批判する声が上がりました。

放送されたのは、6人きょうだいの長男(12歳)が「長男を1日代わってほしい」と依頼し、お笑いコンビ「霜降り明星」のせいやさんが代わりに5人の世話をするという内容でした。

家族を支える子どもがいる」という番組が示した社会の一面に対して、「美談にするな」という世間の怒りが表れたのかもしれません。

そこで弁護士ドットコムニュースは今回、「ヤングケアラー」をテーマに経験談や意見を募集しました。

すると、自らの人生を削り、教育や遊び、時には命さえも危険にさらしながら、大人になっても傷が癒えない人たちの現実が浮かび上がりました。

●「弟の監視役」「母の布オムツを洗濯」…奪われた機会

寄せられた体験談の多くに共通していたのは、家庭内の責任を子どもが過度に負わされ、本来享受すべき教育や友人との時間が奪われたという実情です。

愛知県の40代男性は、小学1年生の頃から、衝動的な行動をすることが多い弟の世話を強いられたといいます。

「『お兄ちゃんなんだから』という言葉で縛られ、常に弟の監視役を強いられる毎日」

大人になった今は、弟と絶縁状態にあるといい、「家族の助け合いという美名のもとで、子供にケアを丸投げすることは、子供同士が暴力的な支配関係に陥る危険性があり、将来にわたって修復不可能な亀裂を残す」とうったえます。

奈良県の50代女性は、中学3年のときに母が末期がんとなり、24時間体制の付き添いと家事を一手に引き受けました。

当時は「オムツも布が主流で紙は高額だった」といい、「病院でレンタルして、私が病院で 母の排泄物で汚れた布オムツを毎日洗濯して、病院の屋上に行って干していました」と振り返ります。

●逃げ場のない「身代わり」の地獄

親の身勝手や依存によって、子どもが「盾」や「身代わり」にされるケースはさらに深刻です。

埼玉県の40代女性は、幼少期から妹や祖母の世話を押し付けられ、さらには父親が作った巨額の借金の取り立て対応まで担わされたといいます。

「『長女に生まれたのはそれだけ前世からの罪が重く、家族の代わりに苦労するのは当たり前だ』『自分たちのために死んでも当然』だと聞かされてきました。ヤングケアラーの悩みは、両親が死んでくれないと解決しません。ヤングケアラーの家庭で育った子どもには人権なんてありません」

女性からの便りには、支援が届かない当事者の絶望が凝縮されています。

●大人になっても続く「ケア」の後遺症

ヤングケアラーの問題は、「大人になったら終わり」ではありません。成人後も家族の呪縛や経済的困窮に苦しみ続ける人が少なくないようです。

北海道出身の40代女性は、幼少期から弟や妹たちの世話を続け、進学も制限されました。

30代後半でようやく外部に支援を求めましたが、「18歳までしか支援できない」と断られたといいます。その後も父親の医療費を自らの預金から捻出し、家庭環境などを理由に婚約破棄にも至ったといいます。

大阪府の50代女性は、小学4年生の頃から両親の関係が破綻し始め、毎日のように母の愚痴を聞かされ、挙げ句には父の浮気相手のマンションを見張りに行かされるなど、「精神的ヤングケアラー」として育ったことを明かしました。

●メディアの取り上げ方への疑問、批判も

一方で、メディアの報じ方に対する疑問の声も寄せられました。

「面白さや分かりやすさを優先するあまり、家族の一場面を切り取り、社会的な問題構造として消費してしまった側面は否定できない」(東京都・40代男性)

「ネットで親を叩くのではなく、ヤングケアラーの子どもにもわかるように『困ったときはこんな助けがあるんだよ』などとわかりやすく伝えてあげることはできないんでしょうか」(関西地方・60代女性)

ヤングケアラー問題は、単なる「お手伝い」の延長ではありません。

埼玉県の40代女性は、自分と同じ苦しみを子どもに味わせたくないと願いつつ、こううったえます。

「どうか、子どもの時に親と籍を分けられる、そして名前や身元を隠せる法律を作ってください。そして、せめて高校を卒業するまでは学校に通えるように寄宿舎や寮のような避難所を作ってください」