「消費税減税」で逆に生活が苦しくなる? 専門家が指摘する「物価高対策」の意外な落とし穴
衆議院選挙が27日に公示され、各政党が「消費税減税」を公約の目玉に据え、激しい支持固めに動いている。食料品の税率ゼロから消費税そのものの撤廃まで、物価高に苦しむ家計に「寄り添う言葉」が並ぶ。しかし、構想日本代表の加藤秀樹氏は最大30兆円に及ぶ財源不足と、1100兆円を超える巨額借金の現実を指摘。果たして減税は救世主となるのか。争点の一つとなっている減税議論の是非を検証する。
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「減税合戦」家計への効果と財源リスク
今回の選挙戦では、政党の多くが物価高対策の柱として消費税の軽減を打ち出した。自民党と日本維新の会は、食料品にかかる消費税を「2年間限定でゼロ」にする方針を表明。これに対し、立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は「食料品の恒久的な税率ゼロ」を主張する。
さらに国民民主党は、賃金上昇率が物価プラス2%に安定するまで「一律5%引き下げ」。共産党は消費税廃止を目指して「ただちに5%に減税」を掲げた。社民党は「ゼロに引き下げ」。れいわ新選組と参政党、減税日本・ゆうこく連合は「消費税そのものの廃止」を訴え、チームみらい以外は各党が「減税合戦」という模様だ。
減税の効果についてある試算によると、食料品の消費税をゼロにした場合、270円の牛乳が250円に、162円のペットボトル飲料が150円になるなど、一定の価格低下が見込まれる。世帯年収別の節約効果は、年収200万円までの世帯で約4万円、同様に600万円までで約6万円、1000万円までで約7万円といわれている。
加藤氏は、これらの消費税減税案がもたらす「税収減」に強い警鐘を鳴らす。
「食料品減税で5兆円、一律5%の引き下げなら15兆円、全廃すれば30兆円もの財源が消失する。来年度予算約122兆円に対し、税収は約83兆円を見込み、既に不足する約40兆円を借金(国債)に依存する前提だが、減税をすると赤字がさらに大きくなる」
市場が鳴らす警鐘
解散決定直後から、金融市場が敏感な反応を示している。日本の債務残高は1100兆円に達し、これは年収300万円の個人が4000万円の借金を抱えている状態に等しい。欧米先進国の国債残高が税収の2~5倍程度であるのと比較すれば、日本の財政状況の異常さが際立つという。
加藤氏は「日本は圧倒的に世界一の借金国なんです。国も人も会社も同じで、借金がいっぱいあるのにさらに借金が増えることをすると、信用がどんどん下がる。最終的には借金もできなくなる」と語る。
2023年までに7兆円台だった利払い費も、金利上昇の影響で2025年には13兆円に膨らむ見通しだ。同時に進んでいる円安が加速すれば、食料輸入が多い日本では、食料品の価格が上がり続け、減税による価格低下分は容易に相殺され、物価対策にはならないと予測する。
各政党とも、物価高に直面する家計にとって消費税減税が即効性のある支援策となることをアピールするが、一方で、巨額の財源不足や国債依存の拡大、金利上昇や円安といったマイナス面については口にしない。
しかし、世界の金融市場は明らかにそのマイナス面の大きさに反応している。2022年にイギリスで起きた財源なき減税による市場混乱「トラス・ショック」のように、政治家の目が国内人気ばかりに向いていると、世界からダメ出しをくらうおそれは十二分にある。有権者には、メリットとリスクの双方を見極めた上での判断が求められている。

