新種発見!! 3年かけて見つけた過酷すぎる環境の“線虫”…でも、なぜ重要?
世界には、未発見の生き物がたくさんいます。「さすがにここにはいないでしょう」と思ってしまうような場所にも、しぶとく暮らしていて驚かされることがあります。
今回見つかったのも、まさにそうしたタイプの新種です。
発見された場所は、アメリカ・ユタ州にあるグレートソルト湖。西半球最大の塩水湖として知られます。
塩分濃度が極端に高く、多くの生物にとっては過酷すぎる環境。こんなところで、研究チームは新種の線虫を確認しました。しかもこの線虫、地球上でこの湖にしか存在しない可能性があるといいます。
石のような塊を3年かけて調査
Discover Wildlifeによると、発見を報告したのはユタ大学の研究者たち。
この微小な線虫は「Diplolaimelloides woaabi」と命名されました。「woaabi」という名前は「虫」を意味する先住民の言葉に由来しています。
グレートソルト湖を祖先の土地に含むショショーニ族北西部バンドへの敬意を込め、研究者と先住民コミュニティとの協議を経て決められました。
線虫は、地球上で最も数の多い動物のひとつです。庭の土の中から深海の底まで、ほぼあらゆる環境に適応しています。それほどありふれた存在であるにもかかわらず、グレートソルト湖では2022年まで線虫が正式に確認されたことはありませんでした。
この状況を変えたのが、本研究の筆頭著者であるジュリー・ユング氏です。彼女はカヤックや自転車で湖を巡り、湖底に点在する「マイクロバイオライト」と呼ばれる構造物を調査しました。マイクロバイオライトとは、藻類や微生物が長い時間をかけて作り上げた、石のような塊です。
「最初から新種だろうとは思っていましたが、それを分類学的に証明するまでに3年かかりました」とユング氏。見た目だけでは判断が難しく、遺伝子解析を含めた慎重な検証が必要でした。
しかも、彼らはこの線虫が「固有種」、つまり「特定の地域だけで生息する生物」である可能性が高いと考えています。
この発見により、線虫はブラインシュリンプやブラインフライに続き、グレートソルト湖の超高塩分環境で生きる多細胞動物グループとなりました。
さらに遺伝子解析の結果からは、未命名の別種が存在する可能性も示唆されています。
線虫は「生態系の状態を語る」
では、この線虫は、いったいどのようにして、ここへたどり着いたのでしょうか?
その答えは、まだ分かっていません。
研究者たちは「古代の海に取り残された説」や「渡り鳥によって運ばれてきた説」など、いくつかの可能性を挙げています。
この線虫が重要なのは、珍しいからだけではありません。線虫は細菌を食べ、栄養循環に関わる存在です。さらに、個体数や分布の変化が、水質や塩分濃度、堆積物の化学的変化を反映するため、環境の変化をいち早く知らせる「生物指標」として機能する可能性があるのです。
人為的な影響が強まっているグレートソルト湖において、この小さな線虫は、目に見えにくい変化を静かに伝えてくれるのかもしれません。
派手な生き物ではありませんが、生態系の状態を語る重要な存在なんですね。
Source: Discover Wildlife

