記事のポイント
韓国発のメディキューブは美容デバイスを核に、世界市場で急成長を遂げている。
D2Cを起点としつつ、Amazonやアルタビューティーなど複数チャネルへ展開している。
売上は2025年に前年比100%成長し、今後は欧州や日本でも拡大を狙う。


キム・ビョンフン氏は、毛穴パッドや「ブースタープロ(Booster Pro)」を武器に帝国を築き上げている。このスキンケアデバイスは、同氏のブランドであるメディキューブの代名詞ともいえる存在だ。

ソウルを拠点とする起業家のキム・ビョンフン氏は、2014年にスキンケアブランドのエイプリルスキン(Aprilskin)を立ち上げたことから、美容ビジネスを本格的にはじめた。同氏によれば、エイプリルスキンは自然由来成分にフォーカスしたブランドである。

その後2017年、特定の肌悩みに対する集中的なケアを軸にしたメディキューブをローンチした。

2024年には両ブランドの親会社であるエーピーアール(APR Corp)が上場を果たし、現在、同氏が保有する31%の株式は、企業評価額40億ドル(約6000億円)のうち、およそ13億ドル(約1950億円)相当と見積もられている。

セレブリティとインフルエンサーが後押ししたブランド認知の拡大



そんななか、2023年にヘイリー・ビーバーがTikTokで同社の主力ガジェットをフィーチャーした投稿をするなど、メディキューブはオーガニックなスポンサー契約の恩恵を受けてきた。

その後、カイリー・ジェンナーなどのセレブリティとも有料契約を結び、4月には、ジェンナーが一般公開前のロサンゼルスのポップアップを訪れた様子を投稿している。

また3月には、有名メイクアップアーティストのサー・ジョン氏をクリエイティブディレクターに任命した。同氏はマーケティングや商品開発への助言を行うほか、イベントのホストを務め、ブランドの顔としての役割も担っている。

売上の3〜4割を支える美容デバイス事業の成長



同社がデバイス分野に初めて参入したのは2021年である。

現在も主力商品であり続けているブースタープロは、220ドル(約3万3000円)で販売されており、ミニサイズは100ドル(約1万5000円)だ。

LEDやマイクロカレントといった人気のスキンケア技術を組み合わせたハンディ型デバイスで、アルタビューティー(Ulta Beauty)のほか、TikTok ShopやD2C(自社EC)で展開されている。

ビョンフン氏によれば、デバイスは年間売上の30〜40%を占めることが多いという。

2026年以降を見据えた次世代美容デバイスへの展望



そして、ビョンフン氏は「このブランドは機器分野での事業展開を終えたわけではない」と述べた。

「美容デバイス業界は、実はまだはじまったばかりだ。我々のデバイスをこれから知る人はまだ数多くいるし、ブランドとして投入する新たなデバイスも控えている」とビョンフン氏は、Glossyに対する貴重なインタビューで語った。

同氏はさらに、2026年後半には、ソウルのクリニックで人気のスキンエステティック施術に着想を得たデバイス分野へ拡大する計画があることにも触れている。

記録的な2025年の売上成長と全方位チャネル展開への展望



2025年は、メディキューブにとって記録的な売上の年となっている。

ブランドによれば、7月のAmazonプライムデーでは2200万ドル(約33億円)を売り上げ、ブラックフライデーではAmazon、TikTok Shop、D2Cの合計で900万ドル超(約13億5000万円)を達成した。

また10月には、アルタビューティーのオンラインスキンケアカテゴリーで1位、オンラインと実店舗を合わせた総合ランキングでも3位にランクインしたという。

7月時点で、メディキューブは2025年の売上目標を1兆ウォン(約6億8000万ドル、約1020億円)に設定している。

年初から第3四半期までの売上は6億6600万ドル(約999億円)に達し、前年同期比で100%成長を記録した。ホリデーシーズンの好調な販売動向を受け、通期売上はこの目標を上回る見通しだ。

それでも、ビョンフン氏は歩みを緩めるつもりはない。

「日本や欧州全体で大きな成長が見えている。我々は、考え得るあらゆるチャネルに進出したい」。

[原文:Medicube’s founder on the products and people that fueled the brand’s booming year]

Sara Spruch-Feiner(翻訳、編集:藏西隆介)