美容院やヘアサロンでのシャンプーが脳卒中を引き起こす可能性があると専門家が指摘

美容院やヘアサロンで頭を洗ってもらうのは気持ちがいい体験ですが、実はシャンプー台に首をのせて洗髪されることが深刻な健康被害をもたらす可能性があると、イギリスのウェストミンスター大学で神経科学や炎症性疾患の上級講師を務めるマリア・アシオティ博士が警告しています。
The hidden health risk of having your hair washed
https://theconversation.com/the-hidden-health-risk-of-having-your-hair-washed-244317

美容院やヘアサロンで洗髪される際、一般的には以下の写真のように座席を倒してあおむけ状態になり、シャンプー台の縁に首をのせ、頭だけをシャンプー台の中に突っ込むような姿勢になります。この状態でシャンプーや頭皮マッサージをされると非常にリラックスして気持ちよく感じますが、中には「シャンプー台の縁にのった首が痛い」「首と頭の角度に無理がある気がする」と感じた経験がある人もいるはず。

アシオティ氏によると、多くの美容院やヘアサロンで採用されている背中向きのシャンプー台に悪い角度で座ると、首の痛みやケガが生じたり、まれに「beauty parlor stroke syndrome(美容院脳卒中症候群:BPSS)」という脳卒中の一種を引き起こしたりする可能性があるとのこと。
BPSSは1993年に、アメリカの神経内科医であるマイケル・ワイントローブ氏によって初めて報告された病気です。ワイントローブ氏は、美容院を訪れて髪をシャンプーされた後、一部の患者が脳卒中に関連する症状を発症したことを発見しました。
脳卒中は血栓や血管の破裂などによって脳への血流が突然減少し、酸素やぶどう糖、その他の栄養素の供給が滞って脳細胞に損傷が及ぶ発作です。美容院やヘアサロンでのシャンプーの際は、客がシャンプー台の硬い縁に首をのせる姿勢となりますが、この時に首の位置が悪かったり、シャンプーの勢いで首が変な方向に曲がったりすると、首のあたりにある脊椎が脳に血液を送る動脈に押し当てられます。これにより、血管が圧迫されたり破れたりすることで、脳卒中の症状が発生するというわけです。
一般に脳卒中のリスク因子には、高齢者であることや高血圧、糖尿病、高コレステロールといったものが挙げられますが、若くて健康な人でも脳卒中を起こす可能性があります。以前の研究によると、BPSSは50歳以上の女性で発生する可能性が最も高く、血管の狭窄(きょうさく)や脊柱の関節炎の既往歴などがリスク因子になるものの、年齢や病歴に関係なく起こりうるそうです。

2016年の研究では、2002年〜2013年の間に報告されたBPSSの症例はわずか10件しか見つからず、BPSSが一般的な脳卒中に比べてかなりまれな疾患であることがわかっていますが、それでもBPSSの症状には注意する必要があります。
BPSSの症状には頭痛や立ちくらみ、めまい、かすみ目または視野狭窄、吐き気、嘔吐(おうと)、首の痛み、体の片側のマヒといったものがあります。これらの症状は美容院やヘアサロンでの処置から遅れて生じることもあるそうで、これが原因特定を難しくする要因のひとつになっているとのこと。
BPSSが不安であったり、シャンプーの際に痛みや不快感を覚えたりする場合は、シャンプー台に向かって後ろ向きではなく、前向きになって洗髪を受けてもいいか聞いてみた方がいいとのこと。前向きになるのが許可されなかった場合、首とシャンプー台の縁にタオルやクッションを挟むようにお願いすることもできます。また、あまりに激しすぎる洗髪はBPSSのリスクを高めるため、穏やかな洗髪をするよう依頼するのもひとつの手です。
アシオティ氏は、「美容院でのシャンプーは、ほとんどの人にとって安全で楽しい行為です。美容院に行くことは精神衛生や自尊心、自身を保つために重要です。なので、シャンプーをやめてもらうためにタオルを投げ入れる代わりに、洗髪中の首の支えにタオルを使いましょう」と述べました。
