【倒産急増 木造建築業界】資材高騰、人手不足…三重四重苦の現実

写真拡大

バブルの後遺症から立ち直った矢先で建設・土木業界で倒産が続出しているなかで、さらに厳しい状況にあるのが「木造建築業界」です。国内の木造建築の新築着工件数は、年間90万戸ほどあります。このほかにリフォーム工事、改装工事がおよそこの倍の件数が行われていいます。ところがこの木造建築業界に大きな変化が起きています。木造建築業界、リフォーム業界は2010年ぐらいまでは、順調に売り上げが推移してきており、なんとかバブル崩壊の混乱から落ち着きを取り戻しつつありました。しかし、2015年ごろから大手ハウスメーカー受注が増えるようになります。これに加えて格安メーカーの参入によって大変な価格競争になっていきます。このころから業界全体を巻き込んだ変革期を迎えることになりました。この業界の変化は、地方だから、大都市圏だからという地域的な差はほとんどなく、大都市圏のハウスメーカーであっても非常に危ないといわれています。そこにきて2020年からはじまったコロナ禍で、実質的に工事が停止。さらにコロナの影響でもありますが、2022年ごろに輸入木材が入ってこなくなります。このことはこの木造建築業界にとっては大地震に見舞われたようなもので、コロナ明け早々から木材不足による納期遅れ発生します。それでも なんとか2023年にこうした問題が解消し始めたかなと思ったら、今度は半導体不足で建築資材以外の温水シャワートイレや給湯器という部材も不足し、価格も高騰し始めました。コロナによる急激な変化に対応不可木造建築会社は、最初に見積もりを出して受注するので 、木材や資材が値上がりしたから価格も上げますといえない。それでも交渉をするのだけれど、施主とのトラブルになったりして、結局は自社の利益圧縮なってしまいました。さらにローコストのハウスメーカーが大都市圏だけでなく地方にも進出してきまて、各地で価格破壊が始まります。これまで通りの見積もり出しても、「テレビでCMをやっているほうが、ぜんぜん安い」といわれ価格を下げざるを得なくなります。そのため各地にいた 、いわゆる名工と言われた人たちも、消えていってしまっています。もはや木造建築業は儲からないビジネスなってしまい、人手不足、後継者不足に拍車がかっているのが、この業界の現在の状況です。親方の勘ではIT化、DX化にかなわない厳しい環境にある木造建築業界さらに、ITやDX化が進み、会全体に入ってきていますが、木造建築業の大手はまだしも、中小はIT、DXの導入や活用も遅れていています。今も大半が製図や見積もり、建築積算なども親方の感 でやっているところが多い。資金繰りも同様で、親方のどんぶり勘定と銀行頼みになっているというのが実態です。しかも、こうしたやり方なので、納期の遅れ起こりがちなため、代金支払いのトラブルにもつながり、結果、見積もり通りの支払いが行われないということも往々にして起こっています。これはリフォーム業界も同様で、人手不足も相まって、三重苦四重苦なっています。そこで自ら個別の顧客から直接受注することが難しくなってきたことから大手住宅販売の下請けを受注するのですが、これでは圧倒的に利益がなく、資金繰りのため仕事をするようなってしまっています。建築や不動産といった住宅を扱う事業は、クレーム業種ともいわれるように、顧客を100%満足させることがすごく難しい業態です。儲からないうえにトラブルが起きており、帝国データバンクの調べによると2022年のこうしたトラブルの発生件数は倍以上になっているといいます。また、家の売り方も大きく変化しています。従来、戸建て住宅は住宅展示場などのモデルハウスでの販売が中心でした。しかし、コロナによって、展示場に人が来られなくなってしまった。そのためインスタグラムとかSNS、動画、バーチャル展示場など、これまでの家の売り方がまったく違う方法になってしまいました。もはや住宅業界もこのIT化は避けて通れません。この流れに乗り遅れてしまった企業はどんどんと縮小されてしまいます。ですから、非常に難しいビジネスになってきました。インボイス制度が始まったが…インボイスで、腕のよい職人がいなくなる私のところにも、こうした建築会社やリフォーム会社からの相談が多くあります。こうした会社の帳簿を見ると、小売りもそうですが、木造建築業も借金体質から抜けられず、資金調達で保証協会付や政策金融公庫が使えない状態になっています。そのため資金調達先はほとんどノンバンクです。このため高い金利がさらに利益を圧縮させてしまっています。この背景にあるのは、下請けや職人を使わなければ仕事になりませんから、この支払に追われ、どうしてもノンバンクに頼らざるを得ない。さらにクビを閉めているのが23年10月から導入されたインボイスです。ひとり親方で仕事をしているような会社では、これが大きな負担になっています。日本も欧米と同様にしようということで、インボイスが導入されたわけですが、欧米は最初から導入されていて、日本とはまったく違った環境です。ただこれを欧米に合わせようとしても無理があります。個人的にはインボイスは税制の完全な悪手だと思います。東京商工リサーチによれば、2023年秋の段階で727件が破綻しており、2024年はさらに増えていくことが予想されます。そもそも木造建築業界は、20億から30億の売上の会社も2億から3億の売上の会社も経営体質が同じところが多い。つまり、近代化されていない会社が多いのです。そこに近代化した武器を手にローコストで大量生産している格安ハウスメーカー入ってきたとで、業界全体が大きなうねりの中にあります。ですから、このままにしておくと老舗の会社や腕のいい大工さんがいなくなってしまう。家を作るのは人ですか、こうした企業にも頑張っていてほしいと思います。それにはやはり体質改善が求められています。立川昭吾の企業再生チャンネル「【緊急提言】倒産急増。木造建築業界の危機!」より