日本での存在感はイマイチながら、海外で示した存在感

脱着式レジントップを外すと軽快感抜群な初代ロッキー!しかしこの姿を街で見たことがないような…

名車と呼ぶほどではないけれども、ある時代において重要な、少なくともそれなりの役割を果たして記憶に残る「銘車」シリーズ、今回は1990年に発売され、手軽なコンパクトクロカンとしてスズキ エスクード(初代)のライバルだった、ダイハツの初代ロッキーです。

結果的には簡素にして無骨なデザインや当初のAT車不在、さらに終始5ドア車もなかったため日本での販売は兄貴分のラガー同様、低調に終わったものの、海外では人気車種となって後のテリオスなど、ダイハツの新興国向け低価格SUVの礎となりました。

RVブームに乗って日本でも販売されたエスクード対抗車

ヨーロッパではスッキリしてライト感覚な外観のクロカンとして、けっこう人気だったと言われている初代ロッキー(画像は海外仕様のフェローザ)
出典:flickr.com Author:Rutger van der Maar CC BY 2.0

ダイハツといえば、自動車メーカーとしては昔の日本なら、戦前からの伝統あるオート3輪を中心とした、マツダと並ぶ商用車がメイン、1967年にトヨタ傘下となって以降は軽自動車やコンパクトカーのイメージが強いものです。

しかし一方では、スズキ ジムニーに遅れること4年、1974年に初代「タフト」で参入して以来、タフトや後継車のラガーを「ブリザード」の名でトヨタ(ビスタ店)でも販売するなど、ミニランクル的な小型4WDクロカンの老舗でありました。

ただ、1980年頃からジワジワと流行り始め、1990年頃には盛大に花開く「RVブーム」に対応したソフトでシティオフローダー的なクロカンは不在であり、そのジャンルで1988年に発売されたスズキ エスクード(初代)の成功で、やや差をつけられます。

しかしダイハツもエスクードの成功を黙って見ていたわけではなく、1989年にはエスクードと似たような性格の小型クロカン、「フェローザ」を海外向けに発売しており、それを1990年6月に日本でも発売したのが初代「ロッキー」です。

フルタイム4WDもあった、ライトデューティーSUV

1993年のマイナーチェンジでエスクードのように異型ヘッドライトを採用するなど、シティオフローダー路線を鮮明にしたロッキーだが、エスクードのように5ドアやディーゼル車がなかったのは惜しかった(画像は海外仕様のフェローザ)
出典:flickr.com Author:Kieran White CC BY 2.0

初代ロッキーの構成は初代エスクードと似ており、独立した強固なラダーフレーム上に、クロカンとしてはスッキリとしたシティオフローダー風デザインで乗用車的な内装を持つボディを載せた、「本格クロカンの土台を持つ乗用車」といった感じ。

エンジンが1.6リッター直4SOHCガソリンエンジンだけだったのも初代エスクード初期型と共通でしたが、シティユースを考慮したフルタイム4WD車の存在で、エスクードより軟派な路線も狙っていました(パートタイム4WD車も設定)。

ただしフルタイム4WD車はパートタイム4WDと違って副変速機がハイ/ロー切り替え式の2段式ではなく1段のみ、エクストラ・ローギアもないので悪路走破性はセンターデフロックが頼りの、性格としては本格的なヘビーデューティーSUVよりライトデューティーSUV。

むしろ悪路など走らないユーザーにとっては都合がよいですし、タフトやラガーと異なり脱着可能なレジントップや、同じく脱着可能なルーフも全て外せば、オープンエアを楽しめる爽快なRVクロカン…として、人気を得ることが期待されたのです。

ATや5ドア、ディーゼル車の不在が惜しかった

イギリスなどでは「Sportrak」の名で販売された初代ロッキー
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日本では1997年までの約7年間(海外では1989~2002年の約13年)販売されたロッキーですが、残念ながらエスクードのような人気を得るにいたらず、日本国内では兄貴分のラガー同様、常にマイナーな存在であり続けました。

その原因として「あまりに無骨でスパルタンなクロカン風デザイン、特に素っ気ないフロントマスクが乗用車的なシティオフローダーとして、垢抜けていなさすぎた。」と、異型ヘッドランプで乗用車チックなフロントマスクだったエスクードとよく対比されます。

しかし根本的には発売初期のAT車不在(1992年に追加)、RVとして人気を左右したディーゼルエンジン車の不在、イメージとしてはともかく実用性のアピールで重要な5ドア車の不在と、「エスクードにあったものが、ロッキーにはなかった」のも問題でしょう。

さらに売りだった脱着式レジントップは分解できないため、外すのも大変なら出先に持っていくことができず置いていかねばなりませんでしたし(そのためにオプションでソフトトップはありましたが)、フルタイム4WD車も途中で廃止してしまいます。

根本的には海外向けがメインのため、RVブームに乗るための改良や発展をしてまで日本で売る必要性を感じなかったか、あるいはダイハツを傘下に置いているトヨタの、ランドクルーザープラド(特に3ドアショートボディ)と競合を避けたのかもしれません。

ラガーとともに、新興国向けダイハツSUVの礎に

テールデザインにもう少し、商用車的ではない「色気」がないと、2020年代はともかく1990年代の日本では厳しかった
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日本国内ではマイナーに甘んじたロッキーですが、フェローザなどの名で販売された海外では簡素で実用的な小型クロカンとして狙い通りの人気を得て、ラガー同様にイタリアのベルトーネでボディを架装し、BMWのエンジンを積む「フリークライマーII」も作られました。

どちらかといえばヨーロッパやオセアニア向けでしたが、ラテンアメリカや東南アジア、中東にも輸出されたロッキー/フェローザは、ラガーとともに現在も好評な新興国向けダイハツSUVの礎となったモデルの1つです。

日本はもちろん、先進国向けとしても後が続かなかったとはいえ、軽自動車やコンパクトカー同様、これらの市場でダイハツ(あるいはダイハツ製トヨタ車)が存在感を発揮するのに、重要な役割を果たしたのは間違いありません。

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