パスポートの有効期限の確認を怠ったことに端を発したこのニュース、運悪くチェックインカウンターの職員も対処を誤ったため、一家は20万円以上の予定外の出費となってしまった(画像は『Shin Min Daily News 新明日报 2023年7月10日付Facebook「妇女一家八口去澳门,称女儿护照因仅剩1个月有效期无法登机,酷航却不让其他家庭成员登机,结果被迫掏腰包重买机票,花了2100元的“冤枉钱”。」』のスクリーンショット)

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日本やアメリカをはじめ、ほとんどの国で新型コロナウイルス関連の入国規制が解除された今年、久しぶりに海外旅行を計画している人も多いだろう。そんな人に教訓にしてほしいニュースがシンガポールより届いた。子ども1人のパスポートの有効期間があと5週間で切れてしまうことが判明し、同行する家族全員が空港でのチェックインを拒否されたという。シンガポールのニュースメディア『AsiaOne』『The Straits Times』などが伝えている。

事業開発マネージャーとして働くリン・ジァフイさん(Lin Jiahui、39)は、45歳の夫、6歳の娘、1歳の息子と6月12日からマカオに行くため、格安航空会社「スクート」の航空券を予約していた。旅行は6日間の日程で、リンさんの85歳の祖母、リンさんの60代の両親と叔母も一緒だった。

ところが出発当日の午前10時50分、シンガポール・チャンギ国際空港のチェックインカウンターに出向いたところ、職員に「6歳の娘さんは、パスポートの残存有効期限が足りないため、搭乗できません」と告げられてしまったという。

海外に渡航する際、渡航先の国で必要とされるパスポートの残存有効期間を満たしていないと航空会社はチェックインの手続きをすることができない。外務省のサイトによると、各国が外国人のパスポートに求める残存有効期間は滞在期間や入国目的などにより様々だが、3〜6か月以上の場合が多いようだ。

マカオは入境時には、90日プラス滞在日数以上の残存有効期間が必要となる。

リンさんによると、このとき対応した職員は全員のパスポートを突き返して、残りの家族のチェックインも拒否したという。理由を尋ねると、グループとしてチケットを購入したので、グループでチェックインする必要があるということだった。

リンさんは、午後1時50分出発のフライトに何とか間に合うように、娘のパスポートを緊急に発給してもらうため、夫と3人で空港から約20キロ離れた入国管理局(Immigration and Checkpoints Authority)へ急いだ。

入国管理局へ向かう途中、リンさんはFacebookメッセンジャーでスクートの担当者と連絡を取り、残りの5人の搭乗は可能だと言われたと、シンガポールの中国語紙聞『新明日報』の取材に明かしている。ところが空港にいたリンさんの母親の話では、カウンターの職員に5人のチェックインを何度も依頼しても拒否されてしまったらしい。

リンさんら3人は午後1時30分に空港に戻ったが、午後1時50分発のスクートTR904便のチェックインはすでに締め切られていた。

『新明日報』によると、リンさん一家は翌日午前6時発のフライトで香港へ行き、そこからフェリーに乗ってマカオへ向かうしかなかったという。しかもエコノミークラスが満席だったため、席が不要な1歳息子の分を除いた7人分のビジネスクラス(スクートプラス)席を合計約2,100シンガポールドル(約22万4千円)で購入する羽目になったそうだ。さらに、朝早いので空港に近いホテルを2部屋予約した。

シンガポールのニュースメディア『AsiaOne』にリンさんが語ったところでは、6月16日にスクートからFacebookを通じて再度連絡があり、そこには残りの5人の乗客は搭乗が可能だったことが記されていた。ちなみに多くの航空会社では、リンさんのような状況において“予約の分割”を行い、変更が必要な乗客を元の一つの予約から分割して、別の予約番号を振り分けることが可能だ。

楽しみにしていた家族旅行が、一転して悪夢のようなスタートとなってしまったが、リンさん一家は旅行のメインイベントだった香港ディズニーランド・リゾートにも行き、残りの日々は楽しいものになったようだ。そして、帰路は何事もなくシンガポールへ戻ることができたという。