商工中金の「完全民営化」に不満噴出の地域金融機関
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ただ、株主構成上は「民」に変身しても、自己資本(約1兆円)の半分以上を国の拠出金が占める構図は変わらない。また、引き続き危機対応融資を担うほか、資金調達面でも商工債の発行が認められるなど「官」の色合いが強く残る。
一方で、業務規制は大幅に緩和され、住宅ローンなど個人向け業務を除き民間金融機関と同等になる。このため、地銀や信金など地域金融機関からは「『暗黙の政府保証』を受けながら経営の自由度が高まるのでは競争上、不公平。民業が圧迫される懸念がある」などと不満が噴出。
1月6日に経産省で開かれた有識者会議のヒアリングでは、全国地方銀行協会を代表して出席した千葉銀行取締役が「(加盟行の間には)民営化に伴い、収益追求に傾斜することで競争激化を懸念する声もある。慎重に検討してほしい」と釘を刺した。
全国信用金庫協会を代表した浜松いわた信金役員は「(民間金融機関との)連携・協調関係の後退、事業者への低利営業、地域金融機関システムへの影響の3点を懸念している」と述べ、強い警戒感を示した。
これに対して、商工中金社長の関根正裕氏は「地域金融機関の力を弱めるような行為は商工中金の株主である中小企業にとってもマイナスになる。民業圧迫は起こり得ない」と反論。
政府は地域金融界の根強い反発を踏まえ、商工中金法改正案の付則に民営化後の政府関与の縮小や、公布から4年以内の事業見直しを検討する規定を盛り込む方針という。だが結局、商工中金の存在を歓迎する中小零細企業もいる。要はお互いにサービスで競い合うというのがスジ論だと言える。
