横浜FMに3失点、それでも前を向く湘南“守護神”谷晃生の新たな覚悟

写真拡大

 今季序盤からJ1残留争いに巻き込まれながら、8月21日の鹿島アントラーズ戦で相手を凌駕する内容で1−1のドローに持ち込み、9月3日の川崎フロンターレ戦も勝ち切るなど、じわじわと調子を上げていた湘南ベルマーレ。第28節終了時点では、J2自動降格圏の17位ヴィッセル神戸に勝ち点5差の暫定14位につけていた。

 そんな彼らにとって、長く首位を走りながらも8月に入ってから公式戦で勝利のない横浜F・マリノスは、是が非でも倒したい相手だった。J1連覇中の川崎Fにシーズンダブルを達成した湘南だが、横浜FMには5月14日の対戦で1−4の大敗と分が悪い。今回こそ白星を挙げ、一気に安全圏浮上を果たしたかった。

 しかしながら、時折、視界が悪くなるほどの豪雨に見舞われた日産スタジアムでのゲームは一筋縄ではいかなかった。序盤こそ中野嘉大の陣取る左サイドから何度か攻め込んでいたものの、徐々に横浜FMにボールを保持され、守勢を余儀なくされる。前半こそスコアレスで折り返したものの、後半に入ると矢継ぎ早に失点を喫した。

 とりわけ痛かったのが、56分の西村拓真の先制弾だ。舘幸希がアンデルソン・ロペスにボールをカットされ、そのまま背後に出され、背番号30に抜け出されたのだ。7月のEAFF E−1選手権でも2ゴールを挙げた点取屋に対し、前半から好セーブを連発していた若き守護神・谷晃生はあらゆる手段を講じて封じようとしたが、惜しくも決められてしまった。

「僕のイメージではちょっと我慢して、大野(和成)選手が西村選手の右後ろから戻ってきたので、間に合うかなと思ったんですけど、僕の方がちょっと動くのが速かった。もう少し我慢すれば何とか対応できたかなと。ゲームの中の判断をもっとよくしていければいいかなと思っています」と本人も悔やんだ。

 そこからの湘南は、横浜FMの怒涛の攻めを受ける形になる。谷は最後尾からチームメイトを鼓舞するが、久しぶりの声出し応援の環境下でなかなか声が通らず、崩れかけた守備を立て直せない。70分に米本拓司が仲川輝人をペナルティエリアで倒してPKを献上した場面でも、谷はアンデルソン・ロペス相手に駆け引きで上回ろうとしたが、逆に決められてしまう。そして89分には、横浜FM新戦力のヤン・マテウスのJリーグ初ゴールを許した。

 終わってみれば、0−3の完敗。山口智監督も「何もないゲームになってしまった」と憤りを露にする。「失点は全部悔しい。特に3失点目は触っていたので…。守り切るところをもっともっと上げてかないといけない」と谷自身も厳しい現実をひしひしと受け止めるしかなかった。

「チームによって求められることは違う。背後のカバーをしてほしいとか、高いポジションを取ってやってほしいとか。でも究極を言えば、どれだけ足元がなくても、どれだけキックが下手でも、シュートを全部止めてくれるGKが一番いいGKだと思うんです」

 日本代表の大先輩である川島永嗣と同じ契約先であるプーマの対談で語気を強めた谷にとって、3失点は最も許せない結果に違いない。

 EAFF E−1選手権の韓国戦で念願のA代表デビューを飾って以降、J1公式戦を無失点でしのげたのは皆無。しかも、8月7日の北海道コンサドーレ札幌戦で5失点、今回も3失点と歯止めが効かないケースも少なくない。「GKはピンチを阻止できてこそ意味がある」という美学を持つ21歳の男は、苦しい状況を何とかして変えたいと躍起になっているはずだ。

「今回はチームとしてすごく弱気なプレーが多かったと感じますし、相手のプレッシャーが速いのは試合前からわかっていたこと。ボールを受ける速さ、ポジションを取る速さを含め、他人任せになっているプレーが目立った。自分を含めてみんなが責任を持ってピッチに立つべき。僕自身ももっとできることがあったと思います」と自戒の念を込めて、意識改革の必要性を強調していた。