2021年8月25日、半導体ファウンドリのTSMCが、顧客に対し半導体の値上げを通知したことが分かりました。価格の上昇はAppleやNVIDIAを始めとする多くの顧客に影響を与えるものとみられ、一部では半導体を使用する製品の販売価格の上昇を懸念する声も上がっています。

World’s Largest Chip Maker to Raise Prices, Threatening Costlier Electronics - WSJ

https://www.wsj.com/articles/worlds-largest-chip-maker-to-raise-prices-threatening-costlier-electronics-11629978308

TSMC Hikes Price of Chip Production: CPU & GPU Costs Set to Rise | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/news/tsmc-ups-chip-production-prices-by-10-to-20-percent

値上げの実施時期は2021年後半〜2022年前半になると見られており、関係者によると、TSMCはiPhoneなどが採用する7nm以下のプロセスで製造される半導体の価格を最大10%、自動車用などの16nm以上のプロセスで製造される半導体の価格を最大20%引き上げる方針であるとのこと。

価格の値上げにより、Appleやゼネラルモーターズを始め、多くのメーカーが影響を被るものとみられます。特にTSMCの最大の顧客であるAppleへの影響は大きいとみられ、海外メディアのMacRumorsは「情報筋によると、AppleはiPhoneその他の製品の価格を引き上げる可能性が高い」と報じ、製造コストの上昇による値上がりを懸念しました。

Appleは2021年第3四半期(4〜6月)の決算発表時、半導体の供給不足がなければより多くの売上を見込めたことを示唆していました。

Appleが2021年第3四半期の業績を発表、5G対応のiPhone 12が好調も半導体不足の影響が懸念される - GIGAZINE



アナリストはTSMCが値上げに踏み切ったのには2つの目的があるとしています。1つは、価格の上昇は需要を押し下げ、TSMCの半導体を必要不可欠とする顧客のみに供給を絞れること。もう1つは、長期的に見てTSMCが高い収益を上げることにより、工場増設などの投資資金に充てられるということです。



TSMCはアメリカ・アリゾナ州に120億ドル(約1兆3100億円)をかけて工場を建設中であり、次世代5nmプロセス&3nmプロセスでの半導体製造を2022年に本格的に開始する見通しも発表しています。台湾で事業を展開する証券会社のSinolink Securitiesのアナリストであるアンドリュー・ルー氏は「TSMCは膨大な予算の多くを最先端の半導体に費やしすぎて、後進のチップで市場シェアを失ってしまった。価格を引き上げることで、設備投資を見直そうとしている」と分析しました。



TSMCは既に2020年秋〜2021年春にかけて10%強の値上げに踏み切っており、2021年第2四半期(4月〜6月)の決算で、全体の売上高は前年同期比99%増の19億3200万ドル(約2120億円)であったことを明らかにしていました。証券会社のBernstein Researchは、今回の半導体の値上げにより全体の売上高を10%〜15%引き上げ、その結果は2022年第1四半期(1月〜3月)に現れるだろうと分析しました。