存続に「黄色信号」点灯! 売れてなくても「消滅」させてはいけない国産車5選

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「なくならないで」と言いたくなるモデルの数々!

「売れているからいいクルマとは限らない」とはクルマ好きがよく言うことだが、売れていないクルマは、どうしても消えやすい運命にある。

 そこで今回、日本自動車販売協会連合会による通称名別ランキングの50位以内で名前を確認することが難しい、しかしながら消えてしまうには惜しいモデルを5台ピックアップしてみた。さらに軽自動車でもランキングトップ15では名前を見かけることのなくなった、あの一台を選んでみた。

1)日産エルグランド

 日本のミニバン・カテゴリーは大きく分けてコンパクトサイズからミドルサイズ、そしてLLサイズに分けられている。それぞれ代表格となるのが、コンパクトはホンダ・フリード、ミドル級が日産セレナ、LLサイズはトヨタ・アルファード/ヴェルファイアといったところ。それぞれ強力なライバルとして、コンパクト系ではトヨタ・シエンタ、ミドル級ならトヨタ・ノア/ヴォクシーなどが存在しているが、LLクラスについては唯一といえるライバル、日産エルグランドが低迷しており、アルファード/ヴェルファイアの圧勝となっているのはご存じのとおり。

 そんなこともあって、エルグランドについては販売台数的には存在意義を問われる状況が続いている。すでに同カテゴリーにホンダが投入したエリシオンは事実上の撤退をして久しく、エルグランドについてもそうした噂が常に聞こえてくる状況だ。その理由としてハイブリッドの設定がないことも指摘されるが、とはいえスポーティ路線のエルグランドを求める熱狂的なファンは少なくない。低迷しているからといって、すぐさま消えてしまうとはいえないが、このままでは存在感を示すのも難しいだろう。ハイパワー版のe-POWERやプロパイロット2.0といった日産のコアテクノロジーを搭載して生まれ変わることが期待されている。

2)ホンダ・レジェンド

 海外ではアキュラRLXとして販売されているホンダのフラッグシップ・サルーン。フロントにV6エンジンとモーターと7速DCTを組み合わせたパワーユニットを置き、後輪は左右独立モーターで駆動するというハイブリッド仕様は、「リヤシートのあるNSX」と称されることもある先進的なものだが、ホンダというブランドとレジェンドのプレミアム性がミスマッチしているのか、なかなか存在感を示せずにいる未完の大器的モデルだ。

 実際、ドライブしてみてもプレミアムサルーン的な落ち着き感よりもシビックの延長にあるようなキビキビ感が目立つハンドリングだ。それはSH-AWDという3モーターハイブリッドシステムによる唯一無二のメカニズムが実現している乗り味なのだが、たしかに車格にふさわしいとはいいがたい。しかし、それこそがレジェンドの個性であって、普通のサルーン的キャラクターに収まってしまってはホンダらしさをも失ってしまう。とはいえ資本主義的にいえば売れていない製品に明るい未来はない。アキュラRLXに用意されている四輪操舵のFWD仕様をバリエーションとして用意するなど、もう少し手の届きやすいラインアップの充実など存在感をアピールする商品改良を期待したい。

車種整理の対象とされてしまいそうなモデルも

3)スズキ・イグニス

 スズキといえば軽自動車というのは過去の話。いまやコンパクトミニバンの「ソリオ」、走り自慢の「スイフト」、クロスオーバーSUVの「クロスビー」など登録車のラインアップも充実してきた。そうした甲斐もあって国内での登録車販売台数も年間10万台規模で推移してきている。ある意味で攻めのラインアップ充実といえる状況だが、そのなかで思ったほど売れなかったモデルはラインアップ落ち(販売休止)となってしまうこともある。最近ではインドで生産されているプレミアム・ハッチバック「バレーノ」が国内ラインアップから消えてしまったが、心配されているのが「イグニス」だ。

 初代エスクードやフロンテなどをモチーフとしたディテールを与えられたオリジナリティあふれるエクステリアはコンパクトSUVとして評価も高いが、クロスビーとキャラかぶりしているのも事実で、車種整理の対象とされてしまう可能性が低いとはいえない、心配な一台だ。

4)三菱エクリプスクロス

 かつて三菱がグローバル展開していたクーペの名前を冠したクロスオーバーSUV「エクリプスクロス」。2018年3月に鳴り物入りでデビューしたが、販売的には鳴かず飛ばずといった状況が続いている。当初1.5リッターガソリンターボだけのラインアップで、現在は2.2リッタークリーンディーゼルも設定している。自動車評論家などの評価も高く「売れるポテンシャル」は秘めているはずなのだが、現実的には期待されているほどには売れていない。デビュー当初の月販目標(1000台)からすると半分程度となってしまっているのだ。

 スタイリングに少々クセがあるものの、燃費性能や積載性能、そして三菱のSUVに期待する走破性能については十分なレベルであり、大きな欠点も見当たらない。単純にブランディングにおいてエクリプスという名前のバリューがそれほどなかったということなのかもしれないが、このまま浮上できないようでは一代限りとなってしまいそうで、なんらかのカンフル剤を期待したい。その意味では、先日の中期計画においてプラグインハイブリッド仕様の追加がアナウンスされたが、電動化によってどれだけジャンプアップできるかには注目だ。

5)ダイハツ・ウェイク

 軽自動車のメインストリームは全高が高くて後席がスライドドアになっているスーパーハイトワゴン。しかし、そうしたパッケージ的要素を満たしていれば売れるわけではないようだ。それはダイハツ・ウェイクが苦戦していることからも見て取れる。同社のタントよりも全高を伸ばしたモデルで、ウェイクという名前は「上行く」に由来するともいうのもおもしろい。しかしながら販売では上に行くことができずにいる。

 直近、2020年7月の販売台数は1510台。同月のタントが1万3108台であり、軽自動車販売トップのホンダN-BOXが1万6222台であることを考えると、かなり厳しい数字だ。さらにいえば、ウェイクの商用バージョンであるハイゼットキャディの月販は50台という厳しさ。次期モデルへの進化は考えづらく、一代限りで終わると考えるのが妥当といった状況だ。

 そうは言っても、商用車ではホンダN-VANが月販2489台と健闘しており、ウェイク的なパッケージングに未来がないとは思えない。ハイゼットキャディでは積載重量が150kgとなっているウィークポイントを他車並みの350kgへと改善できれば、商用バンの新しいカタチとして復活することができるのではないだろうか。