by Melany Rochester

社会学者のZeynep Tufekci氏により指摘された「YouTubeにはユーザーをオルタナ右翼へと過激化(急進化)させる効果があるのではないか」ということについて、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のマノエル・ホルタ・リベイロ氏らのチームが調査を行い、実際にその傾向があることを見つけました。

Auditing radicalization pathways on YouTube | Proceedings of the 2020 Conference on Fairness, Accountability, and Transparency

https://dl.acm.org/doi/abs/10.1145/3351095.3372879



Study of YouTube comments finds evidence of radicalization effect | TechCrunch

https://techcrunch.com/2020/01/28/study-of-youtube-comments-finds-evidence-of-radicalization-effect/

YouTube recommendation algorithm audit uncovers paths to radicalization | VentureBeat

https://venturebeat.com/2019/08/28/youtube-recommendation-algorithm-audit-uncovers-paths-to-radicalization/

研究結果はバルセロナで開催されたカンファレンス「ACM FAT 2020」で発表されました。

「YouTubeが『過激化』のパイプラインになっているのでは」という指摘はTufekci氏をはじめ、NPOやメディアからも行われてきましたが、これまで定量的な証拠は見つかっていませんでした。リベイロ氏らは、349件のチャンネルに投稿された33万925本のムービーを使って、「過激化」についての大規模な調査を実施しました。

研究チームはまず、映像を「メディア」「オルト・ライト(Alt-lite:オルタナ右翼と類似しているが白人至上主義・人権主義は否定して一線を画する)」「インテレクチュアル・ダークウェブ(知的ダークウェブ:IDW)」「オルタナ右翼」の4つに分類しました。

「YouTubeが『過激化』のパイプラインになっている」という仮説に基づくと、オルト・ライトとIDWのチャンネルは、オルタナ右翼のチャンネルへの「入口」の役割を果たしているということになります。そこで研究チームが7200万件のコメントを分析したところ、オルト・ライト、IDW、オルタナ右翼のチャンネルは、同じようなユーザー層で構成されている一方、この3つと「メディア」とはユーザー層はあまり重ならないことがわかりました。

また、かつてはオルト・ライトやIDWのチャンネルを見ていたユーザーがオルタナ右翼のチャンネルを見るようになるという、「ユーザーの穏やかなコンテンツから極端なコンテンツへの移行」傾向も見られたとのこと。

これと合わせて、研究チームはYouTubeの「おすすめ」アルゴリズムについても調査を行いました。その結果、2019年5月から7月の調査期間中、IDWのチャンネルからオルト・ライトのチャンネルへは容易にアクセスできる状態で、オルタナ右翼のチャンネルへは「おすすめ」を通じてのみアクセスできる状態だったとのこと。

こうした結果から、研究チームは確かにYouTubeによるユーザーの「過激化」効果はあると結論づけました。

ただし、ACM FAT 2020での質疑応答の中では、「『過激化』が外部サイトの影響ではなく、YouTubeによるものだという証拠はありますか?」という質問を受け、研究チームは「YouTubeのせいであると絶対的な主張をするのは難しい」と答えています。