スポーツスター選手、年収「億超え」でも「自己破産」する意外なワケ 入った以上にお金が出る事情

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ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。世界的にも有名なアスリートが何億円もの浪費をして破産するという話はよく聞く話です。

ボクシングのマイク・タイソン、元ウィンブルドン王者のボリス・ベッカー、米プロフットボール(NFL)のビンス・ヤング、MLBのジャック・クラーク、米プロバスケットボール(NBA)のアントワン・ウォーカー、といったビッグネームらも自己破産をした元スポーツスター達です。

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日本でもプロ野球選手の新庄剛志選手が現役時代の最高年収は13億円で、稼いだお金の総額は50億円だとインタビューで答えていました。当時はビルだって車だって何でも買えると思っていたそうです。しかし、知人にだまされて25億円が2200万円になっていたと言います。知人がお金を使い込んでいたのです。

なぜ、アスリート達は生涯年収として数十億、数百億も稼いでいるのにその収入以上に使ってしまい、自己破産をしてしまうのでしょうか?

入った以上にお金が出る法則とは

「金は入っただけ出る」というパーキンソンの法則があります。

家計支出は収入に応じて増えるばかりでなく、収入を超える傾向があり、ほとんど常にそうなるという考え方です。自由なお金が増えれば、それに応じて自由気ままに使ってしまい、収入以上に使い過ぎてしまう傾向があるとも言えます。

来年の契約金が5億円など決まっていれば、それを見越して使ってしまいがちですし、周りも寄ってたかるので大金もあぶく銭と化してしまうのです。使えば使うほど、浪費をするペースは加速され、一夜のパーティーだけでも数千万円のお金がなくなることはあるからです。

10億円の豪邸を買うのが「失敗」…

そもそも、数億円、数十億円の豪邸や高級車、クルーザーなど高級品に天井はありません。

ZOZO元社長の前澤氏は50億円のプライベート・ジェットを所有し、機内の内装をエルメスのデザイン・チームが史上初めて手がけることを明かして驚かせたこともありました。

また、サッカー選手のロナウドとメッシも生涯収入500億円超と言われていますが、ロナウドの自宅は約6億円、メッシは約10億円とも言われています。メッシはその他にも高級不動産を複数保有しています。

セミナーでメッシに超高級不動産を売却したというデベロッパーの話を聞いたこともあります。

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不動産は資産の保全になると思われるかもしれませんが、あまりにも高級不動産は購入できる人が限られ、流動性も低いために必ずしも投資になっているとは言えません。このような豪邸以上に確実にインカムが入る手段を考えないとなりません。

また、アスリートの多くの引退年齢は30歳前後と働ける期間が10年程度と極端に少ないのもファイナンシャルプランを難しくさせています。

もちろん巨人の阿部選手のように長く働く選手もいますが、それは限られた選手でしょう。

もっと早く戦力外通告を受ける選手や自ら引退をする場合も多いからです。

年間300万円の「利息」

実はスポーツ選手やセレブリティーほどプライベートバンカーやファミリーオフィスなど「カネ守り」をつけて資産を保全させた方がよいのです。

知人やマネージャーに管理をさせて使い込まれたという話は後を絶ちませんが、銀行の自分名義の口座に預けておけば安全だからです。

また、手堅くお金を運用するには債券など満期まで保有すれば原則として元本が返ってきて、保有期間は固定の利息がもらえる金融商品が安全です。元本が1億円で3%の金利の場合、年間約300万円の利息がもらえます。

10年の間、3%の利息に手を出さずに運用をすると、資産はどれくらい増えるでしょうか。極端な例ですが、毎月1000万円を3%で複利運用すると、10年後には約14億円となります。約2億円は利息で増えた分です。ここでは単純な例で考えるために税金は考慮に入れていません。

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現役時代に収入の一部を確実な資産形成に回し、引退時に資産形成でお金が殖えていたらリタイア後も現役並みとは言えないかもしれませんが、十分な生活を送ることができるのです。

一般の人の場合もゼロを少なく考えてみるとよいかもしれません。また、オフィスワーカーの場合、40〜50年程度働くことができますから時間を味方につけることができます。

例えば、毎月1万円を40年間3%リターンで福利運用をした場合、積立金額は約926万円になります。毎月2万円なら、積立金額は1852万円と老後資金2000万円に近づきます。

このように、自営業で一生涯働くという人を除いては現役時代に収入の一部を蓄えて、リタイア後のバッファーを作っておく必要があるのです。

特に現役時代が非常に短く、その後のつぶしが効きにくいアスリートは真剣にリタイアプランを考えるべきなのです。加えて一次的に高額の収入が入ってくる間に倹約をする必要があるのです。

驚くべきドケチな富裕層

これに対して、富裕層や投資家などの多くはドケチな人が非常に多いです。

納得ができないお金はたとえ一円足りとも払うことを嫌います。レシートなどの明細にも細かく目を通し、シビアに考え、パーティーなどでパーットお金を使うということはあまりありません。

私が取材をしたカリスマ投資家のジム・ロジャーズ氏は『日本への警告』の中で「お金は貯めるものであり、使うものではない。」と断言しています。ロジャーズ氏は徹底的に投資対効果を考えるために、愚かな浪費などは一切しません。

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「こんなにお金があるのになぜ?」と不思議に思うかもしれませんが、どんなに資産があっても規律をしっかりと作っているのです。

また、貧乏だった時の恐怖の話を時折しますが、アスリートのように、「使ってしまっても稼げる」と言った楽観的な見通しなど一切しません。

国によって違う「金利」

日本はマイナス金利ですが、アメリカやシンガポールなどは金利がプラスです。

同じ米ドル預金でも日本で預金をすると0.05%(1週間もの)ですが、シンガポールだと1.5%程度(当座預金)と金利が全く違うのです。

米ドル預金で0.05%など、アメリカ人やシンガポール人からしたら発狂しそうなレベルでしょう。3%でも利回りが低いと文句を言う人達です。

円預金が0%に限りなく近い金利だから、他の通貨でも0%に近いのは仕方がないと思っているのは日本人だけかもしれません。アメリカやシンガポールに行けば預金金利も違うのです。

かといって8%などの高利回りの商品を求めて、仕組み債などリスクが高い商品を買って大損をしたと言う声も聞きます。また、詐欺や詐欺に限りなく近い悪質な金融商品を売りつける業者も多くいます。その見極めをするのが十分なファイナンシャルリテラシーがないと難しいかもしれません。

そのような場合、オススメなのは自分でも分かるシンプルな商品だけを買うと言うことです。株式や債券などシンプルな商品を購入するようにしましょう。元本の安全性を求めるなら 債券に分があります。

投資の世界では「100から自分の年齢を引いた数字を株式の割合(パーセント)にする」のがポートフォリオの目安とよく言われています。例えば30歳なら、「100-自分の年齢」の法則に当てはめると、70%を株式の割合にするのが目安ということが分かります。ただし、現役年齢が短く、怪我など人的資本のリスクが高いアスリートの場合、人によっては債券の割合を高めた方がよいでしょう。

いかがでしょうか。私はアスリートのためのファイナンシャルプランニングは必要でマネージャーやエージェントなど周りが福利厚生でマネー教育も行うようになればよいと思います。また、高校の授業の中で職業別のライフプランニングをするなど、公教育の中でのマネー教育が必要だと感じています。