ファーウェイCEO、「Hongmeng OS」はアップルのOSやAndroidより速いと発言
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ファーウェイの創設者兼CEOの任正非氏が、同社が開発中の独自OS「Hongmeng(鴻蒙)」がAndroidやアップルのOSよりも高速なことや、スマートフォン以外の様々な機器に搭載予定だと語ったことが報じられています。フランスの時事系週刊誌Le Point(ル・ポワン)は任氏の独占インタビューを行い、5G開発や米中関係、中国とEUの関係や地政学などの多岐にわたった談話を掲載しているとのこと(中国メディアの新浪科技が転載)。

その中で任氏は、米トランプ政権が事実上の禁輸措置を緩和した後も、Hongmeng OSの開発を続けていると明らかにしています。

ファーウェイは米国による制裁の影響でGoogleのAndroid向けサービスが搭載できなくなり、中国国外ではAndroidスマートフォンを販売するのが困難な状況に陥っていました。そのため、一時はロシア政府からもAndroidの代替OS提供が打診されたとの報道もあったほど。禁輸措置の緩和後は、そうした動きがなくなるとの見方もありましたが、独自OSの開発は放棄しないもようです。

任氏によれば、Hongmeng OSが様々なデバイスに搭載できるよう設計されており「プリント基板、スイッチ、ルーター、スマートフォン、データセンターとも互換性があります」とのこと。Googleが開発を進める新OS「Fuchsia」も幅広いデバイスへの対応が推測されていますが、方向性は近いのかもしれません。

さらに任氏はシステムの処理遅延も少なく、IoTや自動運転にも対応できるとコメント。それと関連してLe Pointの記者は「GoogleのAndroidやアップルのMac OS Xよりも速いですか?」と質問しています。なぜAndroidの対比としてMac OS Xが......との疑問符は付きますが、おそらくiOSと言いたかったと思われます。

すると任氏は熟慮しながらも「かなり速いだろう」と回答したとのこと。これ以前にも、中国メディアのGlobalTimes等が「Hongmeng OSはAndroidより60%速い」との噂を報じていました。

しかし任氏は、ファーウェイがGoogleやアップルと競合することは大きな間違いだとも指摘。その理由は「アップルのOSやAndroidと比較すると、まだ良質なアプリケーションのエコシステムがありません」だと分析し、すでに開発者を惹きつけることに取り組んでいると述べています。

中国では最大のシェアと技術力を誇る巨大企業といえども、米国政府の指示1つでたちまち存亡の危機に立たされると分かった直後のこと。ファーウェイも最後の切り札として、またスマホ以外の機器での自由度を高めるためにも、独自OS開発をあくまで進める方針かもしれません。