スマートフォンの内蔵ストレージはなぜ「ROM」と呼ばれる? 誤解を生まないカタログ表記とは

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先日、Twitterでサイボウズ株式会社の執行役員である山本泰宇さんのツイートが話題になりました。

その内容とは会社の標準PCのメモリが32GBになったというもの。
山本さんによると、PCに32GBメモリを積むことでバックオフィスを含めてサクサクと仕事が進むようになり、生産性の向上につながったといいます。

Twitterのトレンドにも「メモリ32GB」というワードが登場。エンジニアを中心に好意的な声が多数あがりました。

しかし、それを見た一部のユーザーたちからは
・メモリ32GBって少なくない?うちのiphoneメモリ64GBなんだけど
・iPhoneはメモリ128gb!日本は今頃32gbってことはやっぱアップルすげーなー
・メモリ64GBだけど写真の保存だけで10GBくらい使ってるからメモリ32GBのパソコンとか使い物にならんでしょ

といった、「PCのRAM」と「スマートフォンのROM」を混同したコメントが投稿されたことからネットで話題となっています。

こうした誤解は、「メモリ」という表現に対する、内容の認識に違いが生じている状況から発生しています。

メモリという呼称は、主にPCでは「RAM」を表す際に使われ、スマートフォンでは「ROM」を表す際に使う人が多いことに誤解の要因があるようです。

■いまさら聞けない「RAM」と「ROM」の違いとは
RAMとROMはともに電気信号を使ってデータを読み書きする半導体です。それぞれの主な特徴を書き出すと

・RAM「Random Access Memory」の略
自由にデータの読み書きが可能
電源を切るとデータは消えてしまう揮発性メモリ

・ROM「Read Only Memory」の略
データの読み出し専用
電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリ

・フラッシュEEPROMやフラッシュROM
読み書きが可能なROM
記録内容の消去・再書き込みが可能で、電源を切ってもデータが消えないメモリ

となっています。

PCとスマートフォンは、ともにRAM、ROM、両方のメモリを搭載し、使用しています。

●RAMは、PCやスマートフォンの作業机?
RAMは、PCやスマートフォンが作業をする際に必要なデータを広げておく「作業机」のようなエリアです。

この机が狭いと、たくさんの道具(アプリ)や資料(データ)を開いたり、置いたりできません。

RAMの容量が沢山あれば、より多くのアプリやデータを利用することができます。
※OSが利用できるRAM容量の上限に依存します。

逆にRAMが少ないと、多くのアプリやデータを利用することができないだけでなく、PCやスマートフォンの動作が重くなったり、アプリが起動できなったりします。

●ROMは、2種類ある?
現在、一般の人が目にするROMと呼ばれるメモリには、ざっくり言って2種類あります。
※ちょっと乱暴ですが、細かい仕様については、ここでは割愛します。
専門情報などを参照ください。

前述の問題は、この2つのROMの認識の違い、誤認から生まれています。

1つ目は、ROM(Read Only Memory)と呼ばれる、読み出し専用の半導体メモリ。
2つ目は、フラッシュEEPROMやフラッシュROMとも呼ばれる読み書き可能なメモリ。

この2つ、何が、どう違うのでしょう?
もう少しわかりやすくみてみましょう。

・ROM(Read Only Memory)は、読み出し専用
ROMはPCなどで、電源を入れた時、起動させるため必要な最初のプログラム(BIOSなど)を格納します。
基本は、書き込まれたデータを記録し、書き換えは不可なことから、マスクROMとも呼ばれています。

もともとROMは、PCのBIOSやファミコンやニンテンドー3DSなどのゲームカートリッジをはじめ、テレビや洗濯機などの家電、ATMといった組み込み機器のシステムプログラムを保存するものでした。

・フラッシュROMとも呼ばれる読み書き可能なメモリ
しかし、技術の進歩により、特定の方法を利用した際のみ、書き込みが可能な「ROM」が開発されます。
それが、2つ目のフラッシュEEPROMやフラッシュROMとも呼ばれる読み書き可能なメモリです。

フラッシュEEPROMやフラッシュROMは、電圧を読み取り時より高くすることで、記録内容の消去・再書き込みが可能にしたメモリです。

現在多くの人が利用している、
USBメモリ
SDカード
コンパクトフラッシュ
SSD/eMMC
などに利用されています。
さらに、スマートフォンの内蔵ストレージも、この「フラッシュメモリ」が利用されています。

●PCのメモリとスマートフォンのメモリの混同とは?
前述の誤認とは、RAMとフラッシュROMを同じ「メモリ」と認識したことで発生します。

PCのメモリは、RAM
つまり、動作用のメモリでPCの電源がオフになると内容は消えます。

スマートフォンのメモリは、フラッシュROM
つまり、アプリやデータ用にメモリで、スマートフォンの電源がオフになっても内容は消えずに保存されます。
これは、PCなどで搭載されているSSD/eMMCなどと同じ、ストレージを表わしています。

さらにiPhoneやAndroidスマートフォンの仕様(スペック)表記の方法も、誤解を生みやすくしています。

●スペック表記が混同の一因に?
Androidスマートフォンは、スペック表で
RAM:4GB
ROM:64GB
といったRAMとROM(ストレージ)を分けて表記されることが一般的ですが、稀に
メモリ:64GB
と、ストレージをメモリと表示するケースもあります。

さらにiPhoneの場合は、
容量:128GB
といった表記だけです。
もちろん、iPhoneにも動作用のRAMに相当するメモリも容量などは非公開ですが、ちゃんと搭載されています。

こうした表記方法から、PCのメモリとiPhoneやAndroidスマートフォンのメモリの混同が起きていると思われます。

「メモリ」=RAM、ROMは、仕様できちんと区別、定義されていますが、
現在の「メモリ」という言葉の使われ方や表示方法に、揺らぎがあるのも事実です。したがって、今回のような誤解も生まれやすくなっています。

とはいえ、「PCのRAM」と「スマートフォンのROM」を同じメモリとして混同してしまわない表記に統一するよう望みたいところではあります。
磯崎 新