「さかのぼって処分することは困難」少女誘拐「卒業取り消し」問題で揺れる千葉大
約2年間行方不明になっていた埼玉県朝霞市の女子中学生が保護された事件で、未成年者誘拐の疑いで身柄を確保された容疑者の男性が通っていた千葉大学が「卒業取り消し」の検討を始めると記者会見で表明したことが波紋を広げている。
弁護士ドットコムニュースが3月29日、千葉大学に問い合わせたところ、広報担当者が「(誘拐事件が起きた約2年前まで)さかのぼって処分することは困難という見方に傾いている」と語った。
3月28日の記者会見で、大学側は今回の事態を受けて、約2年前までさかのぼって、停学などの処分を適用する可能性があるとの見解を示していた。以降の出席が無効となり、在学期間が不足するため、卒業要件を満たせなくなるという考え方だ。
この見解をめぐって、ネット上などでは「さかのぼって適用ができるのか」「学業とは別の話だ」などの指摘があった。弁護士ドットコムニュースが電話取材したところ、千葉大の広報担当者は、会見で表明した方針とは異なる状況になっていることを説明した。
●「法律的に難しい」との厳しい意見が出た「会見の後、本当にさかのぼって適用できるのか、内部で議論になりました。結論から言うと、現在は『さかのぼっての適用は困難』という見方に傾いています。法学の教授らから『法律的に難しい』という厳しい意見があったためです。対応を慎重に検討しなおしています」
現在、千葉大では、3月23日に卒業した男性が、4月になるまでは同大の学生と言えるのかどうかを調査しているそうだ。
「取り消しを前提にしているわけではありませんが、卒業しても3月の末日まで、大学になんらかの効力があるのではないかと考えられるためです」
さらに、取り消しの根拠についても、「容疑者がまだ逮捕されておらず、大学が当事者から話も聞いていないのに、何をもって、(処分を)一方的に決めるのか、という部分もあります。多角的に検討して、なるべく早めに方針を決めたいと考えています」と語った。
広報担当者は「現役の学生がこういうことをしていたというのはショック。本学だけでなく、社会的に見てもあまり例のない事件だと思うので、手探りで対応を考えている状態です」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)