休みの日にゆっくり見たい! 歴代の人気ヒューマン映画ランキング
時間のある休日には、ヒューマン映画を見てみませんか? ど派手なアクションやめまぐるしいストーリー展開こそありませんが、人間の心理描写に重きを置いた名作は、あなたの心をあたためてくれること間違いなし! 新旧の名作10選をご紹介します。
■第10位 シングルマン
世界的なファッション・デザイナーであるトム・フォード監督初作品。イギリスの大学教授ジョージの1日を美しい映像で綴った作品。 舞台は1962年のロサンゼルス。ジョージは長年の恋人ジムを8ヶ月前に交通事故で失ってからというもの、ぬけがらのような生活を送っていた。物語の始まりであるその日、彼は自殺することを決意。「ネクタイはウィンザーノットで」という遺書と、弾丸を準備し、いつもと変わらない1日を過ごす予定だった。ところが、ジョージを慕う生徒のケニーが、彼の1日をほんの少し変えてしまう。「自殺する」ということ以外、いつも通りだったはずの1日。ケニーが変えた「ほんの少し」は、ささやかなことでありながら、確実にジョージの人生をより意味深いものにしてくれることだった。
なんといってもその映像が美しく、洗練されているのには溜息が出るばかり。物静かな紳士ジョージを演じるコリン・ファースの演技からも目が離せません。監督のトム・フォード自身、同姓愛者であることをカミングアウトしており、エンドロールは、20年以上の恋人であった「リチャード・バックリーに捧ぐ」という文字で締めくくられています。
監督: トム・フォード
脚本:トム・フォード、デヴィッド・スケアス
制作:トム・フォード、アンドリュー・ミアノ、ロバート・サレルノ、クリス・ワイツ
出演者: コリン・ファース、ジュリアン・ムーア、ニコラス・ホルト
■第9位 ミリオンダラー・ベイビー
貧しい家庭で育ち、唯一愛情を傾けた父すらも失ってしまったマギーは、プロボクサーを目指し、フランキー・ダンのボクシング・ジムを訪れる。 フランキーは優秀なボクサーを数多く育ててきた実力者で、彼等の身を心配し、ボクサーに危険の及ぶ試合は組まないというポリシーがあった。しかしそうした彼のポリシーが、ビッグ・チャンスを逃し続ける結果を招き続け、成功を夢見るボクサーたちは次々と彼の元を離れていった。
孤独な二人が出会い、成功を掴んで行く前半部分と、怪我で全身不随となったマギーとフランキーが育む愛と苦しみを描く後半、という二部構成になっています。 この映画はイーストウッドが74歳の時に制作された作品。3000万ドルという低予算に加え37日という短い撮影期間にも関わらず興行的に大成功を収めました。また、尊厳死という宗教的・政治的な立場によって大きく考えの異なるテーマを取り扱ったため、その評価は賛否両論、大きな議論を巻き起こすものとなりました。 作品の公開から10年以上たちましたが、尊厳死はまだまだ我々に考え尽くされていないテーマ。「よりよく生きること」とは何か?ということを考えさせられます。
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ポール・ハギス
制作:ポール・ハギス、トム・ローゼンバーグ、アルバート・S・ルディ
音楽:クリント・イーストウッド
■第8位 アンドリューNDR114
ロボットが人間の生活に深く関わり合うようになった近未来。とある家庭で奉仕するNDR114は「アンドリュー」という名で親しまれ、家族との交流の中で人間の心を育んでゆく。 そんなアンドリューはある日ポーシャという人間の女性に恋をする。人間になるべく、様々な努力を重ね、個性と創造力を備えたアンドリュー。しかし社会的に彼は「ロボット」であり、そのことが彼の心を苦しめます。 人間として認められるために、肉体を生体部品へと置き換えてゆくアンドリュー。“永遠"を手放したアンドリューは、果たして人間になることができるのか……。
この物語は200年にもおよぶアンドリューの生涯を描いた作品。近未来からさらに未来へと舞台が移り変わる壮大さは、他のヒューマンドラマにはあまり見られないものではないでしょうか。名優ロビン・ウィリアムズの演技は、ロボットのわずかで、それでいて確かな“心の存在"というものを感じさせてくれます。 映画中に登場するロボット三原則「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」は、原作者のアイザック・アシモフによる創作ですが、これは後のSF作品に影響を与えるのみならず、現実のロボット工学にも影響を与えるものでした。
監督:クリス・コロンバス
脚本:ニコラス・カザン
制作: ウォルフガング・ペーターゼン、クリス・コロンバス 他
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演者: ロビン・ウィリアムズ
■第7位 運動靴と赤い金魚
こちらはちょっと変わり種のイラン映画。主人公はイランの貧しい家で暮らす少年アリ。妹ザーラの靴を無くしてしまいます。家には新しい靴を買うお金などありません。仕方なく、兄弟はアリの運動靴を共有することに。授業時間の違いを利用し、朝はザーラが運動靴で登校、サンダルをはいたアリが下校途中のザーラと靴を交換し、昼からの授業に出るという毎日でした。毎日必死になって走るアリ。そんなある日、町でマラソン大会が開催されます。2位の賞品は「運動靴」! アリはマラソン大会へ出場することに決めます。
幼い子どもの心理変化が鮮やかに読み取れる作品。意図して描こうとしたものではないのですが、ときおり彼らの「こどもらしさ」がちょっとした表情やしぐさにひらめきます。ラストのシーンでは、アリがただ、ただ、走る! その姿に心打たれること間違いなしです。
監督: マジッド・マジディ
脚本:マジッド・マジディ
制作: アミール・エスファンディアリ、モハマド・エスファンディアリ
音楽:ケイヴァン・ジャハーンシャヒー
出演者: アミル・ナージ、ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ
■第6位 ショーシャンクの空に
冤罪によって劣悪な環境に置かれながらも、希望を失わない一人の男の姿を描いた作品。主人公アンディは妻と愛人を射殺した罪に問われ、無罪を主張するも終身刑の判決が下されてしまいます。アンディが服役することになったショーシャンクは、囚人による暴力、看守への賄賂などが当たり前のように存在する劣悪な環境でした。そんな中でも希望を失わず、持ち前の明晰な頭脳を生かしてショーシャンクを変えていくアンディ。長年服役している調達屋のレッドとの親交を深めながら、アンディはある計画をすすめていた……。
アンディが地獄のようなショーシャンクで、周囲の囚人を巻き込みながらその環境を変えていく姿に心が温まります。また、自分の納得できない状況に置かれた人間が、綿密な計画を立てて、そこから抜けだそうとあがく姿を鮮やかに描き出しています。絶望することはもちろんいけない、けれど、手近な希望で本当に自分が望むことをごまかすこともいけない、という強いメッセージを感じます。スティーヴン・キング原作。
監督:フランク・ダラボン
脚本: フランク・ダラボン
制作:ニキ・マーヴィン
音楽:トーマス・ニューマン
出演者: ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン
■第5位 リトル・ミス・サンシャイン
ばらばらだった家族が、少女オリーヴの「リトル・ミス・サンシャイン」コンテスト出場をきっかけに、もういちど一つになる物語。 シェリル・フーヴァーは個性的な家族を支える女性。ゲイでプルースト学者の兄フランク、自己啓発本の出版で一山当てることを画策する夫リチャード、パイロットになる夢を叶えるまで「沈黙の誓い」を立てている前夫との息子ドウェーン、退役軍人でヘロイン中毒、口汚く、老人ホームを追い出されてしまった父エドウィンと、「リトル・ミス・サンシャイン」を目指すぽっちゃりメガネのオリーヴ。物語は、フランクが自殺未遂を起こし、一家に引き取られるところから始まる。フランクが来た翌日、オリーヴはカリフォルニアで開催される美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の予選を通過したことを知る。諸事情のため、家族は全員古ぼけた黄色のワーゲンバスに乗って旅に出る……。
個性的な面々によって生み出される笑いと、どんなにばらばらでも確かにある家族の絆に、心温められる作品です。物語の最後で、オリーヴは「今後カリフォルニアの美少女コンテスト」に出ることを禁じられます。コンテストで何が起こるのかをお楽しみに! また、傷つきやすく、かたくなな青年を演じたポール・ダノが素敵です! 『ルビー・スパークス』のキャラクターとは全く違った一面を見ることができます。
監督: ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
脚本:マイケル・アーント
制作:マーク・タートルトーブ、デヴィッド・フレンドリー 他
音楽:マイケル・ダナ
■第4位 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ジョナサン・サフラン・フォアの同名小説を映画化。9.11事件で父を失った少年が、傷ついた心を抱えながらも前へ進んでゆく物語。 オスカーは11歳。アスペルガー症候群の疑いがあり、人と関わることが苦手で、ブランコや吊り橋、電車のような“危険"を感じるところへは行けない。そんな息子を優しく見守る父・トーマス。学者を夢見ていたが、今は宝石店を営んでいる。トーマスは「調査探検」と名付けた遊びで、オスカーが多くの人と関わり合えるようにしていた。 ある日、トーマスはオスカーに、ニューヨークにはかつて「第6区」が存在したのだと話す。オスカーは調査探検の対象として、第6区の手がかりを探し始める。 そんな中、あの“最悪の日"がやってくる。9.11アメリカ同時多発テロが起こったのだ。トーマスは事故に巻き込まれ、帰らぬ人となる。ショックから立ち直れないでいたオスカーは、ある日トーマスのクローゼットから小さな一つの鍵を見つける。封筒に書かれた「Black」の文字を手がかりに、オスカーはニューヨーク5区をまたいで472人の「ブラックさん」を尋ねて歩く。父を失ってから初めての調査探検が始まった。
たびたびオスカーを襲う絶望から発せられる悲痛な叫びが見る者の胸を打ちます。そして、オスカーを思う両親の心にはただただ感心させられるばかりです。
監督:スティーブン・ダルドリー
脚本:エリック・ロス
制作:スコット・ルーディン
音楽:トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン
出演者:ジョディ・ベンソン、サミュエル・E・ライト
■第3位 英国王のスピーチ
主人公は後にジョージ6世となるヨーク公アルバート王子。1934年に開催された大英帝国博覧会の閉会式で、アルバート王子は父王ジョージ5世の代理として演説を行う。エリザベス妃が見守る中、アルバート王子は演説を始めるが、ひどい吃音症のために演説は凄惨たる結果に終わってしまう。 エリザベス妃は夫を救うため、町の言語療法士をおしのびで訪ねる。尋ねた先のライオネル博士はオーストラリア出身で、少し風変わりな医者。相手が王子であると知ってもなお、愛称の「バーディ」で彼を呼び、自分のことも「ライオネル」と呼ばせようとする。 それは彼の治療に対するポリシーなのだが、アルバート王子はそのような不作法に激怒するのだが……。
主演のコリン・ファースは、誇りと抑圧の狭間で苦しむ王を演じ、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞で主演男優賞を獲得しています。コリン・ファースの演技によって、王もまた人なのだということがしみじみと感じられます。しかしながら、やはり影の立役者は『パイレーツ・オブ・カリビアン』で知られるジェフリー・ラッシュ。聡明で心優しい、風変わりな医者を見事に演じこなしています。
監督:トム・フーパー
脚本:デヴィッド・サイドラー
制作:イアン・キャニング、エミール・シャーマン、ガレス・アンウィン
音楽:アレクサンドル・デプラ
出演者: コリン・ファース、ヘレナ・ボナム=カーター、ジェフリー・ラッシュ
■第2位 ライフ・イズ・ビューティフル
舞台は1939年の北イタリア。ユダヤ系イタリア人のグイドは小学校教師のドーラと駆け落ちし、二人の息子のジョズエと3人で幸せに暮らしていた。 そんな3人の幸福な生活は、ナチス・ドイツのホロコーストによって崩壊する。ユダヤの血を引くグイドとジョズエが強制連行されたのだ。妻のドーラは必死の訴えの末、2人を追い、自らも強制収容所へと向かう。 収容所で不安にさいなまれるジョズエに、グイドは持ち前の陽気さから素敵な嘘をつく。(以下引用) 「これはゲームなんだ。泣いたり、ママに会いたがったりしたら減点。いい子にしていれば点数がもらえて、1000点たまったら勝ち。勝ったら、本物の戦車に乗っておうちに帰れるんだ」と……。
第二次世界大戦中のホロコーストという重い題材を扱いながら、主演の喜劇役者ロベルト・ベニーニの軽やかな演技が冴え渡る作品。絶望的な状況の中でも希望を失わない人間の強さと、家族への無償の愛が描かれています。ちなみに、タイトルはロシアの革命家トロツキーの言葉にちなんでいます。この言葉を残したトロツキーは、常にスターリンによる暗殺者におびえていました。
監督:ロベルト・ベニーニ
脚本: ヴィンチェンツォ・チェラーミ、ロベルト・ベニーニ
制作:エルダ・フェッリ、ジャンルイジ・ブラスキ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
出演者: ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ホルスト・ブッフホルツ
■第1位 ニュー・シネマ・パラダイス
ローマに住む映画監督、サルヴァトーレの元に、旧友アルフレードが死んだことを知らせる一本の電話がかかってくる。サルヴァトーレは電話を切り、ベッドの中で、アルフレードと出会ったころの自分、幼い「トト」の思い出に浸る。 時は第二次世界対戦。イタリアの小さな村シシリーの唯一の娯楽は、「パラダイス座」での映画公演。人々は夜な夜な映画館に出かけてはスクリーンに声援を送った。 アルフレードの仕事は、映画館の古い映写機を回すことと、厳粛な司祭の命に従って映画のキスシーンをカットすること。ロマンティックさが最高潮に達するころ、決まってぶつりときれる映画に、村の人々はいつもブーイングの嵐だった。 そんな村で誰よりも映画を愛していた幼いトトと、老人アルフレードの交流が始まる。
テーマは「映画への情熱」と「人生」。幼少期の無邪気な思い出、青年時代の恋、故郷への決別と郷愁、そして感傷が見事に描き出された作品です。有名なラストシーンでは、今まで流したことのない涙があふれるはずです。
監督: ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
制作:ミーノ・バルベラ
音楽:エンニオ・モリコーネ、アンドレア・モリコーネ
出演者:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン
いかがでしたか? 見終わったあとは心の底が温かくなるような作品や、ちょっと考えさせられるような映画を集めてみました。次の休日には、人物のちょっとした表情や、言葉のひとつひとつを味わう贅沢をお楽しみください!
