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 戦前は活況が予想された今オフのFA戦線も残すは、日本ハムからFA宣言している近藤健介外野手(29)の去就を残すのみとなっている。

 一方、この状況に危機感を強めているのは巨人にもある。今季4位に低迷、5年ぶりのBクラスに沈んだこともあり、フロント容認で大攻勢をかける予定だったが、フタを開けてみれば、意外に市場に出回る選手が少なかった。

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 「獲得を狙っているとされた西武・森も獲得意思を示さないまま、結局オリックスに持っていかれた。一時期より巨人ブランドが低下していることは間違いないでしょう」(放送関係者)

 近年、正捕手が固定できていないこともあり、球界屈指の強打の捕手で知られる森獲りに動くと見られていたが、結局巨人は獲得意思も示さないまま、終了した。

一部には今回のFA交渉を主導した森側の代理人が影響したともいわれるが、「完敗」となった背景にはこんな声も上がる。

 「大体獲得を狙う選手においてはシーズン中から調査を進め、感触を確かめるものだが、仮に獲得意思を示しても望みがないということを巨人側もある程度分っていたのではないか」(同)

 西武からFA宣言した森に関しては、大分前から地元球団でもあるオリックスとの「相思相愛」が伝えられていた。さらにオリックスは日本一を達成。チームには無双エース、山本由伸を始め球界屈指のピッチングスタッフを誇り、捕手としての成長も望んでいる森としては絶好の移籍先ともいえる。

 一方、巨人が戦況を厳しくしたのは今オフ、FA戦士の井納に戦力外通告を行った点も影響したという見方もある。

 FA権を行使し、2020年オフに2年総額2億円でDeNAから巨人に移籍した井納は2年でわずか1勝にとどまり、今オフ、戦力外通告を受けた。

 契約初年度の昨季はわずか5試合に登板し、0勝1敗に終わるも、迎えた今季は中継ぎとして7試合に登板。特に8月には3試合連続無失点など好リリーフもあったが、結局ファーム落ちを告げられ、そのまま戦力外通告を受けた。

「チームのブルペンが苦しい時期、先発も経験し、ロングリリーフも対応できる井納活用を推す声もあった。結果としてそのまま戦力外通告を受けたことで、『もったいない』という声もある」(球界関係者)

 また近年の巨人では、昨年の陽岱鋼含め、FA戦士の契約最終年が不振でも「泣きの1年」として契約延長オファーがあることも多かったが、井納に関してはこの点もなかった。

 「FA宣言する選手は他球団の動向もよく見ているもの。移籍時にいい言葉はかけられるが、最後は厳しい処遇を受けるとなれば、敬遠するのも当然といえる」(同)

 井納への「非情通告」も、森がオリックス入りを決断した要因となったのではないかという見方だ。

 すでにチームの目は先を見据え、外国人補強や現在行われている宮崎の秋季キャンプでも若手発掘に励んでいる。アテは外れたが、こうなれば若手育成を進め、チームの底上げが急務。改めてV奪回を目指す、原監督の手腕にも注目が集まりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]