ワールドカップの初戦を12日後に控えたタイミングとしては、悪くない結果だったと言えるだろう。6月2日に行われたコスタリカ戦は、3対1の逆転勝利となった。
スタメンの1トップに指名された大迫は、クサビのパスをしっかりとおさめていた。チームのパスワークに過不足なく顔を出す動きは、かつての柳沢を思い起こさせた。
2列目右サイドで先発した大久保は、Jリーグでの好調ぶりを持ち込んでいる。後半から大久保に代わった岡崎も、DFラインの背後を突く動き出しで相手にストレスをもたらした。
 
 香川が得点者に名を連ねたのは大きい。80分にあげた決勝弾は、ペナルティーボックス内で決定的な仕事をする彼本来のプレーだ。相手守備陣が消耗していたとはいえ、取るべき選手が取ったのは明るい材料である。
 
 柿谷もゴールネットを揺らした。大迫に代わって76分から出場し、岡崎のフリーランニングが生み出したチャンスを生かしてみせた。ここでも、取るべき選手が得点を記録している。
 
 0対1で迎えた66分に、同点弾を突き刺したのは遠藤だ。青山に代わって後半からピッチに立った34歳は、昨年9月のガーナ戦以来となる得点をゲットした。

 攻撃のスイッチとなる縦パスを意識した青山も、自らの個性とチームコンセプトを重ね合わせている。ダブルボランチでフル出場した山口は、持ち前のボール奪取力をフル稼働させた。この日はベンチ外だった長谷部を含めた4人の競争が、ここにきて激しさを増している。

 山口と青山のコンビも、ポゼッションと守備力のバランスにおいて可能性を秘める。先のキプロス戦を含め、スタメンの一枠は山口で確定とみなしてもいいだろう。

 最終ラインでは、内田が71分までプレーした。前半で交代したキプロス戦から、順調にプレー時間を延ばしている。同じくキプロス戦は45分の出場だった吉田は、先発フル出場を果たした。

 左サイドバックに指名された今野は、ポジティブな印象を残せなかったひとりである。もっとも、左サイドから見る風景が、久しぶりだったことは考慮すべきだ。

 長友が先発から外れ、酒井高のベンチ外による措置は、緊急事態を想定したトライである。このタイミングで今野に感覚を呼び戻す機会を与えたことは、のちに大きな意味を持つかもしれない。長友と酒井高を同時に使えないリスクを塗りつぶしておくのは、必要な作業だっただろう。

 本田も良くなかった。より正確に言えば、特徴がうかがえるシーンとらしくない場面が混在している。

 もっとも、コンディションのピークを迎えるには、まだ少し早い。現時点で好調な選手が多いのは好材料だが、それらの選手が同時に下降線をたどる危機がないわけではない。 

 上位進出を目指すのであれば、一定水準以上のレベルにおいて、コンディションに多少のバラつきがあってもいい。本田、遠藤、長谷部らがグループリーグの2、3戦目から調子をあげてきたら、それはそれで頼もしいことである。
 
 意外なほど手強かったコスタリカを、逆転で退けた。繰り返すが、結果は悪くない。ただ、差し引くべきところはある。
 
 残り15分を前に、日本は5人の選手を交代している。香川と柿谷がゴールをあげたのは、そのあとだった。一方のコスタリカは、W杯を想定して3人しか交代していない。フレッシュな選手が多い日本が勝利をつかんだのは──日本も合宿の延長でこの試合に臨んでいるとはいえ──当然と言っていいだろう。
 
 多くの選手が示した好調さも、コスタリカがトップフォームなら違っていたかもしれない。この日のコスタリカのように、後半にがっくりと運動量が落ちるチームは、W杯には出場してこない。

 チームの絶対評価において、ここまではまずまずの仕上がりである。ただ、W杯が相対評価の戦いであることは、改めて確認しておくべきだろう。テストマッチの勝利は、何かを保証するものではない。