宅麻伸(撮影:野原誠治)
 テレビドラマ「課長島耕作」や、「法医学教室の事件ファイル」シリーズで人気を博し、渋みのある大人の魅力を発揮する俳優・宅麻伸。エリートサラリーマンから、父親まで幅広い役柄をこなす。今回、宅麻が挑戦したのは50代の男5人が高校生時代のバンドに再び集結し、コンテスト出場に向けて練習するという、大人の青春ストーリー「僕らのワンダフルデイズ」だ。竹中直人を筆頭とした、メンバーが実際に楽器を演奏するシーンが感動を誘うが、宅麻は未経験からギターを練習したという。「この映画に出て、何でもチャレンジしてみたくなった」と笑顔で作品への思いを語ってくれた。

――作品を拝見して、50代の男性がもう一度青春を取り戻すというストーリーは、暖かくて、とても現代的に感じました。最初にオファーをいただいた時に思った感想を教えてください。

宅麻伸(以下、宅麻):最初に台本をもらった時、すごく良い話で。演じたいと思ったけど、ギターを弾かなきゃいけないから、やらないって思ったんです(笑)。でも、どうしてもこの作品に興味があったし、精一杯頑張ってギター弾けるようになって参加したいと思ったのが去年の9月くらいですね。

――実際に未経験からギターを練習したということで、苦労されたと思います。

宅麻:週に2回から1回、先生に教えてもらって常に復習する。中学生の時には。フォークソングが流行っていたからギターを弾きたいと思ったこともあるんだけど、こういうバンドはちょっと難しいね。コンサート会場となったZEPPに向けてのシーンね。あっ、ZEPPでいいんだよね? 一回も音楽やってないから、ザップって読んだからね(笑)。

――監督からこういった男を演じて欲しいっていうアドバイスは受けられたんですか?

宅麻:監督は、物事を熱く語る男みたいな女性なんですけど(笑)。でも、熱意というものがこちらにも伝わってきたので、事細かく小さくああしてこうして、という指示はあまり受けなかったです。役者がやってることを受け入れてもらえたという感じですね。

――この作品は個性的なキャストも魅力的ですね。

宅麻:年がみんな近いのね。だから、本当に同窓会というか、教室の中でやってるようなそういう楽しさはあったね。竹中さんもかわいいオッサンやったよね。現場でもテンションあげてくれて。

――印象に残っているエピソードはありますか?

宅麻:自分の中で印象に残っているのは、僕の場合演奏が終わったらすぐ稲垣さんの顔を見るのね。稲垣さんが機嫌良かったら、あっうまくいったんだって思う(笑)。稲垣さんがちょっとでも首をかしげているとやるせねぇな…って思いながら。