「恐怖に支配された感じ」不同意性交で有名テニスコーチが逮捕「無理やりではない」との弁明の“無理”
「毎晩のように部屋に呼ばれていた」
「性行為をしたのは間違いありませんが、私が誘って無理やり性行為をしたことはありません」
知人女性に性的暴行を加えたとして逮捕されたテニスコーチは、容疑を一部否認したという。
「’26年5月16日、千葉県警は不同意性交等の疑いで、白子町のテニススクールのコーチ・松島徹容疑者(65)を逮捕しました。松島容疑者は8日の夜、自宅であるテニスアカデミーの寮の部屋で、知人の女性に対して性的暴行を加えた疑いがもたれています。
女性が『性的な被害を受けた』と警察に相談したことから発覚しました。松島容疑者は性行為をしたことは認めつつも、『無理やりではない』と一部否認しています」(全国紙社会部記者)
5月17日、松島容疑者の身柄が検察に送られた。警察に背中を支えられながら茂原署の護送口に姿を現した松島容疑者は、右足を引きずるようにして護送車に乗り込んだ。その間、下を見たり左右に目をやったりと、視線がまったく落ち着かない様子だった。
松島容疑者は、世界大会で活躍するトップ選手を多数育成してきた有名指導者として知られている。そして一部報道では、被害女性の知人が「(被害者は)毎晩のように理由をつけては部屋に呼ばれ、恐怖に支配されていた感じだった」と証言しているという。
松島容疑者と被害女性とはどのような関係だったのだろうか。
ここ最近、スポーツクラブや部活動の現場で、指導者による教え子に対する性加害が問題になっている。教え子は指導者に厳しい上下関係で支配されており、抵抗もできなければ拒否の意思を示すことも難しいのだという。
記憶に新しいのは、昨年大きく報じられた千葉県の柔道塾を舞台にした事件だ。ここの塾長は合宿で女子児童に睡眠薬入りのジュースなどを飲ませ、睡眠中に性的暴行を加えるなどしたとして不同意性交等などの罪に問われた。塾長の犯行が明るみに出るきっかけとなったのは、’24年11月に塾生だった男子児童への暴行で逮捕された件だったが、捜査の過程で3年前の’21年にも当時塾生だった女子高生に性的暴行を加えていたことが発覚。後に千葉県児童福祉法違反の罪に問われている。
「スタメンから外される不安があった」
被害女児の供述調書には、事件当時の心情がこのようにつづられていた。
「体をもてあそばれていると感じていましたが、断ると不機嫌になり、無視してきたり、わざと厳しい練習をしてくるので、嫌だと言えませんでした。被告人には、自分の行為が社会的に許されない行為だと理解してほしいので、厳しい処罰を望みます」
塾長も公判のなかで、「当時は被害女児が自分に好意を持ってくれていると思っていたが、指導者と教え子というのは対等な関係ではなかった」と反省の弁を述べていた。
塾長には’25年10月22日に懲役22年の実刑判決が下され、控訴することなく刑が確定している。
また’23年12月10日に不同意わいせつなどの罪で逮捕された都内の私立高校名門サッカー部の総監督は、男子部員4人に下半身の写真を撮影させて自身のSNSに送信させていた。被害男児らの供述調書などによると、「嫌だったが、監督に逆らうとスタメンから外されるのではないかという不安があった」という。さらに被害男児の多くが特待生だったことから、より逆らいにくい状況にあったようだ。
被害男児のひとりがジャニーズの性加害問題の報道を見て、「自分がされていることは、性加害だと気づいた」ことから保護者に相談し、事件が発覚した。この告発がなければ、事件は表沙汰にならなかったかもしれない。
総監督は公判のなかで、「嫌な気持ちにさせたのは申し訳なかった」と謝罪の言葉を口にしながらも、「あくまで体育会系の悪ノリで、過去には自分もさせられた」と性加害ではないと主張していた。この言葉通り罪を軽く見ていたのか、検察官が「懲役12年」を求刑すると、天を仰ぎ、あまりのショックからか、その後の最終陳述ではしばらく言葉を発することができなかった。
総監督はその後、’24年11月5日に懲役10年が言い渡され、控訴することなく刑が確定している。
松島容疑者は「無理やりではなかった」と主張しているようだ。しかし、これらの事件の例が示すように、被害女性は指導者の松島容疑者に対して、ただ抵抗できなかっただけの可能性があるのではないか。
真相は今後の捜査で明らかになるのだろう。
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取材・文:中平良
